環境保護を強め、美しい中国を

 

馮進=文・写真

2014年3月8日、環境保護部の呉暁青副部長らが北京のメディア・ニュース・センターで「環境保護を強め、美しい中国を建設する」をテーマに記者会見を行った 

北京に青空を取り戻すため

外出するのに天気を見て、晴れているかそれともスモッグかを確認するのが、北京の人々にとって心のわだかまりのようになっている。わずか数日青空が続いたと思ったらもうすぐにスモッグに包まれてしまう。絶えず上昇するPM2.5濃度の数値が、人々を悩ませ、おびえさせる。スモッグがもたらす環境汚染は、絶えず人々の生活に襲いかかり、空気清浄機や防塵マスクがヒット商品になってしまった。それは、市民が自分の健康を守るための仕方なしの防衛手段でもある。人々は問題の深刻さを意識すると同時に次第に環境保護意識を高めるようになっている。

環境汚染対策を行い、環境保護の力を強めるため、国務院が開いた第7回全国環境保護大会で「国家環境保護十二・五規画」「十二・五省エネ・排出削減規画」などを発表、実施した。新たに修正が加えられた「環境空気質標準」の中で、微小粒子状物質(PM2.5)、オゾン(O3)などの汚染物質を空気質観測評価の中に取り入れ、「大気汚染予防・対策行動計画」の中で十カ条35項目の総合対策措置を示した。同時に、政府は各種政策、法規を打ち出し、違法な汚染企業に厳格に打撃を与え、操業を停止させ、厳格な汚染予防・対策監督管理体制と生態保護監督管理体制、核と放射能安全監督管理体制という三大主要体制を打ち立て整備した。また、環境影響評価、環境法律執行、環境監視測定早期警戒の三大体制を補完し、74都市のPM2.5などの観測データをリアルタイムに公表し、新たに87都市がPM2.5観測能力を備えた。市民が青空を取り戻すために、体制上の保障を与えたのだ。

「美しい中国を建設することは、一人ひとりの中国人の夢であり、環境保護に携わる者にとってはずっしりと重い責任だ」と、環境保護部の呉暁青副部長は2014年3月8日に行われた第12期全人代第2回会議の記者会見の席上でこう語った。

国内外の記者からの質問に答える環境保護部の呉暁青副部長

2014年2月20日から26日間で、北京市、天津市、河北省を中心とするエリアの広い範囲で大気汚染が発生し、その影響は15の省や直轄市の181万平方㌔に及んだ。このうち大気汚染が極めて深刻な地域は98万平方㌔に達した。主な汚染物質はPM2.5とPM10で、北京では同25日にPM2.5濃度が一日平均356μg/m3に達した。河北省の石家荘市では26か午後1時にPM2.5濃度612μg/m3を記録した。7日間連続して発生したスモッグだが、北京ではこのうち5日間は深刻な汚染状態だった。北京市、天津市、河北省を中心とするエリアの39の都市で、深刻な汚染状態の都市は4都市から16都市へと急増した。今回の深刻なスモッグ発生の主な要因は大量の汚染物質排出であり、燃料としての石炭、工業、自動車、建築、道路の粉塵がその主な排出源だった。次にこれらの拡散に不利な気象条件があり、第三にエリア汚染と現地汚染の重複汚染もあった。スモッグの苦しみを受ける人々は、生活や仕事のうえで大きな影響を被っている。「スモッグ」は今都市に生活する人々の会話の中で最も多く登場する話題になっているのではないだろうか。

いかに北京に青空を残すか、政府、企業、一般民衆が心を一つにして協力することが求められる。呉副部長は、環境保護への資金投入は中国が環境保護の基本国策を堅持することであり、持続可能な発展を推進し、資源節約型で環境にやさしい社会を建設する重要な物質的保障だと指摘した。環境保護への資金投入について、中央政府は高度に重視しており、環境保護への資金投入にいっそう力を入れ、毎年2000億元以上の幅で増加している。投入資金は2011年には6026億元だったが、2012年には8253億元となり、これは国内総生産(GDP)の1.59%を占めた。「十二・五」の期間中、全社会の環境保護投入は5兆元を上回ることが予想される。これには政府、金融機関、企業、社会の投資が含まれる。このうち中央政府による2011年から2013年まで3年間の全国公共財政省エネ環境保護投資は、それぞれ2641億元、2963億元、3383億元と、年平均で14%の伸びとなっている。「大気汚染予防・対策行動計画」実施後、全社会での資金投入は1兆7000億元を超えると予想され、今年はさらに「水質汚染予防・対策行動計画」という大きな投資が打ち出された。また、国家「十二・五」ですでに打ち出されている一部計画と規画があり、重点流域水質汚染予防・対策規画、重金属汚染予防・対策規画などだ。2014年全国の財政省エネ・環境保護への資金投入は大幅に増える見込みだ。

進む環境保護法の改正

目下、中国環境保護産業はすでに大きな発展を遂げている。統計によれば、2012年までに、中国の環境保護産業に従業する組織はすでに23万を数え、従業員数は319万人を上回っている。環境保護製品の増加は年平均30%を超えており、環境サービス業は年間28%超の増加、資源回収利用の増加は年間14%以上となっている。まとめると、中国の環境保護産業は2004年から現在までに、年平均で20%を上回って成長していることになる。これは国家の省エネ・環境保護措置の着実な実行にプラスになるものだ。

2014年3月1日から、北京初の大気汚染予防・対策法規が正式に実施された。大気汚染物質に対して排出総量の抑制を行い、汚染物質排出総量を次第に減らしていくというものだ。法規の中で特に北京市、天津市、河北省が大気情報の共有を強化し、統一的に深刻な汚染状況の予測を行うとしている。このように予測の正確度を高めることは、北京地区の大気状況と気象条件に対する予測以上のものがある。また、同時に協力しての法の執行を行い、地方保護を除去し、企業の汚染物質排出情報などを公開するとしている。

2011年、環境保護法の改正が第11期全人代の立法計画に加えられ、2012年8月に全人代常務委員会が環境保護法改正草案について第1回の審議を行い、合わせて第1回の社会に向けた公開意見請求を行った。2013年上半期の全人代常務委員会法制工作委員会の修正後第2回審議案が作られた。2013年6月、全人代は環境保護法について第2回審議を行い、再度社会の意見を求め、2000以上に及ぶ修正意見が集められた。2013年10月、全人代常務委員会は環境保護法修正についての第3回審議を行った。呉副部長は「現在環境保護部門は全人代常務委員会法制工作委員会の3中全会の決定とエコ文明建設の関連理念に積極的に歩調を合わせ、第3回審議案にさらにいささかの修正を加える。今回の修正のハイライトは、いかに「違法がコストが低く、適法がコストが高い」という認識を是正し、いかに法に基づいて汚染を処理し、法に基づいて管理するかの点で、大きなブレークスルーがあるはずだ」と述べている。

 

人民中国インターネット版 2014年3月9日

 

 

 
人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850