新常態を迎えた両会、4つの経済改革を加速へ

 

2015年の全国両会の開幕が近づいている。これは「新常態」という概念が提唱されてから初めて開かれる全国両会だ。今年の両会は一部の重点的な経済改革の日程表とルートマップを明確にする。財政・税務、金融、国有企業、所得分配などの改革が加速される見通しとなっている。これらの改革の実施に伴い、人々の暮らしも積極的な変化を迎える。

営業税から増値税への移行が拡大、賃金増に期待

「今年は財政・税務・金融などの重点的な改革をさらに深化させる。実体経済を強化し、革新を促し、国民生活に利益をもたらし、リスクを管理するため、より大きな力を注ぐ」李克強総理はこのほど専門家・学者および経営者による座談会を主宰し、今年の重点推進改革について触れた。

今年は財政・税務改革が引き続き加速される。財政・税務改革の中心となる、営業税から増値税への移行を例とすると、現在残されているのは生活性サービス業、建築業、不動産業、金融業の4大業界のみだ。国務院の「第12次五カ年計画期間内(2011−2015年)に、営業税から増値税への移行の改革を全面的に完了する」という要求によると、今年の両会はその範囲を上述した4大業界まで広げることを明確にすることになる。

営業税から増値税への移行は、二重課税の問題を解消し、負担軽減の大きな効果をもたらす。データによると、この移行により2014年に1918億元の減税効果があった。移行の拡大により、より多くの業界・企業の負担が軽減される。これは投資・消費の需要拡大を促し、雇用をけん引することに繋がる。また企業が賃金増の余地と空間を手にすることになる。

預金保険制度の制定、預金の管理が強化

金融改革は、今年勢いに乗り推進される。注目されている預金保険制度が、2015年に制定・実施されることがほぼ確実になっている。国務院常務会議は「預金保険制度実施案」、「預金保険条例(意見募集稿)」の審議・議決を終えた。制度発表前の準備作業がすでに終了している。

規定によると、預金保険で保護される限度額は50万元となる。この限度額であれば、全国の99.6%の預金者の預金全額を保護できる。預金保険制度の実施後も、人々は預金にリスクがあることを覚えておく必要があるが、懸念しすぎる必要はない。新たな制度により、一般的な預金者の安全がより良く保障される。

この重要な制度の推進に伴い、人民元相場の市場化形成メカニズム、重大災害保険の提供といった、金融改革のその他の内容も注目を集めることになる。今年の両会はこれらの金融改革の日程表をさらに明確にする。

国有企業改革、人々にボーナスをもたらす

李総理は上述した座談会で、「国有企業改革は活力と競争力の増強を巡り改革を深化させ、焦点を絞った分野の問題解消を急ぎ、革新による発展、アップグレードによる発展の先頭を歩むよう努力しなければならない」と述べた。これは今年、国有企業改革を加速する合図としてとらえられた。

トップダウン設計の完成に伴い、2015年は国有企業改革の重要な実施の年になる。より多くの民間資本の参入、より多くの国有企業のボーナスの国民生活への支出により、民間企業および一般人は国有企業改革のより多くのボーナスを得ることになる。

所得分配改革の深化、国民の財布を膨らませる

所得は国民生活の源だ。このほど実施された、約350万人が参加した両会のオンライン調査では、「所得分配改革」の注目度が1位になった。

2013年に「所得分配制度の改革の深化に関する若干の意見」が発表されると、所得分配改革は突破の勢いを示した。中央企業の役員は今年より給与が制限され、年金支給額もこの流れに伴い制限されようとしている。これらの改革は「上限抑制」を着眼点としており、所得格差の縮小を目指している。

「上限抑制」が段階的な進展を実現した現在、今年の両会は所得分配改革の中で、「中所得層拡大」、「低所得層の所得増」に力を注ぐことになる。

所得分配改革の全面的な深化に伴い、低・中所得層の財布が膨らみ、所得分配の格差の縮小が加速される。「オリーブの実型」(低・高所得層が少なく、中所得層が多い)の所得分配構造に期待できる。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年2月28日

 

 

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