張蘊嶺委員:中日が「一戦を交える」必然性はない

 

王衆一=構成

張蘊嶺委員

中国社会科学院国際研究学部主任の張蘊嶺政協委員は、中日間の関係悪化の主な責任は安倍政権にあると考えている。安倍政権は極端な保守政権で、その政策は歴史を否定し、歴史への自信を再び取り戻し、「大日本」のイメージを回復させ、戦後秩序から脱却し、日本をいわゆる「正常国家」としようとするものである。釣魚島問題、東海情勢の悪化も、すべて安倍政権の政策転換と関係がある。このため、現在は、安倍政権の歴史の否認、戦犯の否認、至るところで火をつけ風を煽り、中国脅威論を捏造し、憲法修正を主張するなどの極端な政策との戦いを重く見るべきである。

釣魚島問題では、中国はすでに釣魚島およびその付属島嶼の領海基点・基線を確定している。これは日本の釣魚島に対する一方的な管理・コントロールを打破し、正常なパトロールや合法的権益の擁護が始まっていることを意味しており、このような状況のもとでは、安倍政権に再度領土問題の存在を認めるよう要求する必要はない。また、安倍首相に領土問題の存在を認めさせるのも現実的でない。日本の過去の指導者も問題の存在を公に認めたことはなく、今後も認めさせるのは難しいだろう。このため、安倍首相が問題の存在を認めることを前提に中日関係を改善することは恐らく現実的ではない。中国が日本の一方的なコントロールを打破し、釣魚島の主権を維持する力があるという前提のもとで、中日双方がどのようにこの地域の安全と安定を維持し、共同開発するかなどの問題について合意点を探し当てるべきである。安部政権と日本の民衆、社会各界および企業は、それぞれ個別に対応せねばならず、全体に大きな打撃を与える必要はなく、文化・社会交流を強化し、両国民間の理解を強化すべきである。両国民の間の敵対意識がさらに悪化してゆくようならば、政策調整にも不利となるだろう。

張委員はインターネットで出回っている「中日の一戦が必ずある」という見方には賛成していない。彼は以下のように語る。戦争は最悪な選択で、戦争を避けることは絶対に可能である。戦争を避けることは、平和的な発展環境を中国が必要としているがために、中国に有利となる。同時に戦争を避けることは、中日両国民にも利する。ある意味からいうと、戦争には勝者はない。興起する大国は、大国の地位を守ろうとする者と一戦を交える必要はなく、隣国とも一戦を交える必然もない。今年は甲午戦争勃発120周年である。インターネットには、中国が大国になるためには日本をコントロールし、制圧して、中国を強大にし中華帝国を築き上げなければならないなどの説が蔓延しているが、こうした説は、中国の平和発展の道、新型大国の建設と矛盾し、取るに足らないものである。(中国日報ネットより)

 

人民中国インターネット版 2014年3月12日

 
人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850