定年年齢引き上げ政策、2017年打ち出しへ

 

第12期全国人民代表大会第3回会議は10日午前、人的資源社会保障部(省)の責任者を記者会見に招いた。人的資源社会保障部の尹蔚民部長は、基層公務員の待遇や定年年齢がいつ引き上げられるかなどの問題について質問に答えた。人民日報が伝えた。

公務員は全国で720万人余り 60%は県以下の機関に分布

尹蔚民部長によると、中国には720万人以上の公務員がおり、そのうち60%は県以下の機関で勤務しており、条件は厳しく、任務の負担は大きい。だが県以下の機関は組織としてのランクが低いため、基層公務員は、昇進が難しく待遇が低いという矛盾が突出している。

この問題を解決するため、公務員の職務・職級並行制度の設立が打ち出された。中央の認可を受け、昨年は4つの省が4つの県で試行を始めた。一年の試行では予期していた目的が達せられ、公務員の職務・職級並行制度の実現可能性が確かめられた。中央の認可を受け、今年は全国県以下のすべての機関で公務員職務・職級並行制度の実施が始まる。

社会保障の収支バランスが直面する圧力

尹蔚民部長によると、2014年、企業の職員・労働者養老保険(年金)の総収入は2兆3300億元(1元は約19.4円)、総支出は1兆9800億元で、繰越金は3458億元、繰越金累計は3兆600億元に達した。だが年金収支の平衡は依然として大きな圧力に直面している。

尹蔚民部長によると、養老保険基金の運営は現在、全体としては安定しており、2014年のデータでも収入が支出を超えている。だが養老保険の収支バランスは将来、巨大な圧力に直面することになる。人口の高齢化は収支バランスに巨大な影響をもたらす。これに対しては、定年年齢を徐々に引き上げる政策を実施し、納付年数を延長し、給付年数を縮小する。

年金の全国統一調整案、今年打ち出しへ

中国の年金基金は果たして足りているのか。尹蔚民部長によると、年金の収支は今のところ安定しているが、将来には圧力が高まる。今後は5つの措置を取り、年金の保障をはかる。第一に、保険参加者を増やす。第二に、職員・労働者の養老保険全国統一調整案の今年の打ち出しに尽力する。第三に、漸進式の定年年齢引き上げ政策を取る。第四に、財政支援を強化する。第五に、年金繰越金の投資を進める。

年金投資の基本案形成 株式市場投入へ

尹蔚民部長によると、年金基金は国債購入や銀行預金しかできないため、投資収益率はCPIを下回っている。現在、年金基金投資の新法規の起草を進めており、投資運営の基本案もすでに形成され、下半期にも国務院に提出できる見込みだ。一部の資金を株式市場に投じることになるが、安全性を再優先する。

現行の定年年齢はすでに時代遅れ

尹蔚民部長によると、定年年齢の引き上げは、養老保険制度の保障に不可欠な措置となる。現行の定年年齢は中華人民共和国の建国時に決定されたものだった。女性労働者は50歳、女性幹部は55歳、男性職員・労働者は60歳とされた。当時の中国の平均寿命は40歳前後だったが、現在は70.6歳だ。社会経済は発展し、平均寿命も大きく変化した。建国初期に制定された定年政策はもはや適合しなくなっており、調整が必要となっている。

漸進式定年政策、2017年打ち出しへ

尹蔚民部長によると、漸進式定年政策は今年、案の制定を終え、来年に国務院に提出され、再来年に正式打ち出しとなる。漸進式定年政策は、ゆっくりとした着実な実施が可能となる。毎年、数カ月だけ定年年齢を伸ばしていく。発表されてから少なくとも5年以降からの実施となる。例えば今この案が発表されたのであれば、5年後に初めて実施されるということだ。

 

 「人民網日本語版」2015年3月11日

 

 

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