農民を土地の主人に

 

張春侠=文

妻に心臓病の持病があるために、王明祥さんは十数年間出稼ぎには出ず、家で5ムー(1ムーは約667平方㍍)余りの畑を耕し、3000元近い年収を得てきた。このような生活が2008年3月まで続いた。

王さんは成都市の管轄する都江堰市柳街鎮鶴鳴村第7組の村民である。2008年3月の最終日、王さんは「農民土地請負経営権証」「集団土地使用権証」「家屋所有権証」「林業権証」という数冊の新しい証書を受け取った。彼と共に村の34戸の村民たちがこれらの証書を受け取ったが、彼らは自分が中国で初めての「四証書が全部揃った」農民であることを知らなかった。

これらすべてが、2008年1月1日に成都で発表された「一号文書」に由来する。この文書は改革の重点を、農村の集団所有地と家屋権の確認・登記の推進、耕地保護メカニズムの刷新、土地請負経営権の流動推進、農村の建設用地使用権流動と農村家屋財産権・使用権の流動テスト地点の推進などの目標に置くものである。

2007年6月7日、成都は「全国統一都市・農村総合付属施設改革テスト地区」として認可された。同年12月19日、成都は都江堰市を農村財産権制度改革テスト地点に確定し、続けて鶴鳴村を中国農村財産権制度改革の第一の村とした。

過去20年間、鶴鳴村は人が次々と去ってゆく過疎の村であり、大量の村民が耕地を捨て、村を離れて都市へと移り住んでいった。村の第7組全戸の中で、10戸が請負耕地を放棄する声明にサインをして、村を去っていた。しかし2006年に、農業税が全面的に廃止されると、村民が戻ってきて耕地を取り戻そうとした。

「以前は土地を捨てた人がいると、別の農民がそれを使い始め、現在その土地が誰のものなのかあいまいになっており、この種の問題の調停で、村の役人は頭を痛めていました」と、鶴鳴村党支部の劉文祥書記は語る。当時、財産権改革が進行しており、彼らは農民の家族財産を明確にする手伝いをしていて、土地の権利が誰に属するのか、はっきりさせることがその業務の重点となった。

このため、村に議事会をつくり、各組に調停グループを組織して、村民間のもめ事の調整に当たらせた。彼らは各土地を隣り合う四辺と共に順番に図面に起こし、現地調査の際にこの図面を持って測量して確認し、図面上に直接土地の面積、タイプ、権利者などの基本情報を記していった。もしもめ事が発生したら、議事会でそれを調停・解決し、意見の一致をみた後、農民がサイン・捺印して承認した。このようにして鶴鳴村はわずか1カ月で各種のもめ事を解決し、村民たちは無事土地の権利証書を手に入れたのである。

後に鶴鳴村のこの経験が成都市全市に応用された。成都では3年をかけて基本的にすべての農民の権利が確認され、農民は権利証書を手にした。

国家発展・改革委員会国土開発と地区経済研究所の肖金成所長は、成都で行われた農村財産権制度改革は、現在推進されている新型都市化の過程における最も核心的な問題の一つであると語る。「権利を確認し、証書を発行することは、成都の土地改革の中でも最も大きな試行・経験でした」

国務院発展研究センターの韓俊副主任は、「証書の発行は形式的なもので、権利の確認こそが核心です。農民に自分が土地の主人であることを実感してもらわねばなりません」と語る。

自宅の目の前にある農地で農作業をする成都市柳街鎮鶴鳴村の周亜英さん

 

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