2014年政府活動報告

 

 

Ⅱ. 2014年度の活動の全般的計画

2014年度も、われわれを取り巻く情勢は依然として非常に複雑であり、有利な条件と不利な要素が並存している。世界経済の回復に不安定・不確定な要素が依然として存在し、一部の国々のマクロ政策の調整によって不確実性がもたらされ、新興諸国の経済がまたもや新たな困難と試練に直面している。世界経済の枠組みが大きく組み替えられ、国際競争がいっそう激しくなってきている。わが国は、発展を支えてきた要素的条件が大きく変化するなかで、深層部の矛盾が浮き彫りになるなど、構造調整の陣痛期、成長速度の変換期を迎えており、難所を越えられるかどうかの大事な時期に差しかかり、経済の下押し圧力がなおもかなり大きい。他方で確認しておくべきなのは、わが国は、大きく発展できる重要な戦略的チャンスの時期が依然として続いており、工業化と都市化が持続的に進められ、地域発展の融通性が高いなど、今後しばらく中高速度の経済成長を保っていくうえで基礎も条件も備わっている、という点である。われわれはリスクの芽を摘み取りつつ長期的な展望をもち、プラス面を生かしてマイナス面を避け、発展の主導権をしっかりと握らなければならない。

今年度の政府活動の全般的要請は次のとおりとする――中国の特色ある社会主義の偉大な旗印を高く掲げ、鄧小平理論、「三つの代表」重要思想、科学的発展観を導きとし、第18回党大会と18期2中総、3中総の精神を全面的に貫徹・実行し、習近平同志の一連の重要談話の主旨を徹底的に実践に反映させ、安定を保ちつつ発展を求めるという活動全体の基調を堅持し、改革・革新を経済・社会発展の各分野・各段階に浸透させ、マクロ経済政策の連続性と安定性を保ち、コントロールの先見性・的確性を高め、改革を全面的に深化させ、開放をさらに拡大し、革新による発展促進の戦略を実施し、あくまでも中国の特色ある新しいタイプの工業化・情報化・都市化・農業現代化の道を進み、パターン転換・構造調整・レベルアップ促進を加速させ、基本的公共サービス体系の整備を強化し、民生の保障と改善に力を入れ、発展の質と効率をしっかりと向上させ、社会主義の経済建設・政治建設・文化建設・社会建設・エコ文明建設を全力で推し進め、経済の持続的で健全な発展と社会の調和・安定を実現する。

今年度の経済・社会発展の主要所期目標は次のとおりとする――◇GDPの成長率は7.5%前後とする。◇消費者物価の上昇率は3.5%前後に抑える。◇都市部新規就業者数は1000万人以上とし、都市部登録失業率は4.6%以内に抑える。◇国際収支の基本的均衡化をはかる。◇住民所得の伸びが経済の発展と比例するように努める。以上の経済成長・雇用・物価・国際収支などの主要目標については、総合的なバランスを強化していく。以下に、二つの目標に重点を置いて少し説明を加える。

経済成長率について。依然として発展途上国であり、いまだ社会主義の初級段階にあるわが国にとって、あらゆる問題を解決するうえでのカギは発展である。それゆえ、必ずや経済建設という中心をしっかりと押さえて、合理的な経済成長率を維持しなければならない。真剣に比較考量を重ねたうえで経済成長率の所期目標を7.5%前後に設定したのは、必要性と可能性をともに考慮したからである。この目標は、小康社会(ややゆとりのある社会)を全面的に実現するという目標にかみ合わせており、市場の自信の強化につながり、経済構造の調整・最適化にもつながる。さらに言えば、安定した成長を目標とするのは、雇用を確保する――都市部の新規雇用創出の必要を満たすとともに、農村から出稼ぎ労働者として都市部に移転してくる労働力のためにも余裕をもたせる――ためであり、根本から言えば、都市・農村住民の所得・収入を増やし、人々の生活を改善するためである。今年度の経済成長率の目標の実現には、プラスとなる要素が少なくないものの、多大な努力を払わなければならない。

