2014年政府活動報告

 

農業・農村の発展の基盤をうち固める。国は力を集中して重要な大型水利プロジェクトを数多く実施する。今年度は中央予算から水利投資として700億元以上を計上して、引水導水、大型水源の整備、河川・湖沼の治水、高効率節水灌漑などの重点プロジェクトを支援する。各地方政府は中型・小型水利プロジェクトの建設を強化し、農業用水の「最後の1キロ」問題(田畑の手前1キロほどの水利が整っておらず、水がきちんと届かない問題)をしっかりと解決しなければならない。干ばつや水害に強い高基準の農地を数多く早急に完成させ、重要な優良品種を数多く真摯に育成し、新型高効率農機具を数多く研究開発して、普及させる。農村の水道・電気・道路・ガス・通信などのインフラを充実させ、農村の老朽危険家屋を260万戸改築し、農村の自動車道路を20万キロ改修する。出稼ぎなどで農村を離れる人が多いために発生するいわゆる「留守児童・夫人・老人」や「過疎村」の問題を大いに重視する。今年度は、農村の飲用水安全問題を新たに6000万人分解決する。今年と来年の2年間努力を重ねて、すべての農村住民がきれいな水を飲めるようにしなければならない。

 農村改革を積極的に推し進める。農村基本経営制度を堅持しつつ充実させ、農民により多くの財産権を与える。農村の土地請負関係がいつまでも続くようにし、土地請負経営権と農村集団建設用地使用権の確定・登録・証明書発行の業務をしっかり行い、請負地の経営権が秩序立って移転するよう導き、農村土地制度改革の試行作業を慎重かつ穏当に推し進める。家族経営の基礎的地位を保ち、大規模専業農家・家庭農場・農民合作社(協同組合)・農業企業など新型農業経営の担い手を育て、多様な形態の適正規模経営を発展させる。新しいタイプの専業農家を育成する。集団所有林の林権制度の改革を充実させる。国有農場・牧場・営林場の改革を加速する。農業社会化サービス体系を完全なものにし、供銷合作社(農村で農業生産財・消費財の販売と農産物・副業産物の買い上げを行う協同組合)総合改革の試行作業を推し進める。農村改革は、実際の状況を出発点とし、試行作業を先行させ、農民の期待をしっかりと尊重し、農民の合法的権利と利益を断固として守らなければならない。

 貧困脱却扶助開発の方式を刷新する。「集中連片特殊困難地区」の地域発展と貧困脱却扶助という難題の解決をさらに急いで推し進める。国は、地域間にまたがる重要インフラの整備と地域間の経済的連携への支援を拡大し、生態系保護と基本的公共サービスを強化する。地方政府は、貧困脱却扶助資源を整理・統合し、的確な貧困脱却扶助を行って、扶助が各農村・各家庭に確実に行き渡るようにしなければならない。民間の力が貧困脱却扶助事業に参加するよう誘導する。今年度は、農村の貧困人口をさらに1000万人以上減少させる。われわれは貧困と全力で闘って、貧困が親から子へと代々続いていくのをなんとしても食い止めなければならない。

(五)人間を核心とする新しいタイプの都市化を推し進める

都市化は、現代化を実現するうえで必ず通らなければならない道であり、都市と農村との二元構造を打ち破るうえで頼みとすべき重要な拠り所である。都市と農村の発展が一体化する体制と仕組みを整え、「人民の利益を第一に考えること、工業化・情報化・都市化・農業現代化を並行して進めること、配置を最適化すること、エコ文明を発展させること、文化を伝承すること」を旨とする新しいタイプの都市化の道を一貫して歩み、発展の法則に従い、積極的かつ着実に推し進め、質的向上に力を注がなければならない。今後一定期間は、今わが国が抱えている「三つの1億人」の問題をしっかりと解決するよう力を注ぐ。つまり、農業からの移転人口約1億人の都市戸籍への転籍を促進し、約1億人が暮らしている都市部バラック地区と「城中村」(都心にある村)を改築し、約1億人の中・西部地区内での都市化(市民化)を導く。

農業からの移転人口の市民化を秩序立てて推し進める。戸籍制度の改革を促進し、都市規模に基づく差別化転籍政策(今後の発展の余地や人口的余裕などを考慮して都市の規模を基準に受け入れ数に差をつけた政策)を実行に移す。能力や意欲があり、しかもすでに都市部で各種の労働や商売を長年続けている農民工については、その家族ともども、徐々に都市部の戸籍にしていく。まだ転籍が済んでいない農業からの移転人口への対応策としては、居住証制度を設ける。出稼ぎ労働者に随伴して都市部に移ってきた子供のより多くがその都市の学校に入り、滞在先で進学できるようにするとともに、農民工向けの職業技能向上計画を実施する。都市部の基本的公共サービスが常住人口全体に行き渡るよう着実に取り組みを進め、農業からの移転人口と都市部住民が共同で現代的都市文化・生活を築き、分かち合うようにしていく。

