各地を襲う灰色のPM2・5

 

最近、スモッグが中国に頻繁に出現している。その頻繁さと影響する範囲の広さ、汚染度合いは前代未聞のものであり、この大気汚染問題は全社会の高い注目を浴びている。

国土の19%近くを覆うスモッグ

2014年2月23日、鄒毅さんはほとんど1日ずっと家にこもっていた。「一目外を見ただけでPM2・5の値がひどいことは分かりました」。彼の妻は家の中で2台の空気清浄機をつけていて、さらに消毒作用があり心を静めるというチベットのお香を焚いていた。彼は外に出る時には活性炭が空気をろ過してくれるというマスクをつけ、2日に1回それを取り替えている。道ですれ違う人の多くが彼と同じようにマスクをつけている。「今日は私がスモッグを気にし始めて以来、最もひどい日だと思います」と、鄒さんは言う。

2014年2月20~26日、中国の中・東部の多くの地域でひどいスモッグが発生した。それは15の省、181万平方㌔に及び、国土面積の約19%を占めた。その中でも大気汚染が比較的深刻な地域は98万平方㌔以上あり、主に北京、河北、山西、山東、河南、遼寧の各省・直轄市に集中していた。多くの小・中学校が休校となり、フライトのキャンセルが相次ぎ、高速道路は封鎖され、路線バスも運行を一時停止した。

環境保護部の呉暁青副部長によると、このたびの大気汚染の主な汚染物はPM2・5とPM10で、邢台、石家荘、北京のPM2・5の1時間あたりの濃度は500μg/m³(マイクログラム毎立方㍍)を超えていた。

基準内はわずか3都市

最近数年、スモッグはずっと勢いを増してきており、2013年に最悪となった。2013年1月には、全国で広範囲のスモッグが4回も発生し、それは30の省(自治区・直轄市)に及び、多くの都市のPM2・5計測器が振り切れた。環境保護部の1月の調査データによると、江蘇、北京、浙江、安徽、山東の一カ月の平均スモッグ日数はそれぞれ23・9日、14・5日、13・8日、10・4日、7・8日で、すべて1961年以来の同期最高値を記録した。中・東部地区の大部分の観測地点でPM2・5濃度が基準を超えた日が25日以上に達し、一部の地域ではPM2・5がこの5年間の最高値に達した。

冬の暖房供給期になると、石炭の消費量が急激に増加する。暖房開始の初日、長春、瀋陽、ハルビンにひどいスモッグが出現し、一部地域では視界が10㍍にも満たないほどだった。ハルビンのPM2・5は1000μg/m³に達し、空気の質は最悪のレベルに達し、都市全体が「霧の都」となった。東北3省の交通は深刻な影響を受け、一部の都市交通はまひし、高速道路が封鎖され、病院では呼吸器疾患の患者が2割以上増加し、数千カ所の学校が休校となった。

12月、まれに見る広範囲のスモッグが中国を覆った。華北から東南沿岸部、ひいては南西地区に至るまでの25の省、100余りの大・中都市がさまざまな程度のスモッグに襲われ、それは中国の半分以上の面積となった。統計によると2013年の全国平均のスモッグ日数は29・9日で、例年同期より10・3日多く、ここ52年間で最高の値となった。

呉副部長によると、2013年、全国74都市の大気の質基準達成平均日数はわずか221日で、60・5%であった。PM2・5の濃度年間平均値は72μg/m³で、2級レベルの2・1倍となっている(中国の2級レベルは年平均35μg/m³)。ラサ、海口、舟山の3都市だけが完全に基準内に収まっていた。

 

人民中国インターネット版 2015年2月

 

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