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白茶の香りに千年の歴史 | ||||||
日本の皆さんの多くは、福建省と言えば、恐らくお茶を連想するだろう。確かに油分を取るので日本人に好まれている烏龍(ウーロン)茶の原料は福建なので、福建はウーロン茶の生産が盛んだという印象が強いのだろう。福建は中国茶の主要生産地の一つだが、海外で名声が高いのはウーロン茶だけではない。英国人が最初飲んだ紅茶は寧徳福安坦洋村産で、リプトン紅茶の祖先だと思われる。茉莉花(ジャスミン)茶は同じように日本人に好まれているが、これも福建名産だ。しかし、外国人にあまり知られていない寧徳産のお茶は「白茶」で中国の茶葉市場で最も評価が高いお茶だ。 眠気覚まし効果を見つけた 白茶に関する文献を探すと、唐代の陸羽の著書『茶経』に「永嘉県の東三百里に白茶有り」とある。白茶は千年以上前にすでに発見され、記載されていたことが分かる。またその産地がたいそう辺鄙なところで、生産量が非常に少なく、古来「伝説の奇茶」と呼ばれていたことも書いてある。白茶山というのは太姥山のことで、寧徳の福鼎市にある。古い文献には「太姥に登り、雲の上で茶を尋ねる」と記録されている。 くねくね曲がる狭い石段を上ると、突然、目の前が広がり、そこに国興寺があった。この寺は唐代(618~907年)に建立され、宋代(960~1279年)に火事で焼失し、今ではその跡が残っているだけだ。今ある大殿は1992年に再建されたものだ。寺から頂上は雲に飲み込まれている太姥山の巨大な花崗岩の山腹が見え、足を止めると、雨と霧が山肌を包み、まるで雲の中にいるような感じだった。 国興寺の釈題修住職は僧侶たちが起居している僧坊の広間にテーブルを用意している。観光客、参拝客はここで一休みし、お茶を味わうことができる。テーブルには茶葉が入った二つの缶が置かれていた。釈題修住職は、ひとつの缶には濃緑色の葉がまっすぐの新茶が入れてあり、もう一つにはこげ茶色の葉が曲がっている古茶が入っているが、どちらも寺僧たちが山から取ってきて、作ったお茶だと説明してくれた。 お茶とお寺について、中国には「深山に古寺多く、古寺に銘茶多し」という言い方がある。僧侶たちは山間で苦しい修行に励み、早朝から読経、参禅があり、眠たかったに違いない。彼らはお茶に眠気覚ましの効能があることを発見し、座禅の前にお茶を一杯飲むようになった。さらに、僧侶たちは寺の周りにお茶の木を植え、時期が来ると茶葉を摘み、煎じて保存し、普段からよく飲むようになった。そのうち、お茶は修行の一部になり、「禅茶一味」とも言われるようになった。
住職は、お茶の木を植え、煎じた理由について、年中保存しておく老白茶のもう一つの用途を話してくれた。太姥山にやってくる観光客、参拝客は大変多いが、標高が高く低温多湿で、平地から来た人々には適せず、風邪を引きやすい。そうした時、僧侶たちは老白茶を炭火で煎じて飲ませる。すると、身体が温まり、寒気、湿気を取り除く効き目がある。山里の人々は白茶は1年目は草で、3年目にお茶になり、5年目には薬になり、7年たつと宝物と言う。現代医学の観点からも、白茶は血圧を下げ、コレステロールを下げる効能が認められ、さらに美白にも効き目があり、近ごろ白茶は中国人の間で人気沸騰で、女性がきれいになるお茶とされている。 住職は炭火ではなく電気ポットでお茶を入れていた。こうすると早くお客さんにお茶を飲んでもらえるからだ。白茶と言うが葉は焦げ茶色、入れたお茶はキツネ色で、どこにも「白」はない。実は、新芽が銀白のうぶ毛に覆われているところから名前が付けられた。住職は「現代人はお茶においしさを求め、香り、色、口当たりを極めようとしますが、少し珍しさを試した後、やはり1杯の薄いお茶を飲めば十分だと思っています。生活は淡々としているのが、実は最も楽しいのです」と話していた。
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