高齢化時代の定年・年金改革

 

定年延長時代の到来

 王さんは2011年に定年を迎えたが、その後2年間ほど、引き続き働いていた。管理職や専門技術を持つ定年退職者にとって、定年退職後にも仕事を続けることは、完全に退職するまでの良い過渡期となる。「定年前はずっと全力で前に向かって進んでいたので、突然ブレーキがかかっても適応できず、突然失業してしまったかのようで、何をしていいか分からなかったでしょう。だから退職後にも仕事を続けることによって、気持ちを切り替えることができました」。また、その期間は、毎月年金を受け取ると同時に、勤め先からいくらかの労務費をもらえることも、多くの人が働き続ける理由である。

 しかし、これは個人が望んで働き続けるのであって、定年の延長ともなれば、まったく話は別だ。特に肉体労働に従事する人々の定年延長には反対の声が高い。現在、中国の法定退職年齢は、管理職が男性60歳、女性55歳、労働者は男性60歳、女性50歳である。今後行われるだろう定年退職年齢の漸次的引き上げ政策は、例えば政策実施後一年目の退職年齢が半年延長され、二年目にはさらに半年延長され、以下同様に進められてゆくだろう。現在、社会における定年延長の論議は大きいものの、中国の年金積立不足や人口高齢化の激化などの状況のもとで、定年延長は必然とも言えるものとなっている。

 中国人力資源・社会保障部社会保障研究所は2008年にはすでに、関係部門は条件が整うのを待って、定年延長を行う考えであると発表している。その主な理由は、中国の年金積立が不足し、大幅な赤字となっているためである。中山大学社会保険研究センターの申曙光主任によると、「定年が5年延長されれば、社会保険基金は5年分の年金を払わなくて済み、さらに5年分の年金保険収入を得ることができます。これにより10年分の年金保険基金の差ができます。全国的には基金の200億元の欠損を毎年減らすことができるのです」。

 この他にも、人力資源・社会保障部の胡暁義副部長は、定年延長のさらに大きな社会的背景として、昨年中国の労働力の新規増加数が初めて下降したことがあり、これは中国の労働力が無限に供給されてきた時代がすでに終わっていることを意味し、今後は人材の活用や利用効率の向上を図らなければならないと指摘している。

 

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