山城の宮廷料理

 

日本人はあまり辛いものを食べつけないので、多くの観光客は重慶で食べ物のことを心配する。しかし、重慶料理は辛いものばかりだというわけではない。歴史上、北方や江南地方から伝わった料理が歳月を経て蓄積され、重慶グルメの重要な要素となっているからだ。

味わい優しく精緻な料理の代表は「丘二館」の「炖鶏湯(煮込みチキンスープ)」と言えるだろう。この料理はもともと清朝の宮廷料理だった。特製の銅の鍋で鶏を煮込むもので、スープは澄んでいて鶏肉はみずみずしくやわらかい。特に女性の滋養強壮、フェイスケアに効果があり、門外不出の技術で調理されている。李労三は、かつて宮廷でスープものを担当する料理人だったが、戦乱で重慶にまで落ち延び、ここでひとりの将校に救われた。その恩に報いるため、李労三は「炖鶏湯」の料理法を将校に教えたのだった。この将校は退役後、鶏スープと鶏肉麺を売る小さな店を出した。これがすぐに人気となり、商売は大繁盛した。そして1949年になって、現在の丘二館が創業され、この「丘二館秘製鶏肉スープ」は看板料理となったが、庶民に深く愛された鶏肉スープ麺もメニューに残されたのだった。

今では丘二館は重慶市内に6店舗を有し、百年来の技術と古風なインテリアを残した店構えで、訪れる客に時代を越えた味と雰囲気を提供している。

 

人民中国インターネット版 2013年

 
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