改革で困難に立ち向かう

 

中国経済は「シーズン2」に 

昨年9月29日、中国上海自由貿易試験区が正式に発足した。同時に、初めて同区に入る36の企業に許可証が公布された。自由貿易試験区の全体目標はサービス業の拡大・開放と外国企業投資管理体制の改革の積極的推進であり、経済分野の改革措置を大々的に推進し、中国経済「シーズン2」の華々しい幕開けを告げるものだ。

 中国国家統計局の発表によると、昨年GDPは7・7%の成長となり、年初に打ち出された7・5%という成長目標を達成した。しかし、この数字は1999年に記録した7・6%に次ぐ低い水準でもある。

 GDPの7・7%という成長率について、中国国家統計局の馬建堂局長は、昨年の成績は得がたいものだという。中国経済は現在発展のモデルチェンジのカギとなる時期にあり、長期に蓄積された根深い問題はまだ解決されておらず、経済の安定と回復の基礎固めが必要であることを認識すべきだと指摘している。

 30年以上にわたる改革開放は中国に経済的奇跡を起こしたが、輸出主導と粗放型発展モデルと引き換えの経済成長には明らかに疲労が見られ、構造改革と転換促進が差し迫った問題となっている。いかに中国経済のモデルチェンジとレベルアップを実現するかは、現在の政府にとって大きな課題だ。

 習近平主席は湖南省を視察した際に、「ひたすらGDPランクの高低とし、英雄を論じる」のを防ぐよう特に強調した。

 昨年9月30日、政治局第9回団体学習の際、習総書記(国家主席)はイノベーションによる発展駆動の戦略の実施が中華民族の前途と運命を左右すると、再び強調した。

 昨年9月11日、大連で行われた夏季ダボス会議の席上李総理は、中国経済発展の奇跡はすでに質と効率を高める「第2シーズン」に入ったと強調し、特に上海に設置された自由貿易試験区に言及した。

 実はこれに先立つ3月、総理に選出された後、李総理は最初の視察地に上海を選択し、かつ主な行き先は後に自由貿易区に組み入れられた上海外高橋保税区だった。上海自由貿易区改革措置はここに糸口を見せていたのだ。李総理は当時、上海で行われた懇談会で「上海が、今ある総合保税区を基礎に、いかに試験的に先行し、28平方㌔のうちに自由貿易試験区を設置するかを積極的に模索することを奨励・支持する」と述べた。

 国務院が発表した自由貿易区全体方針案のデザインによれば、リスク・コントロールを前提に、試験区内では人民元資本項目の兌換、金融市場の金利市場化などの分野で条件を作り出し試験的に先行実施する。同時に、自由貿易試験区では一部インターネット・サービスについて外資企業が直接提供することを許可し、十数年にわたって続いていた外資企業のゲーム機販売禁止を解除した。

 上海自由貿易区の設立は、中国が積極的に世界とドッキングしようという態度を示しているもので、戦略的な意義で言えば「2度目の世界貿易機関(WTO)加盟」と言えるものだという世論もある。

 中国人民大学金融研究所の趙錫軍副所長は、上海自由貿易区の総合プランが示す考え方は、中国の新たな政府の執政理念を確実に反映していると指摘している。重点は中国経済のモデルチェンジであり、上海自由貿易区は次の段階の発展方式の転換において多くの責任を担っていると指摘している。

 

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