2014年政府活動報告

 

 

(七)教育、医療・衛生、文化など社会の諸事業の整備を強化する

 社会の諸事業を繁栄・発展させるのは、社会の公正を促し、人民の幸福を増すうえで効果的な方途である。社会体制の改革を深め、より多くの投入とより力強い措置によって、経済と社会の調和の取れた発展を促進しなければならない。

 教育事業の優先的発展、公平な発展を促進する。中・西部地区と農村への教育資源の傾斜配分を引き続き拡大し、義務教育のバランスのとれた発展を促進する。義務教育が手薄な貧困地区の学校の経営条件を全面的に改善する。貧困地区の農村から重点大学に入学する学生数がまた10%以上伸びるようにして、より多くの農家の若者が進学のチャンスに恵まれるようにする。農村、とくに辺境の貧困地区の教師陣づくりを強化し、良質な教育資源をより広く行き渡らせ、貧困地区の農村児童の栄養状況を改善する。就学前教育を発展させる。特別支援教育向上計画を実施する。引き続き教育への中央財政の投入を増やし、資金の運用効率を高めるとともに運用への監督を強化する。教育総合改革を深化させ、入試・学生募集制度を積極的かつ着実に改革し、省級政府の教育総合計画権と大学の経営自主権を拡大し、民営教育の発展を奨励する。就職を目的とする現代的職業教育体系の構築を加速する。われわれは次世代を担う子供たちに良質な教育を受けさせて、子供たち一人ひとりが公平なチャンスを享有できるよう努めなければならない。

医療改革のさらなる深化を促進する。全国民基本医療保障体系をうち固め、改革を通して都市と農村の住民の基本医療保険制度を整理・統合する。政府と勤務先と個人が合理的に分担する基本医療保険の積み立ての仕組みを充実させ、都市・農村住民基本医療保険への財政補助基準を一人当たり320元に引き上げる。都市・農村住民の重大疾患保険制度を全国で実施する。都市・農村の医療救済と疾病緊急救済を強化する。県立病院総合改革の試行作業を1000の県に広げ、農村人口5億人をそのカバー範囲に入れる。都市公立病院総合改革の試行作業も広げる。「以薬補医」(薬代で病院の収入を補うこと)を廃止し、治療費と薬代を適正化し、民間による医療機関開設の仕組みを刷新する。基本医薬品制度と末端医療衛生機関の新たな運営システムを定着させて完全なものにする。級別診療体系(重いものは上級、軽いものは下級医療機関で治療する制度)を整備し、全科医師(総合医)の養成を強化し、医師が複数の医療機関で診療に当たれるようにしていって、人々が自宅の近所で良質な医療サービスを受けられるようにする。良好な医師・患者関係を築く。重大感染症・慢性病と職業病・地方病の予防・治療の能力を高め、一人当たりの基本公衆衛生サービス経費の補助基準を35元に引き上げる。中国医学・薬学と民族医学・薬学の事業の発展をサポートする。計画出産という基本国策を揺るぐことなく堅持しつつ、夫と妻のいずれかが一人っ子である夫婦が子供を二人持てるようにする政策をしっかりと実施する。人民の心身の健康と家庭の幸福のために、われわれは揺るぐことなく医療衛生改革を進め、中国独自の方法でこうした世界的な難問をうまく解決していかなければならない。

文化は民族の血脈である。社会主義の中核的価値観をはぐくみ、それを実践するとともに、公民道徳建設と精神文明建設を強化する。文化体制改革を引き続き深化させ、文化経済政策を充実させ、文化面の全体的な実力と競争力を高める。基本的公共文化サービスの標準化・均等化を促し、文化・芸術、報道・出版、テレビ・映画・ラジオ、資料・公文書保存などの事業を発展させ、哲学・社会科学を繁栄・発展させ、全国民読書キャンペーンを行う。文化産業の発展水準を向上させ、文化市場を育成しつつ規範化する。優れた伝統文化を受け継ぎ、伝え継ぎ、発揚し、文化財の保護を重視する。文化の海外発信を加速し、文化産業の貿易を発展させ、国際的発信力の強化をはかり、国の文化的ソフトパワーを増強させる。全国民健康増進運動と競技スポーツとスポーツ産業を発展させる。悠久の歴史をもつ文明国であるわが国は、必ず現代の文化強国にもなれる。

社会統治(ソーシャル・ガバナンス)の刷新を推し進める。法治方式の運用を重視し、多元的な主体による共同統治を行う。村民委員会・都市部住民委員会の事務公開制度と民主的管理制度を健全化して、公共サービスと社会統治における社会組織の役割をよりよく発揮させる。緊急事態管理を強化し、公共安全保障と防災・減災・災害救助の能力を高め、地震・気象・測量マッピング関連の業務にしっかりと取り組む。投書・陳情の受理制度を改革し、社会的矛盾を現地で遅滞なく解消する。行政不服審査の業務を強化する。法律知識普及のための教育を踏み込んで展開し、法的支援を強化する。社会治安総合対策を強化し、暴力テロ犯罪活動を断固取り締まり、国の安全を守り、好ましい社会秩序をつくり出し、「平安な中国」をみなで築き上げる。

