あの暗黒時代を忘れずに

 

 

6人の命が爆撃で奪われた

日本軍国主義の侵略に立ち向かうため、日本軍による1931年の中国東北部占領以降、中国の軍隊と人民は粘り強い抵抗を始めた。1945年8月の日本軍投降までの14年間にわたり、中国は3500万人の死傷者と1000億㌦を超す直接的な経済損失という代価を払った。その上、戦争が中国人にもたらした精神的な傷は計り知れず、今でも消えていない。

1939年の旧暦8月14日、渡し船で生計を立てていた重慶市陳家橋の張永芳さん一家がちょうど昼食を終えた時、空から突然「ブーン」という音が響いてきた。重慶を爆撃するために飛来した日本軍機のエンジン音だった。続いて1発の爆弾が張さんの自宅の庭に落ち、家は一瞬のうちに吹き飛ばされ、家族全員が廃墟に埋もれた。張さんの記憶によれば、当時7歳だった彼女はがれきの中で独り泣き叫びながら、隣近所の人たちが廃墟の中から父と姉の遺体を掘り出すのを眺めていた。周囲の木には、爆弾でちぎれた手や足が引っかかっていた。張さん一家の家族6人の命が奪われただけでなく、これ以降、張さんは強烈な音や光を怖がるようになり、写真を撮られるのも避けるようになった。 

これは日本軍による218回の重慶爆撃のうちの1回に過ぎない。不完全な統計によると、重慶爆撃で日本軍は延べ9513機の航空機を出撃させ、2万1593発の爆弾を投下した。1万1889人の市民を殺害し、1万4100人にけがを負わせ、3万棟以上の家屋を破壊した。

1945年8月15日、日本政府が無条件降伏を知った重慶市民は龍舞で気勢を上げ、勝利の喜びにわいた(本誌資料写真)

「数十機の飛行機が頭上を飛ぶのを見た後、すぐに痛ましい叫び声があちこちから聞こえてきました。火だるまになった人までいました。まるでこの世の地獄でした。そう離れていない場所に1発の爆弾が落ちた時、私は狂ったように2人の子どもを抱え、近くのため池に向かって走りました。ため池に飛び込んだ瞬間、『神様!私と家族を一緒に死なせてください』とだけ考えていました」。これは1945年3月10日、米国が東京大空襲を実施した後、幸いにして生き残った市民が書いた日記だ。この爆撃は約10万人の死者を出し、26万7000棟の家屋を焼き払った。

スタジオジブリのアニメ映画に、著名な反戦作品『火垂(ほた)るの墓』(高畑勲監督)がある。物語の中では、戦争で孤児になった兄妹が栄養失調のために相次いで痛ましく死亡する。その不幸な境遇は中日両国の何千何万もの観客を感動させた。私たちは戦争が民衆にもたらした巨大な被害に感慨を覚えると同時に、思わず問わないではいられない。当時、一体誰があの罪深い戦争を始めたのか。民衆の犠牲と苦痛は誰の野心と欲望を満足させたのか。

全土に響く「勝利」「平和」

1945年8月15日、日本が無条件降伏を受諾した瞬間、全中国が沸騰した。中国人は長年、恨み、屈辱、苦痛を抑えてきたが、この瞬間、心底から解放された。『大公報』記者は当時、次のように報じた。「重慶の街頭には興奮した群衆があふれ、誰一人として記者の取材に落ち着いて答えられなかった」。「勝利」と「平和」は当時、最も熱気を帯びた言葉だった。

一方、日本でも、戦争終結はこの国を次第に平和的発展の道へ向かわせた。日本の民衆は安定した環境下で、迅速に戦争の傷跡を癒し、廃墟の上に祖国を再建し、その後30年余の間に日本は世界的な経済・科学技術大国に成長した。

こうしたことから、中日両国民に深刻な災難をもたらした日本軍国主義の崩壊は、両国民にとって共通の勝利であり、苦痛からの解脱だった。

 今年8月15日、中国侵略日本軍南京大虐殺殉難同胞記念館を訪れた日本人訪中団が平和を祈願(東方IC)

時間を現在に戻すと、今年は中日甲午戦争(日清戦争)開戦120周年、第1次世界大戦開戦100周年、第2次世界大戦開戦75周年に当たる。こうした特別な年に、全世界の平和愛好国家とその国民は、さまざまな形で正義の戦争勝利を記念し、戦争の教訓を反省する行事を行った。

習主席「平和的発展の道を」

中国も例外でなく、今年から9月3日を抗日戦争戦勝記念日として初めて国家的な行事に格上げした。安倍政権の歴史問題に関する混乱、特に、「集団的自衛権解禁」、平和憲法改正のもくろみなど一連の政治行動は、対日関係に対する深い憂慮と安倍政権に対する疑念の声を強め、記念活動に新たな意義を付け加えている。

8月9日、「甲午戦争以降の中日関係」と題したシンポジウムで、清華大学当代国際関係研究院の劉江永副院長は次のように指摘した。「安倍首相の釣魚島問題処理、対中軍事戦略は甲午戦争の首謀者・伊藤博文の対華政策に酷似している」

また中国日本史学会の湯重南会長も以下のように強調した。「日本の右翼と安倍政権が推進している軍備強化、集団的自衛権の解禁、平和憲法第9条改正等の行為は人々に深く考えさせ、警戒心を呼び起こさないわけがない」。

7月7日、中国全民族抗日戦争勃発77周年記念行事で、習近平国家主席は中国人民を代表し、歴史と現実、戦争と平和について次のように呼び掛けた。「歴史は最良の教科書であり、最良の目覚まし薬である。中国人民は戦争がもたらした苦難を記憶にしっかりと刻み付け、平和をたゆまず追求しよう。世界史を見渡すと、武力に依拠した対外侵略、拡張政策はことごとく失敗している。これが歴史の法則である。中国は揺らぐことなく平和的発展の道を歩み、合わせて、世界各国が共に平和的発展の道を歩み、平和の陽光が永遠に人類が暮らす星を照らすように希望する」

 

人民中国インターネット版

 

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