平安 アジアス投資で悪夢

 

張雪=文

1988年、広東省深圳市で産声を上げた中国平安保険グループは、中国初の株式制保険会社で、これまで次第に保険、銀行、投資の3大業務を一体化した総合金融サービスグループに成長してきた。

2007年、次第に力をつけてきた平安は海外金融プラットホームを配置するため、欧州富通(アジアス)グループ傘下のアジアス銀行に投資を始めた。その年の年末、平安は18億1000万ユーロでアジアスの9501万の株を取得し、同グループの最大の単一株主になった。

盲目的な出資は平安グループの対外投資を挫折させた(東方IC)

予想できなかったのは、平安がアジアスの株を買ってまだ1年も経たない時に、全世界を席巻した金融危機が発生し、アジアスも重傷を負った。2008年下半期、アジアス株は96%以上暴落した。

これに対し、ベルギー政府が国有化救済案を打ち出し、アジアスを分割して売却した。アジアスは従来の「銀行と保険の双頭のワシ」から、国際保険業務しか保有しない一保険会社になり、株価も1株1ユーロ未満に下落した。平安が当初大きな期待を掛けた投資は、悪夢に一変してしまった。

2008年10月2日、平安はやむを得ず以下のように発表した。「当面する市場の環境、現状にかんがみて、取引の前提条件は完全に満足されない見通しであり、双方の友好的な協議を通じて、中国平安のアジアス傘下の資産管理会社の株買収に関する協議はすでに停止された」。これで、平安の238億元(当時のレートで約3570億円)の対外投資は水泡に帰した。

平安の今回の「ワーテルロー的な大敗」に対し、中国の業界関係者はこう分析した。平安は眼前の利益を焦り、盲目的に出撃したため、アジアス買収前に戦略的なリスクを真剣に評価しなかった。その後、金融危機の影響がさらに拡大し、深刻化し、資産価値が下落した状況下で、平安はこれによって発生した戦略的リスクに対しても、評価せず、あるいは評価しても正確性に欠けていた。これらが今回の投資失敗を引き起こした最も重要な要因だ。

今でも、平安のこの痛ましい経験は一つの警告として、中国企業が対外投資する時にいつも想起されている。

 

人民中国インターネット版

 

 
人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850