「四つの全面」を正しく理解するには

 

2015年の「両会」(第12期全国人民代表大会第3回会議と中国人民政治協商会議第12期全国委員会第3回会議)開催直前に習近平総書記が提出した「四つの全面」、すなわち「小康社会の全面的構築」「改革の全面的深化」「依法治国(法による国政運営)の全面的推進」「党管理の全面的厳格化」は、今両会の代表と委員、内外メディアの間でホットな話題となった。現在の中国が改革改革のカギとなる時期にあって、「四つの全面」の深い内容、およびそれが中国の今後の発展の戦略思想とすることをいかに正しく理解するか、これこそ中国共産党執政理念と中国の前進方向把握の重要な課題を理解することである。

これについて、一貫して中国の発展モデルの研究に取り組んできた復旦大学ディスティングイッシュト・プロフェッサー(抜群教授)で、春秋発展戦略研究院研究員の張維為教授は自身の見解を発表している。

「四つの全面」は「中国の夢」を実現するための戦略配置

張教授は、中国人民の170年の長きにわたる苦難の奮闘、新中国の半世紀余りの向上への発奮と改革開放は、中華民族の偉大なる復興である「中国の夢」の実現の日をはるかに遠いものではなくしたと指摘している。しかし、成功に近づくほど、中国が直面する課題はますます複雑になっており、先鋭化すらしている。このため、中国は統一的に計画配置するという考えを持ち、総合的に配置し、「中国の夢」を実現する努力がほかの要素の影響であと一息のところで失敗するということがないように確保しなければならない。習総書記が提出した「四つの全面」こそこのようなカギとなる時期に「中国の夢」の実現を確保するマクロ戦略の配置である。

「私は中国発展モデルの一つの特徴を示したいと思います。それはつまり中国という大国を統治するには、必ずぶれることのない強い政治的意志と戦略的配置が必要で、この種の意志や配置には、世界の大勢についての判断、理想の追求、中国の国情と発展段階の把握、直面するチャンスと課題の分析、自身の発展目標や将来の見通しと戦略的措置の確定などが含まれ、「四つの全面」はこれらすべてを現しているのだ。中国のよりいっそうの勃興に伴い、ますます多くの人、ますます多くの国家が中国モデルのこうした優位性を目にするはずです」と、張教授は述べている。

「四つの全面」は統一された総合的思想

小康社会の全面的構築、改革の全面的深化、法による国政運営の全面的推進、党管理の全面的厳格化という4項目の内容は、中国共産党がこれ以前に制定した中国発展戦略の中に個別に取り上げられている。「四つの全面」は四つの概念の前にすべて「全面」の2字が加えられているが、これはどのような深い意味を持つのだろうか?

張教授はこれについて、「全面」はさまざまな方面を考慮しなければならいなことを意味していると説明している。例えば「小康社会の全面的構築」、これは中国が小康社会を構築する目標がそれぞれの分野、それぞれの階層、それぞれの地方にまたがり、全てをカバーする目標であり、このためこれは偉大で極めて困難な目標である。

4項目の内容にはどれも「全面」が加えられており、それらが有機的に一つの思想体系に統一されており、同時にそれらの間でロジカルな関係が存在するのを見て取ることができる。この種のロジカルな関係は1987年に中国共产党第13期全国代表大会で提出された「一つの中心、二つの基本点」(経済建設を中心とすることと、四つの基本原則、改革開放を堅持すること)のロジカルな関係とよく似たようなものだ。言い換えるなら、「四つの全面」は「一つの中心、二つの基本点」が新たな時代においてよりいっそう発展、深化したものとして見ることができる。

当時の「一つの中心、二つの基本点」は改革開放の堅持、四つの基本原則の堅持を通じて中国の改革開放事業のスムーズな進展、国民経済の急速な発展、人民の生活水準を大幅に引き上げることを保障していた。

今日、中国はすでに新たな発展の段階に入っており、前倒しで鄧小平氏が当時定めた多くの目標を達成している。「小康社会の全面的構築」は現在中国が実現しなければならない核心的目標となっている。その位置付けはかつての「一つの中心」に相当するものであり、また「一つの中心」のよりいっそうの発展でもある。「改革の全面的深化、法による国政運営の全面的推進、党管理の全面的厳格化」はすなわち「小康社会の全面的構築」の目標実現を保証するためである。

同時に、張教授は「改革の全面的深化」は「改革開放」のよりいっそうの発展と深化であると考えている。また、「法による国政運営の全面的推進、党管理の全面的厳格化」は「四つの基本原則」(社会主義の道を堅持する。人民民主主義独裁を堅持する。中国共産党の指導を堅持する。マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論を堅持する)をよりいっそう発展、深化させることである。

四つの基本原則の中でカギとなるのは「中国共産党の指導を堅持する」という項目であり、「党管理の全面的厳格化」はつまりこの項目をよりいっそう延伸し、中国共産党が中国の各事業の中で指導的地位にあることは、党自身をよく統治すれば、中国の各事業は容易に隆盛となり発達することを意味している。このため、国を治めるにはまず党を治めることであり、党を治めるには必ず厳格に治めることなのである。

こうした分析を通じて、張教授は、「四つの全面」は有機的な総体であり、また新中国のこれより以前何代かの指導グループの国家統治思想の継承と発展であると総括している。(文=沈暁寧)

 

人民中国インターネット版 2015年3月13日

 

 

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