期待される大きな潜在力

 

張雪=文

昨年10月29日、ヨーロッパとアジアを結ぶ海底鉄道トンネルがトルコで開通した。トルコは「古代シルクロード」が必ず通らなければならない土地だったが、今ではユーラシア大陸を結ぶ初の海底トンネルの開通によって、ロンドンで乗車し、イスタンブールを経由して北京に行くことが可能になり、「現代版シルクロード」を連想させると言われている。

同時に、新疆ウイグル自治区でも高速鉄道の建設が進んでいる。完成すると、ウルムチから北京までの所要時間は今の33時間から12時間に短縮される。「経済ベルト」建設の夢は各国の努力の下に実現に向かって発進した。

中央アで「中国風」が流行

1992年、中国はカザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、トルクメニスタン、タジキスタンの中央アジア5カ国と国交を樹立した。それ以来、2国間の経済・貿易協力は迅速に発展してきた。2012年、中国と中央アジア各国間の貿易額が460億㌦に達し、20年間で100倍増加した。 

現在、中国がカザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタンの2番目の貿易パートナーであるだけでなく、ウズベキスタン、キルギスの1番目、タジキスタンの2番目の投資相手国でもある。

2013年9月4日、中国・トルクメニスタン共同建設の天然ガス田第1期プロジェクトの竣工・開業式にトルクメニスタンのベルディムハメドフ大統領とともに出席した習近平国家主席(左端)(新華社)

近ごろ、カザフスタンの街を歩いていると、流暢とは言えない中国語を操って熱心に中国人とあいさつを交わす地元の人々をよく見かける。中国企業はカザフスタンに多額の投資を行い、雇用機会を大幅に増やしている。カザフスタンでは、中国語ができることがすでに就職の「金の鍵」になっている。両国の友好往来が頻繁になるにつれて、中国で休暇を過ごし、ショッピングを楽しみ、中国の病院で診療を受け、中華レストランで食事し、中国茶を飲むなど「中国風」が流行している。

中国と中央アジアの協力のハイライトはエネルギー協力。昨年9月、習主席はトルクメニスタンで、同国のベルディムハメドフ大統領と会談し、両国の戦略的パートナーシップの構築を宣言した。その後、両国指導者は、中国・トルクメニスタン天然ガス協力協定に調印し、ともに中国石油天然ガス集団(CNPC)が建設を請け負ったトルクメニスタンのガルキニシュ(復興)ガス田第1期工事竣工・開業式に出席した。

ここ数年、中国・カザフスタン石油パイプラインや中国・中央アジア天然ガスパイプラインなど大規模なエネルギー協力プロジェクトが相次いで完成、運営を開始し、中央アジアの地域経済発展に新鮮な血液を注入している。2800㌔に及ぶ中国・カザフスタン石油パイプラインは、2006年に正式に開通して以来、すでに中国とカスピ海を結ぶエネルギーの大動脈となり、中国に計5000万㌧以上の原油を輸送している。

新出発点には新たな好機

昨年9月、ウルムチで開催された中国・ユーラシア博覧会に参加したカザフスタンのアダメンカン貨物運輸会社のバダロフ社長はウルムチを「第二の故郷」と感じている。「中国との協力のおかげで、カザフスタン国内のインフラ整備の見通しが明るくなった。わが社はこの分野に業務展開するつもりなので、新しい機械や設備を購入したい」と、分厚い名刺のたばを手に熱っぽく語った。

「経済ベルト」がカバーする人口は30億人にのぼり、市場規模は非常に広大だ。東側は活気にあふれているアジア・太平洋経済圏と接し、西側は発達したヨーロッパ経済圏につながるこの経済ベルトは、「全世界で最も長く、最も発展の潜在力が大きい経済回廊」と考えられている。この「回廊」の腹部に位置する中央アジア各国は自国の地理的な優位性を大いに大切にし、「シルクロード」の効果を借りて、国の経済を復興させたいと願っている。中国が提起した「シルクロード経済ベルト」構想は中央アジア各国の発展願望と合致している。

2011年9月、新疆ウイグル自治区ウルムチで開催された第1回中国―ユーラシア博覧会は「シルクロード経済ベルト」沿いの各国が商業・貿易の交渉をする重要な場だった(CFP)

華東師範大学国際関係・地域発展研究院の馮紹雷院長は、この先5年間、中国の対外投資総額が5000億㌦を超え、その内、1500億㌦以上が近隣諸国に投資され、最初に選ばれた投資相手国は中央アジアだ、と指摘している。

中国政府の特別融資と援助の下、中国企業は中央アジアにおいて、道路、テレコム、電力などのインフラ施設プロジェクトを請け負っている。中国―キルギス―ウズベキスタン道路、タジキスタン―ウズベキスタン道路、タジキスタン国境内の送変電網など一連の経済協力プロジェクトがすでに着手されている。

2012年4月、中国・カザフスタン国境を跨ぐホルガス国際国境協力センターが正式に始動し、中国と他国が設立した初の越境自由貿易区(FTA)であり、SCOの枠組み内の地域協力モデル地区でもある。

中国の西向きの開放に対し、中央アジア各国も積極的な姿勢を示している。キルギスのサリエフ経済相は、「われわれがうれしく見ているのは、わが国の各分野において、すでに400社以上のキルギス・中国合弁企業が成功していることだ。双方の投資・協力の潜在力はまだまだ大きい」と、称賛している。

タジキスタンのダフラトフ第1副首相は、同国と中国が新疆で、両国間の自由貿易区設立の可能性と国境地帯における農産品貿易の拡大について共同研究したい、と強調している。

 

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