国を挙げての一掃大作戦

 

今年の「両会」の李克強総理の「政府活動報告」において、「スモッグの発生範囲が拡大し、環境汚染の問題が際立っていることは、粗放な発展方式に対し大自然が発した赤信号である。(中略)われわれは貧困との闘いと同様に、汚染との闘いも断固として繰り広げなければならない」と指摘した。3月13日、李総理は記者会見の席上で、スモッグに対して「主動的に出撃し」「鉄腕と鉄の規則をもって汚染に立ち向かう」ことを再び強調し、新政府が大気汚染問題を重視する姿勢を集中的に示した。

2013年9月、史上最も厳しいと言われる「大気汚染防止・制御行動計画」が国務院によって公表された。同計画に基づき、国家環境保護部は31の省・自治区・直轄市とそれぞれ大気汚染防止・制御責任書を締結した。その後、「両会」の記者会見で、環境保護部の呉暁青副部長は、第12次5カ年規画(2011~2015年)期間中、全国の環境保護への支出は5兆元を上回り、中でも「大気汚染防止・制御行動計画」の実施後、大気改善策への支出は1兆7000億元以上にもなる。これを契機に、全国的な汚染対策活動が全面的に展開されるだろうと述べた。

工業汚染削減に重点

新政府は当初から大気汚染の防止・制御を民生改善の重要な一環として位置づけている。国務院が昨年9月に発表した「大気汚染防止・制御行動計画」はPM2・5対策について次のように具体的な数値指標を設定している。2017年までに全国の地区クラス以上の都市の粒子状物質(PM10)の濃度を2012年比で10%以上削減し、北京・天津・河北地区、長江デルタ地帯、珠江デルタ地帯の地域のPM2・5の濃度をそれぞれ25%、20%、15%前後まで削減、今後5年以内に、全国の大気の質の全体的改善に努める。また、同時に10項目の具体策も打ち出した。工業生産活動による環境汚染の削減がその最も重要な措置で、同計画には、「高エネルギー消耗・高排出業種の生産能力の新規増加を厳しく制限し、立ち遅れた生産設備の廃棄を加速する」「エネルギー構造の調整を急ぎ、クリーンエネルギーの供給を増やし、2017年までに、エネルギー総消費量に占める石炭の割合を65%以下に引き下げる。北京・天津・河北地区、長江デルタ地帯、珠江デルタ地帯などの地域の石炭総消費量のマイナス成長を実現する」必要性が指摘されている。

中国は2012年にも重点地域における大気汚染防止・制御計画を打ち出したが、今回の計画はそれと比べると目標も力の入れ具合も明らかに高く設定されている。特に、三つの地域での石炭の総消費量のマイナス成長は初めて打ち出されたものである。

同計画によると、中国は経済、技術、法律、そして必要とされる行政手段を講じ、1年前倒しで鉄鋼、セメント、アルミニウム、板ガラスなど21の業界の立ち遅れた生産施設を撤去する任務を果たす。2015年にはさらに製鉄1500万㌧、製鋼1500万㌧、セメント1億㌧、板ガラス2000万重量箱(板ガラスの計量単位で約50㌔相当)の生産能力を削減する。削減目標を期日通りに果たせなかった地域には、国の投資による新規プロジェクトを厳しく制限し、重点業種の建設プロジェクトの審査、許可、報告記載手続きの受付を一時停止する。2016、17年には、各地域でより広範囲で高水準の立ち遅れた生産設備の撤去策を制定し、より多くの立ち遅れた生産設備を撤去する。

環境保護部の周生賢部長は「中国の大気汚染問題は長期にわたる粗放型経済成長パターンによって蓄積されたもので、経済構造の上流から着手せず、単に末端の対策で環境負荷を緩和しようとするのは『沸騰した湯をしゃくしですくって戻し、沸騰させないようにする』ことにほかならない」と語る。中国工程院院士(アカデミー会員)、中国環境科学研究院院長の孟偉氏は「産業構造の合理化とグレードアップを推進し、過剰生産能力を圧縮することは根本的なPM2・5対策である」と考えている。

 

人民中国インターネット版 2015年2月2日

 

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