物価の水準について。消費者物価の上昇率を3.5%前後に抑えるのは、昨年度の物価上昇のキャリーオーバー効果と今年度の新たな物価押し上げ要素を考慮した結果であり、インフレの抑制と民生の保障に向けたわれわれの決心と自信をも示している。わが国は、農業の生産量が年々増え続けており、工業製品の供給が全般的に需要を上回り、食糧などの物資の備蓄が充足し、輸出入の調節の能力が比較的高いなど、物価総水準の基本的安定を保つのに有利な条件が多く備わっている。ただし、今年度は物価押し上げ要素が比較的多いので、油断することなく、物価のコントロールにしっかりと取り組み、大衆の生活に大きな影響が出てしまうのを確実に防ぎ止めなければならない。

今年度の経済・社会発展の目標と任務を達成するには、以下の原則と政策の方向性をしっかりと押さえなければならない。

(一)改革の深化に向けた原動力を手に入れる。改革は最大の「紅利」(ボーナス)である。現在、改革はすでに難関突破期と「深水区」に差しかかっているため、人民大衆にしっかりと依拠し、必要なことを躊躇せずに実行する決心と、背水の陣を敷いて一戦を交える気概をもって、思想・意識の束縛を打ち破り、凝り固まった既得権益の垣根を突き破り、経済体制改革の牽引で各分野の改革を全面的に深めていかなければならない。大衆が最も望んでいる分野から改革に着手し、経済・社会発展の妨げとなっている最も際立った問題から改革に着手し、社会の各界が共通認識を形成できる部分から改革に着手して、資源配分において市場に決定的な役割を発揮させつつ政府の機能もよりよく発揮し、構造調整につながる改革を積極的に推し進め、市場の主体の活力と生産要素の最適配分の妨げとなっている障害を取り除いて、社会全体の潜在的創造力を存分に解き放ち、公平・正義を大いに発揚し、全人民が改革と発展の成果を共有するようにしなければならない。

(二)経済の動きを合理的な範囲内に保つ。マクロコントロール政策の枠組みを充実させ、安定成長と雇用確保の下限、インフレ防止の上限をしっかりと守り、積極的な財政政策と穏健な金融政策を引き続き実施していく。今年度の財政赤字は、昨年度より1500億元増やして、1兆3500億元――内訳は中央財政赤字9500億元、地方債代理発行額4000億元――計上する。財政赤字と国債の規模は経済規模の拡大に伴っていくらか増えるが、財政赤字の対GDP比は2.1%で安定する。これは財政政策の連続性の反映である。金融政策は緩和と引き締めを適切な度合いに保ち、社会の総需給の基本的均衡を促し、安定したマネー・金融環境をつくり出すものでなければならない。マクロ・プルーデンス管理を強化して、マネーサプライや銀行貸出、社会融資の規模が適度に増大するよう誘導する。今年度の広義マネーサプライ(M2)の増加率の所期目標は13%前後とする。財政・金融政策と産業・投資政策などとの整合性を強化し、政策備蓄(先を見越していろいろな政策案を用意しておくこと)をしっかりと行い、適度な事前調整や微調整を適時行って、中国経済という大きな船が間違いなくいつまでも安定した航海を続けられるようにしなければならない。

(三)質・効率・レベルの向上に力を入れ、民生の持続的な改善をはかる。われわれが目指している発展は、質・効率を向上させ、パターン転換・レベルアップを推し進め、人々の生活を改善する発展である。安定成長をはかりながら、発展が、主に生産要素の投入に頼るものからもっと革新の推進力に頼るものに切り替わり、主に従来の比較優位に頼るものからもっと総合的な競争優位を発揮するものに切り替わり、産業の国際分業におけるロー・ミドルエンドからミドル・ハイエンドにレベルアップし、都市・農村間、地域間の不均衡から均衡・調和に大きく移行するよう促していかなければならない。指導幹部の業績に対する考課・評価体系を整え、各方面の積極性がパターン転換と構造調整の加速、科学的発展の実現に向けられるようしっかりとリードし、雇用と住民所得を絶えず増やし、生態環境を絶えず改善して、経済・社会発展をより効率的、より公平、より持続可能なものにする。

 

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