(八)統一的計画に基づいて民生の保障と改善にしっかりと取り組む

「民これ邦(くに)の本(もと)なり、本固ければ邦寧(やす)し」(人民は国の本であり、本がしっかりすれば国は安定する)。政府活動の根本的な目的は、全人民が幸せな生活を送れるようにすることである。仕組みの整備、脆弱な部分の補強、最低ラインの厳守を堅持し、大衆の基本的生活を保障し、人民の生活の水準と質を絶えず高めていかなければならない。

就業は民生の本である。雇用優先戦略とより積極的な雇用政策を一貫して実施し、就業・起業の環境をさらに整え、イノベーションによる起業の牽引、起業による雇用の増加をはかる。今年度の大学新卒者は727万人に達する見込みである。そのため、より多くの雇用を創出し、就職・起業サービスを間断なく実施し、大学新卒者の就職・起業の割合を高める必要がある。都市部の就職困難者へのサポートにいっそう力を入れ、「ゼロ就業」家庭となっている各世帯で少なくとも一人が確実に就業できるようにし、旧式生産能力の廃棄に伴う関係従業員の再配置・再就職の業務をしっかりと行う。農村からの移転労働力や除隊・退役軍人などの再就職対策を統一的に計画する。より十分で、より質の高い就業の実現に努めて、労働者がよりいっそうの誇りと尊厳をもって生活できるようにする。

所得は民生の源である。所得分配体制の改革を深化させ、所得格差の縮小に努めなければならない。企業の従業員の賃金の決定と正常な賃上げのメカニズムを整え、賃金の集団協議を推し進め、調和のとれた労使関係を築く。国有企業の責任者の報酬に対する管理を強化・改善する。政府機関・事業体の給与制度を改革し、事業体において業績給制を徐々に導入し、医療関係者などについて業種の特徴に合った給与制度を整え、苦労の多い辺境地区で業務に当たっている公務員への手当を増額する仕組みを整備する。さまざまな方途で低所得者の収入増をはかり、中所得者の割合を絶えず高めていく。都市・農村住民の所得・収入が経済の発展とともに増えていくようにし、広範な人民大衆の一人ひとりが実益を実感できるようにする。

 社会保障は民生の礎である。重点となるのは、社会救済制度の改革を推進し、都市・農村の最低生活保障の水準を引き続き向上させ、臨時救済制度を全面的に実施し、特別生活困窮者の基本的生活を保障し、人々が起業に励めるよう後顧の憂いを取り除くことである。統一された都市・農村住民基本養老保険制度を確立し、企業職工(従業員)基本養老保険との連結細則を完全なものにする。政府機関・事業体についても養老保険制度を改革し、その企業年金・職業年金・商業保険の導入を奨励する。失業保険制度と労災保険制度を充実させる。社会救済・保障の基準を物価水準にスライドさせる仕組みを着実に機能させる。高齢者事業を発展させ、女性の権利と利益を保障し、青少年の成長に気を配り、未成年者保護と困窮家庭保障を強化し、障害者向けの基本的公共サービスと障害の予防を十分に行い、慈善事業の発展を支援する。困難な境遇にあるすべての人々に社会の思いやりと優しさがもれなく届くようにする。

 住宅保障の仕組みを整備する。「すべての人々の居住条件をよりよくする」ことを目標として、分類別の指導、段階別の実施、行政レベル別の担当を堅持し、保障タイプ住居プロジェクトの建設にさらに力を入れ、今年度は新たに700万戸以上――そのうち、各種バラック地区のものは470万戸以上――着工し、関連施設の建設を強化する。大都市の保障タイプ住宅の割合を高める。公共賃貸住宅と廉価賃貸住宅の一本化した運営を推し進める。政策性住宅(保障タイプ住宅)建設への投融資の仕組みと手段を刷新し、市場化された運営方式を採ることにより、保障タイプ住宅の建設のために長期的で安定性があり、コストが妥当な資金的支えを整える。各級政府は財政投入を増やし、建設の質を高め、公平な分配を確保し、入居・退去の仕組みを整え、年内に保障タイプ住宅480万戸を基本的に完成させて、住宅難に苦しみながら住まいを待ちわびている人々が一日も早く新居に入れるようにしなければならない。さまざまな都市の状況を分類して建設目標をコントロールし、中・小型の分譲住宅と共同所有住宅(政府から資金を借りて購入し、返済が済むまでは政府との共同所有とする住宅)の供給を増やし、投機・投資目的の需要を抑制して、不動産市場の持続的で健全な発展を促す。

 人命はかけがえのないものである。それゆえ、安全生産に対してはいついかなるときも決して気を緩めてはならない。安全生産に関する法律・法規を厳格に執行し、安全生産責任制を全面的に実施して、安全をめぐる重大・特別重大事故の発生を断固食い止めなければならない。市場の秩序の整頓と規範化に力を入れ、引き続き集中取り締まりキャンペーンを展開し、ニセモノ・粗悪品の製造・販売を厳しく処罰する。生産・加工から流通・消費までの全過程監督管理メカニズム、社会共同管理制度、トレーサビリティシステムを確立し、中央から地方、さらには末端に至るまでの食品・医薬品安全監督管理体制を整える。法規と基準を厳しく守りながら、最も厳しい監督管理、最も厳しい処罰、最も厳しい問責によって、食卓の汚染を断固として一掃し、「人々が口にする食品の安全」を確実に保障する。

 

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