ASEAN各国が大歓迎

 

張雪=文

約600年前、明の時代に、航海家・鄭和は大船隊を率いて、7度にわたって南洋、インド洋方面に遠征、この時期に古代中国と東南アジア、アフリカ、欧州との海上交流はピークに達した。

世界経済が高度に融合している現在、各国の経済発展にとって、国際交流はすでに必ず通らなければならない道となった。このため、中国は「21世紀海上シルクロード構想」を提唱した。

1000年前のにぎわい

春の新茶の出荷が始まった今年4月、中国一の茶葉産地福建省泉州市安渓県で茶葉の取引が盛んに行われていた。ある茶葉卸売市場の取引会場はすでに業者で水も漏らさぬほどの込みようだった。

「海上シルクロード」を通じて海外に輸出されている高級中国茶(東方IC )

安渓中国茶都有限公司の陳加勇総経理は「最近では、一日当たりの茶葉の取引量は200㌧前後に増えている」と説明してくれた。開業して以来十数年間に茶葉の取引額は2001年の3億元(当時の1元は約14円)近くから、昨年は22億5000万元に達しているそうだ。。

海外の業者もビジネスチャンスを求めて安渓に殺到した。「ここ数年、中国茶の購入を希望する海外の業者がどんどん増えている」と、八馬茶業会長で国家級無形文化遺産後継者の王文礼氏は次のように紹介してくれた。主に日本、東南アジア、欧米に輸出されており、昨年アフリカに輸出された高級ウーロン茶の単価は1㌔164㌦で、記録を更新した。

安渓は泉州に属するが、旧泉州港は1500年余の歴史を誇り、かつては古詩に「漲海声中万国商(波の音に世界中から集まった商人の活気がみなぎる)」とうたわれるほど繁栄した。現在の泉州港は28カ国・地域と行き来し、昔ながらの活気にあふれている。

ウインウインを意味する

シンガポールの学者、経済人は中国の「海上シルクロード構想」に、大変興味を持っている。彼らは「シルクロード」を通じた貿易と文化の交流は、中国とASEANの国々にとって、ウインウインを意味すると考えている。

「もともとベトナムに行くつもりはなかったが、豪華客船の話を聞いて、参加した。ハロン湾まで行ったが、本当に行った価値があった」と、北京の張倩さんは今回のベトナム観光を心から喜んでいた。

豪華客船「北部湾の星」に乗っていた張さんら200人余の乗客は、5日間の海の旅を終え、広西チワン族自治区北海に戻った。中国の観光客は身分証明書だけあれば、ベトナムまで船旅に参加できる。

広之旅国際旅行社株式有限公司の温前総裁補佐は、東南アジアの国々は中国人の主な観光目的地だとして次のように話してくれた。「現在、『海上シルクロード構想』を機に、スリランカ、インドとの観光協力を進めている。近くユニークな南アジア観光コースを打ち出す予定だ」

広西・南寧市民の韋永春さんの家には、さまざまな熱帯果物が皿に盛られていた。「10年前はこうした果物は高いだけでなく、買うのも難しかったが、今ではどこでも手に入るし、安くなった」と喜んでいた。

人気を集めている精巧なイラン磁器も海路で中国に運ばれてくる(東方IC)

果物貿易に十数年従事している王建民さんは次のように紹介してくれた。「かつて、タイから南寧まで、果物の輸送には7日から8日かかったため、マンゴスチンが香りと甘さがなくなってしまった。今では、果物はバンコク―南寧の直行ルートを通じて、1日前後なので、前日までタイの果樹園になっていた果物が、翌日には中国の家庭の食卓に載るようにできる」

「21世紀海上シルクロード」について、中国―ASEAN自由貿易区に住む人々にとって、スムーズな果物貿易がまず思い浮かぶだろう。

今年5月、福建省馬尾で、5億元の資金が投入された中国─ASEAN海産物取引市場が中国初の対外向けプラットフォームとして正式にスタートした。統計によれば、同地域の遠洋漁業の水揚げの約60%が馬尾の市場を通じて、中国に流通している。今後この取引プラットフォームにオンライン取引、などが導入されれば、ASEANの海産物がより簡単に中国市場に運ばれ、中国の消費者もより新鮮で安いASEANの海産物を買えるようになる。

中国とASEANが2003年に戦略的パートナーシップを構築して以来、双方の貿易額と投資規模は拡大しつつある。今年第1四半期、中双方のの貿易額は前年同期比4.9%増の1052億2000万㌦に達し、また中国の対ASEAN投資は10億5000万㌦、ASEANの対中投資は19億6600万㌦だった。

日本やイランなども注目

昨年10月3日、習主席はインドネシアの議会で行った演説で初めて「21世紀海上シルクロード構想」を打ち出し、各界の注目を集めた。

イラン・ラシュト市のムハンマド・ハリリ市長は次のように評価した。「イランは海上シルクロードの沿線国であり、かつて中国の磁器やシルクなどの商品を欧州各国に輸出する拠点だった。イランと中国両国は、古くから緊密な協力関係にある。2000年余の歴史を有する海上シルクロードは昔各国の交流を大いに促進したが、今後も重要な役割を果たすことを願っている」

日本では元外務省中国課長の浅井基文氏が次のように述べた。「中国は輸出主導型から内需主導型に戦略転換しているが、これはアジアを含む世界各国により大きな対中輸出市場を提供し、世界経済の発展にとって、戦略的な意義を持つだろう。現在、日中関係は冷え込んでいるが、日本経済の回復は良好な対中経済関係と切り離せない」

インドネシアのジャーナリストで政治アナリストの李卓輝氏は、アジア最大、世界第2位の経済体として、地域経済の一体化に関して、中国が発揮すべきリーダーシップが注目されている、と分析する。さらに「中国とASEAN各国はこれまでに緊密な政治、経済・貿易、人的文化的協力関係を築き上げ、インドネシアの各民族は中華民族と強い友情で結ばれている」と語った。

林楚欽氏はじめ、シンガポール中華総商会の鍾音堅副会長らの華商は次のように認識している。「華商は、中国がASEANと緊密な経済協力を持続して行く過程で、一定規模の産業と資本構造を整え、『1帯1路』とりわけ『21世紀海上シルクロード構想』において、特に優位性があり、建設的な役割を果たせる」

マレーシアのムスタファ貿易工業相は、「21世紀海上シルクロード」について、マレーシアは全力で支持し、包括的な計画を立て、両国の港湾間の協力を推進する、と語った。

 

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