2014年政府活動報告

 

(四)民生の保障と改善にしっかりと取り組み、社会の公平・正義を促した。財政収支の矛盾がかなり大きい状況の下、われわれは真摯に力を尽くし、あくまでも民生の改善を活動の出発点と帰結点とし、制度の整備を重視し、民生確保の最低ラインをしっかりと守り、社会の諸事業の発展を促した。

大衆の基本的生活を保障した。大学生就職促進計画を実施した結果、大学新卒者のほとんどが就職した。農村からの移転労働力向けの就職サービスと職業訓練を強化し、都市部の就職困難層への就職支援を行った。養老保険制度や社会救済制度の整備を推し進め、都市・農村の最低生活保障の基準をそれぞれ13.1%、17.7%引き上げ、企業定年退職者基本養老年金の給付水準を10%引き上げた。保障タイプ住居プロジェクトでは、新たに666万戸の建設が開始され、544万戸が基本的に完成し、住宅難に苦しんでいた1000万に上る人々が新しい住宅に入居した。

教育の発展と改革を推し進めた。「教育扶貧プロジェクト」(基礎教育や職業教育などの強化によって貧困地区の青少年の貧困脱却・自立を助ける取り組み)をスタートさせ、農村の義務教育が手薄な学校の改善計画を実施し、児童・生徒3200万人を対象とする栄養改善計画を実施した。「集中連片(広域にわたって集中的に存在する)特別困難地区」の農村教師に生活手当てが支給されたほか、重点大学に入学する貧困地区の農村出身学生の人数が前年度比で8.5%増えた。

医薬・医療衛生体制の改革を深化させた。国民皆保険がほぼ実現し、都市・農村住民の基本医療保険の財政補助基準が一人当たり280元に引き上げられた。基本医薬品制度が村の診療所の80%以上に行き渡った。28の省(自治区・直轄市)で重大疾患医療保険のテスト作業が進められた。保険未加入者や身元不明者などが重病等にかかった場合の緊急救済制度の試行作業を開始した。国家基本公衆衛生サービスプロジェクトが全面的に実施され、農村の妊娠前検診(健康な子供をつくるうえで病気など問題がないかを調べるもの、妻だけでなく夫も受診)の無料サービスを受けた世帯が600万を数えた。

文化事業と文化産業の健全な発展を促した。多くの優れた文化作品を生み出し、公益的文化施設の社会に向けた無料開放を広げた。文化体制の改革を深化させ、文化市場の整備を強化した結果、文化産業の付加価値が15%以上伸びた。全国民健康増進サービスの体系を充実させ、第12回全国体育大会の無駄のない「節約」開催を成功させた。

(五)社会統治(ソーシャル・ガバナンス)の方式を改善し、社会の調和・安定を保った。自然災害などさまざまな突発事件を受け、われわれは秩序立てて力を注ぎ、人民の利益を第一に考えること、法律・法規に則ること、科学的に対処することを堅持し、効果的な措置を講じるとともに新たな仕組みの構築を模索して、社会統治の水準を高めた。

昨年、わが国では、四川省蘆山県の地震、甘粛省岷県・漳県の地震、黒竜江・松花江・嫩江流域の洪水・冠水、南部の高温・干ばつ、沿海地域の強力台風など深刻な自然災害が発生したほか、鳥インフルエンザのヒトへの感染の広がりも見られた。われわれは中央と地方が責任を分担して互いに協力しあう災害対応・救援活動の緊急体制を整え、中央が援助や支援を総合的に手配し、地方政府が災害発生地の近くから統一的に指揮をとるようにして、人民大衆の生命と財産の安全を最大限に守った。

労働安全の確保と市場への監督管理を強化した。関連する仕組みを整え、安全をめぐる重大事故を厳しく調査・処理して関係者の責任を追及した結果、重大・特別重大事故が16.9%減少した。食品・医薬品監督管理機関を再編し、食品・医薬品安全集中取り締まりキャンペーンを踏み込んで繰り広げ、乳幼児用粉ミルクの品質を医薬品管理細則に照らして厳しく監督管理するなど、人々が食品を安心して食べ、医薬品を安心して使えるよう力を注いだ。