中・西部地区の新しいタイプの都市化への支援を拡大する。産業発展力と人口集積力を高め、農業からの移転人口が近場で就職できるようにしていく。交通・水利・エネルギー・都市施設などのインフラ整備をさらに急いで推し進め、中・西部地区の都市群と都市の発展の持続力を増強する。東部地区の都市構造を最適化し、都市化の質とレベルをいっそう向上させる。

都市化の管理の刷新と仕組みの構築を強化する。より大規模にバラック地区の改築を速め、高層ビルが立ち並ぶかたわらにバラック地区が広がっているなどということが絶対にないようにしなければならない。国家新型都市化計画を導きとして、関連計画をしっかりと総合的にかみ合わせるようにする。都市部の建設用地の使用効率を引き上げ、公共交通を優先的に発展させ、歴史的文化と自然景観を保護し、ワンパターンの都市再開発を防ぐ。小都市と村の整備計画に対する管理を強化する。農業からの移転人口の市民化に必要なコストの分担の仕組みや都市建設への多元的な投融資の仕組みの構築を模索する。建設と管理の水準を高めることで、われわれの都市をそれぞれ特色があり、働くにも住むにも快適で、いっそう活気に満ち溢れた場所にしていく。

(六)イノベーションによって経済構造の最適化と高度化を支え、牽引する

イノベーションは経済構造の調整・最適化の原動力である。イノベーションを国の発展全局の中心に位置づけ、科学技術と経済・社会発展との緊密な結びつきを促進し、わが国の産業がグローバル・バリューチェーンのハイエンドへと高度化するよう促さなければならない。

科学技術体制の改革を加速させる。技術革新における企業の主体的地位を強化し、企業による研究開発機関の設立を奨励し、産・学・研(企業・大学・科学研究機関)連携のイノベーション連盟の設立をリードし、企業の研究開発費の二重控除など全体への優遇措置を全面的に実施する。国家自主イノベーションモデル地区でのストックオプションの導入や科学技術研究の成果の処分権・収益権の改革などの試験的政策を、より多くの科学技術産業パークや科学研究機関・大学に押し広める。基礎研究、先端技術、公益的技術、重要な汎用・コア技術に対する政府の投入を増やし、公共科学技術サービスプラットホームを完全なものにし、科学技術重要特別プロジェクトの実施の仕組みを整える。科学研究のプロジェクトと資金の管理を改善・強化し、国家イノベーション調査・科学技術報告制度を実施し、科学技術研究者の起業を奨励する。知的財産権の保護と運用を強化し、科学普及の取り組みと科学的精神の建設を重視する。人材発展計画を踏み込んで実施し、人材関連の重要プログラムを統一的に計画するほか、研究開発員への報酬と研究成果の市場での実績とをリンクさせる仕組みを確立するよう働きかけるなどして、人材の貢献度と報酬がつりあうようにし、さまざまな人材が持てる力をいかんなく発揮できるようにする。

 産業構造の調整に当たっては、改革の力で「増強」と「削減」を並行して進めなければならない。「増強」はより積極的に行う必要がある。生産者向けのサービス業を優先的に発展させ、サービス業総合改革の試行作業とモデル事業を推し進め、文化創造・デザインサービスが関連産業と融合的に発展するよう促し、保険・ビジネス・科学技術支援などのサービス業の発展を加速させる。情報化と工業化との深い融合を促進し、企業の技術改良の加速と精密管理の水準の向上を促し、設備の加速償却などに関する政策を充実させ、在来産業の競争力を強める。新興産業の起業・イノベーションのプラットホームを構築し、新世代移動通信、集積回路、ビッグデータ、先進製造、新エネルギー、新素材などの分野でトップレベルに追いつき追い越し、未来の産業発展をリードする。一方、「削減」はより自発的に秩序立てて進める必要がある。市場競争を通じた優勝劣敗を堅持し、企業の合併・再編を奨励する。生産能力過剰が深刻な業種に対しては、環境保護、エネルギー消費、技術などの基準を強化し、各種の優遇策を整理して減らし、既存の過剰生産能力の一部を廃棄し、生産能力の新規増設を厳しく規制する。今年度は、旧式生産能力を鉄鋼2700万トン、セメント4200万トン、板ガラス3500万重量箱分廃棄し、第12次5ヵ年計画期の「廃棄」の任務の予定より一年早い達成を確実なものにして、真の「圧縮」を成し遂げ、「跳ね返り(リバウンド)」が二度と起こらないようにする。

 

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