沈暁寧＝文

東西の歴史に大きな役割

古代シルクロードは紀元前２世紀頃に出現し、長安（現在の西安市）からローマに至る７０００㌔余りのユーラシアにまたがる交易の大動脈として、１０００年余りにわたって中国の絹織物、陶磁器、茶葉などを中央アジア、欧州に運び、ブドウ、ニンジン、玉、香料など西域の特産を東方にもたらした。交易や往来に伴い、東西の文化、宗教がこの道を通じて相互に伝わり、相互に融合した。現在の人々にも、敦煌の莫高窟、楼蘭古城といった訪れる人を魅了する文化的観光地を残してくれている。

非常に繁栄した古代シルクロードだったが、戦乱やとりわけ大航海時代がもたらした海上貿易が次第に国際貿易・輸送の中心となっていく変化の中で、陸上のシルクロードは14世紀頃から次第に衰退していった。しかし、人々のこの道に関する探索や研究はなおも盛んになっている。中国、日本ひいては世界の「シルクロード熱」は衰えることのない話題だ。シルクロードが請け負った東西物資の流通、技術の交流、文化の伝播、民族の融合などは、人類文明発展の歴史に深い影響を与えた。

今もロマンを育む古代シルクロードの魅力（東方IC）

ほぼ陸上を通るシルクロードの誕生と同時に、中国の商船は東南に大きく広がる海を越え、絹織物や陶磁器を満載して日本や朝鮮半島に赴き、あるいは東南アジアに向かった。その後数世紀の間に、揚州、泉州、広州は海上貿易で世界有数の港湾都市に発展し、この航路は後の人々に海のシルクロードと呼ばれるようになった。

海のシルクロード最盛期には、中国の港湾都市の港には東南アジアから運ばれた木材や香料が積み上げられ、市中には異なった文化を持つ建物が建てられた。中でも泉州は仏教、道教、キリスト教、イスラム教、マニ教などの宗教が平和共存していたことで知られる。その共存ぶりから同市は後の世の人々に「宗教博物館」と呼ばれるようになったが、これは世界でも非常に珍しいものだ。船舶で中国を訪れた人々の中には、日本の遣隋使、遣唐使など特殊な来客もいた。彼らは中国で生活、遊歴し、中には官職に就いた者もいた。彼らは学んだ中国文化を日本に持ち帰って伝え、日本の古代文明発展に大きな役割を果たした。こうした歴史の構築にも、海のシルクロードは欠くことのできない存在だった。

１４０５年、明の朝廷は鄭和を初めての大航海に派遣した。その後30年間にわたって、鄭和は７度の大航海を行い、海のシルクロードをアフリカ東海岸と紅海沿岸にまで延伸した。２万７０００人の乗組員と大小２００艘の船舶から成る鄭和の大船団は太平洋からインド洋の航路を開拓し、平和的手段で航路上にあるアジア、アフリカ諸国間の文化と貿易を広めた。しかしながら、１５００年以後、明朝は鎖国政策を実施した。その後の為政者たちもそれを引き継いだため、さらに遠くまで伸びたかもしれない海のシルクロードはここについえ、航路上の沈没船とともにはるかな波間に消えていった。

今日、陸のシルクロードと海のシルクロードの輝かしい歴史を振り返ってみれば、それらが千年の長きにわたって人類の文明発展を促進した原因は、また後の人々を深く魅了し、研究させる最も重要な理由は、寛容さとウインウインの関係を基本精神にしていたからであることが分かる。まさに、習近平国家主席がシルクロードの意義について述べている通りだ。「この古いシルクロードで、各国人民は長く伝わる友好の編章をともにつづってきた。２０００年以上の交流の歴史は、団結と相互信頼、平等と総合利益、寛容さと相互学習、協力とウインウインを堅持すれば、異なった民族、信仰、文化を背景にした国家が、完全に平和を分かち合い、ともに発展することができることを証明している。これは古代シルクロードが私たちに残してくれた貴重な啓示である」

可能性に満ちた二つの構想

昨年９月７日、習近平国家主席がカザフスタンのナザルバエフ大学で講演を行い、新しい協力モデルを作り出し、ともにシルクロード経済ベルトを建設し、沿線の各国人民に幸福をもたらす大事業としていくことを提唱した。

同年10月３日、習主席は訪問先のインドネシアで、中国は東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）各国とともに21世紀海上シルクロードを建設し、海洋におけるパートナーシップを発展させていきたいと述べた。

2014年5月、甘粛省蘭州に「１帯１路」沿線の33カ国の代表が集い、「陸海のシルクロードを振興し、アジア地域経済の一体化を図る新しい枠組み」をテーマに討議した

二つの現代のシルクロード構想の提唱は、国際社会から幅広い関心を集めた。ロシアのガルシュカ極東発展大臣はこれを評価して次のように述べた。「シルクロードはヨーロッパ、アジア両大陸を一つに結ぶもので、両大陸の共同発展を促進する。また世界の多様な発展をも促進する。シルクロードを通して多くの国家の人民を結びつけることができ、シルクロードの再建は非常に有意義なことだ」。カザフスタンのジャナル・アイトジャノワ経済統合問題担当相は「シルクロード経済ベルト建設は中央アジア地域の経済貿易一体化を促進し、シルクロード関係各国に歴史的なチャンスをもたらし、いずれの国もそこから多くの実利を得られるだろう」と話している。ラオスのトーンシン・タムマヴォン首相も、アジアのシルクロードの復興はこの地域がグローバル経済成長のさらなる重要な推進力となることを促すものだと評価している。

高速鉄道が砂に埋れる遺骸となった隊商のラクダの傍らを駆け抜け、巨大貨物船が海底に眠る帆船の上を汽笛とともに通り過ぎる。協力とウインウインを併せ持つ現代のシルクロードは、さらにスピードアップした物流と自由な貿易を広範に融合させ、世界経済の発展に拍車をかけ、数十億人に新たな希望をもたらすものだ。全人類の持ち物であるシルクロードは、この時代に再び新たな歴史を作っていくはずだ。

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