張憲文:歴史の真相を明らかにするのは未来を切り開くため

 

張憲文氏は『中華民国史』『抗日戦争正面戦場』など10数冊の著書があり、中国侵略日本軍南京大虐殺史研究会会長、南京大学中華民国史研究センター長を務め、現在中国社会科学院中日歴史研究センターの重点プロジェクト『南京大虐殺資料集』に取り組んでいる。

■「史料に基づき歴史的事実を求めるべき。歴史を忘れてはならない」

張氏は「歴史研究の最も重要な原則は実事求是であり、真実の史料に基づき、歴史上の出来事、人物に対して歴史の本来の姿に合った適切な評価をすることだ。第2の原則は歴史認識の改善に対して『半歩ずつ進む』方針を取ることだ。歴史の真実性を反映するのは『一歩で成し遂げる』べきだが、歴史問題に対する人々の認識を変えるのは漸進的過程であり、一歩一歩実現する必要がある。高速で走る自動車のように、急に90度方向を変えたら転覆してしまう」と述べた。

著書『中華民国史綱』は、学界から大いに称賛された。研究が徐々に深まるに伴い、民国史研究の重要な内容として南京大虐殺問題が張氏の研究分野となっていった。

2000年前後、南京大虐殺を否認する日本右翼勢力の言論が騒がしく飛び交っていた。中国社会科学院中日歴史研究センターは抗日戦争の死傷者数、物的被害、南京大虐殺史料という三大研究の実施を決定するとともに、張氏を南京大虐殺史料の収集、整理作業の責任者に決めた。

張氏は歴史研究関係者、書類関係者を含む110人近くの研究チームを組織し、10年間かけて日本、米国、英国など8カ国および中国の台湾地区を繰り返し訪れ、加害者側、被害者側、第三者側の一次資料を全面的に収集。2010年までに計4000万字、72巻の『南京大虐殺史料集』を相次いで刊行した。

これは現在世界で最も詳細で正確な南京大虐殺に関する史料集だ。元北京大学学長の呉樹青氏はこれについて「南京大学は国家のために計り知れない影響を及ぼす大きな事をした」と指摘した。張氏はこれを基礎に、チームを率いて3年間の努力を重ね、2012年12月に『南京大虐殺全史』を刊行。この重大な出来事に対する中国の学者の認識を全面的に明らかにし、日本右翼の謬論を深く批判した。

「史料に基づき歴史的事実を認めるべきであり、歴史を忘れてはならない」。心血を注いだこの力作について張氏は「歴史の真相を明らかにするのは、仕返しをするためではなく、歴史の教訓を受け入れ、友好的な未来を切り開くためだ」と述べた。(編集NA)

 

 「人民網日本語版」2014年11月18日

 

 
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