「世界温泉之都」の称号

 

絶景、グルメ、お土産、そして温泉。日本人がイメージする素晴らしい旅行には、この4つのどれもが欠かせない。しかし、中国旅行には温泉のイメージがない。中国で温泉を味わうことはできないと思っている方も多いようだが、実は中国にも温泉資源は少なくない。ただ、日本のように温泉文化が普及しておらず、各地の温泉施設も整っていなので、中国の温泉の魅力はあまり知られていないのだ。

ところが、重慶には「温泉之都」という別称があり、その温泉資源は世界レベルで、8万2000平方キロの面積の中で1万平方キロの範囲に温泉が分布している。江畔の温泉、湖景が楽しめる温泉、島の上の温泉、山中の温泉などさまざまな温泉があり、いずれも泉質が優れている。2005年、重慶は「五方十泉」を重点的に宣伝し、温泉を重慶の「四大名刺」の一つに育てる試みを始めた。そして2012年、国際温泉気候連合(FEMTEC)が正式に重慶に「世界温泉之都」の称号を授与した。

重慶で最も歴史があり環境、施設が整っているのが北碚区にある北温泉だ。ここは泉質が素晴らしく湯量も豊富だ。源泉は10カ所あり、水温はいずれも38度前後となっている。温泉には微量の放射性元素が含まれており、皮膚に対して収斂効果があり美容にいい温泉だという。

北温泉は1600年前にすでに人々に知られており、南朝時代の紀元423年にはここに温泉寺が建てられた。当時の建物は見事なもので、石像が多くあり、寺は善男善女でにぎわったという。明代から清代にかけて、温泉寺はまた新たな黄金時代を迎えた。多くの旅行者が寺を訪れて仏像を拝み、景色を楽しみ、温泉につかった。現在の温泉寺の主要な建物は明代、清代のものだ。寺の中の石刻園内には宋代の摩岩石刻の羅漢像が残されている。明代の石碑や磐龍塔などがあり、いずれも貴重な歴史的文化財だ。寺院内では樹木や建築物、水路などが相まって美しく、温泉が流れ込む水路に魚の姿があるのも不思議な眺めだ。1927年、民族資本家の盧作孚がここに嘉陵江温泉公園を建設した。温泉プールや浴室、レストランなどのレジャー施設を整備し、後に重慶北温泉公園となったが、これは中国で最も早い時期に造られた一般向け温泉公園だ。

現在は、地元政府が観光に力を入れており、世界各地からの旅行客に温泉の魅力も味わってもらおうと開発を進めている。

 

   

 

人民中国インターネット版 2013年

 
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