世界に対する中国の「緑の貢献」

 

中国は20年間の努力を経て、絶対的貧困層を世界で最も多く減らした。国の以前の貧困線(1人当たり年収が440~785元)では、貧困層は2007年には1479万人にまで減った。新たな貧困線(1人当たり年収が2300元)では、2010年の1億2238万人から2013年には8249万人にまで減った。国際的な貧困線(1人当たり1日1ドル未満で生活)では、1990年の4億9900万人から2010年には8640万人にまで減少し、世界のミレニアム開発目標達成に多大な貢献を果たした。(文:胡鞍鋼・清華大学行政学部教授。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

貧困の本質は人の基本的な発展の権利が剥奪されることだ。したがって貧困には収入の貧困だけでなく、様々な類型の貧困がある。今後20年で中国はまだ8600万人余りの貧困層をなくさなければならないが、大量の「環境貧困層」も抱えている。つまり自然条件が非常に悪く、自然資源収容力が不十分な、環境の脆い地区に生活する人々であり、彼らは基本的な生活・生産環境が満たされないために剥奪された貧困層だ。控え目な見積もりでは、環境貧困層は全国に2億人いる。これは現有の収入貧困層の2倍以上で、一部が重なっている。

また、煙霧汚染に苦しめられている人々を「汚染貧困層」と定義することもできる。すなわち、一年の相当日数を煙霧汚染にさらされている、または基本的な環境の質が満たされないため、きれいな空気を吸う権利を剥奪されている「貧困」層だ。彼らは収入貧困層とは限らない。控え目な見積もりで、全国の都市人口の4分の1から3分の1が、この新たな貧困層だ。これは直接または間接的に健康を脅かす目に見えない戦争だ。このため、李克強総理は「われわれは貧困に宣戦を布告したように、汚染にも断固として宣戦を布告する必要がある」と指摘した。これは中国政府の政治的約束だ。

深いレベルで見ると、中国社会内部の生産力の基本的矛盾は常に人と自然との間の矛盾であり、これは人口、発展と資源、環境との基本的矛盾に際立って反映される。これらは常に、中国が長期的な近代化の過程で直面する最大の試練、制約要素の1つでもある。

21世紀に入り、中国は世界第2の経済大国、世界最大の工業生産国、世界最大の貿易国になると同時に、世界最大のエネルギー生産・消費国、世界最大の発電量生産・消費国、世界最大の主要汚染物質排出国にもなった。したがって汚染への宣戦布告は、中国政府にとって最大任務の1つとなる。

李克強総理が「汚染への宣戦」を布告した2014年の行動目標・計画は「煙霧の頻発する大都市と区域を重点とし、PM2.5とPM10への対策を突破口に、大気汚染対策行動計画を実施する」「小型石炭ボイラー5万台を淘汰し、石炭火力発電所の脱硫改造1500万キロワット相当、脱硝改造1億3000万キロワット相当、集塵改造1億8000万キロワット相当を推進する」とした。

これは世界200カ国・地域余りで最も厳格な、最大規模の汚染対策行動であり、人民を動員し、人民に頼る、参加人口が世界最多の「人民戦争」でもある。この意義において、中国は貧困への宣戦布告が、世界の貧困削減に最大の貢献を果たしたように、汚染への宣戦布告も世界の排出削減に対する最大の貢献となる。私はこれを「中国の緑の貢献」と呼ぶ。

 

 「人民網日本語版」2014年3月11日

 

 

 
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