法律に基づく行政の推進に当たっては、国務院は全国人民代表大会常務委員会に法案・法律改正案を34件提出して審議・承認を求め、労働矯正制度の廃止に関する議案を提出したほか、行政法規を47件制定あるいは改正した。投書・陳情受理とその調停が連動する作業体系を整えて、社会的矛盾を防止・解消した。法律に基づいてさまざまな違法行為・犯罪を取り締まった。

中央の「八項目規定」の精神を全面的に貫き、大衆路線教育実践活動を繰り広げ、「四つの気風」(形式主義・官僚主義・享楽主義・贅沢浪費の風潮)に断固反対し、「法三章」(守るべき三つの約束事、27ページを参照)を厳格に履行した。中央の政府機関の「三公」経費(海外出張費・公務接待費・公用車経費)は35%減少し、31の省級政府の公務接待費も26%減った。廉潔政治建設と反腐敗の取り組みを強化し、法律・規律を犯した腐敗分子たちを処罰した。

 昨年はわが国の外交活動が新たな局面を切り開いた年である。習近平主席をはじめとする新指導部の面々は、20ヵ国・地域首脳会合(G20サミット)、アジア太平洋経済協力(APEC)非公式首脳会議、上海協力機構(SCO)首脳会議、ブリックス(BRICS)首脳会議、それに東アジア首脳会議・関連会議など、重要な多国間活動に出席し、多くの国々を訪問し、多大な成果をあげた。周辺諸国との外交活動は新たな段階に入った。経済外交も新たな進展を見せた。発展途上国との交流・協力が新たなレベルに高まり、主要国との関係が互いに影響し合う中で安定的に発展し、国際的・地域的な重要課題や重大問題への取り組みにおいて責任ある大国としての役割を果たした。国の領土主権と海洋権益を断固として守った。わが国の国際的影響力はさらに高まった。

代表のみなさん 以上に述べたこの一年間の成果を収めるのは容易なことではなかった。これは、習近平同志を総書記とする党中央が正しい指導を行ったたまものであり、全党・全軍・全国各民族人民が団結奮闘したたまものである。わたくしは国務院を代表して、全国各民族人民、民主諸党派、各人民団体ならびに各界の方々に対して、心から感謝の意を表すものである。また、香港特別行政区の同胞、澳門(マカオ)特別行政区の同胞、台湾の同胞ならびに海外華僑同胞に対して、心から感謝の意を表すものである。そして、中国の現代化建設事業に関心を寄せ、お力添えしてくださった各国の政府、国際機関ならびに各国の友人のみなさんに対して、心から感謝の意を表すものである。

昨年の政府活動で有効だった思考法と方法は、今後の実践においても引き続き堅持し、模索を重ねて、どんどん完全なものにしていかなければならない。一方でわれわれは、行く手に依然として多くの困難や問題が存在していることもはっきりと認識している。その主なものを以下に挙げる。◇経済は安定を保ちつつ上向きに推移していくうえでの土台がまだ固まっておらず、成長の内生的原動力の増強がなおも待たれている。◇財政・金融などの分野になおもいくつかのリスク要因が存在し、一部業種の生産能力過剰が深刻で、マクロコントロールが難しさを増している。◇農業生産を増やして農民の収入増をはかることがますます難しくなってきている。◇一部の地域で大気・水・土壌等の汚染が深刻で、省エネ・排出削減の任務が極めて重くなっている。◇雇用をめぐる構造的矛盾がかなり大きくなっている。◇住宅、食品・医薬品安全、医療・衛生、養老、教育、所得分配、土地収用・家屋立退き、社会治安などの面で大衆が不満をもつ問題が依然としてかなり多く、労働の安全をめぐる重大・特別重大事故が頻発している。◇社会信用体系が整っていない。◇腐敗問題が発生しやすい分野や多発している分野があり、公職者の汚職や職務怠慢が依然として見られる。以上の問題には、発展の過程で発生したものもあれば、取り組み不足が招いたものもある。存在する問題に対して、政府はまず自らに原因がないか確認し、対策を講じなければならない。大衆の望むところこそが、われわれの施政の方向である。責任と使命を心に刻み、危機感を強め、果敢に取り組み、絶対に気を緩めず、問題を着実かつ効果的に解決し、人民の厚い期待に決して背かないようにしなければならない。

 

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