尹卓委員:「反テロ法」制定を呼びかけ

文=繆暁陽

 3月3日、中国人民政治協商会議(全国政協)第12期全国委員会第2回会議が北京で開幕した。会議では、出席者全員で3月1日の昆明テロ事件の犠牲者に黙祷を捧げた。会議終了後、中国の反テロの現状について、尹卓少将がインタビューを受けた。

「反テロ法」早期制定を

昆明「3.01事件」発生現場の証拠は、この事件が新疆分裂勢力が計画組織した由々しきテロ事件であることを示している。テロリストはなぜ昆明を選んで事件を起こしたのか?これについて尹卓少将は、「新疆から中心部都市への移動は距離が遠く、見つかって捕まりやすい。特に飛行機のセキュリティーチェックは非常に厳しい。しかし新疆から昆明なら道路や鉄道を利用するか、別々に来て現地でまた落ち合うことも可能だ。また、昆明は観光地で外部からの観光客が非常に多く、これまでテロ事件が起こっていなかったこともあって、警備が比較的緩かった」と述べた。

尹卓少将は、「昆明で起きたテロ事件は国家の安全に脅威をもたらし、またテロリズムが新疆やチベット以外にも拡散し、頻発する傾向にあることを反映している」との見方を示し、「今や、新疆やチベット以外でも反テロの圧力が高まっている。全国の重点都市はこの種の事件に対する応急策を迅速に策定し、暴力事件に発展するのを防がなければならない」と述べた。

尹卓少将は、「中国は反テロを極めて重視し、国内外の反テロ闘争の必要性に適応するために法律体系を整備しているが、現行の法律ではテロリストを処罰し抑止する目的を達するところまでいっていない」と述べ、「国は『反テロ法』をできるだけ早く制定するべきだ。法による授権があって初めてより良くテロ活動を防止し、取り締まることができる」と提案した。

国家安全委員会が統一指揮

中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議(第18期三中全会)は、国家安全委員会を設置して、国家安全体制と国家安全戦略を整備し、国家安全を確保することを決議した。尹卓少将は、「昆明テロ事件は、国家安全委員会の設置が絶対に必要であることを示した。中国は国家安全委員会を設置して突発事件に対する迅速な処理と正確な政策決定を行い、各部門と一致協力してテロリズムを取り締まる必要がある」と述べ、「国家安全委員会設置は中国が安全問題対応の面で取った重要な制度的補充だ。これによって、中国はより余裕を持って、主体的かつ科学的にテロ勢力に対応できるようになるだろう」とした。

尹卓少将は、「国家安全委員会の最重要任務は国家安全戦略の制定。この安全戦略は中国の反テロ行動と治安維持を法制の軌道に乗せるもので、指導部の交代で反テロ戦略が大きく調整されることはなくなる」と述べ、「反テロ行動は複数部門に関連し、安全部門や情報部門、民事部門、それに傷病者対応などの応急措置にも関わる。国家安全委員会が各部門と協調して共同で任務を遂行する必要がある」と強調した。

世界と協調してテロに対抗

尹卓少将は「テロリズムは中国社会の共通の敵であり、全人類共通の敵でもある」と述べ、「今回昆明テロ事件にかかわった暴徒と背後で指図していた人物は、宗教を通じて民主自由を追求したのではなく、宗教を見せかけにしてテロ襲撃で政治目的を達しようとした」との考えを強調した。

また尹卓少将は、「一般市民が襲撃されたことは、中国がテロリズムの脅威にさらされているだけでなく、世界各国もテロの脅威に直面していることを意味する。反テロリズムについては、全国が連携し、世界が協調しなければならない」と述べ、「米国同時多発テロ事件以降、中国はますます国際反テロ協力に加わるようになった。現在、すでに中央アジア諸国と積極的に連携し、上海協力機構の範囲内で、宗教過激派、民族分裂主義、テロリズムなどの勢力を共同で取り締まっている。

また尹卓少将は次のように述べた。「反テロに取り組む世界各国と共同でテロリズムを取り締まることは、中国が当然買って出るべき責任だ。今後、中国は部隊の派遣も行って、他国内部の反テロ行動を支援していく。例えば、米軍撤退後のアフガニスタンやパキスタンなど友好関係にある隣国で新たにテロ勢力の反撃や復活があった場合、中国は安全保障の見地から一臂の力を貸すだろう。反テロ協調の道を中国は絶対にあきらめない」。

 

「北京週報日本語版」2014年3月6日

 

 
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