五輪招致で進むスキー場整備―張家口

 

かつて、中国のウインター・スポーツはほとんど東北3省に限られて行われるもので、全国的にはあまり普及せず、「貴族のスポーツ」などと呼ばれてきた。それが、この20年余りの間に急速に普及し、全国のスキー場は100カ所を上回るまでとなり、スキーは富裕層の趣味から一般大衆にも手の届く冬のスポーツ、レジャーとなった。  

密苑雲頂楽園にあるホテル雲頂大酒店では、週末になるとファミリー・ルームが大にぎわいとなる。このファミリー・ルームにはダブルベッドが2床あるほか、子ども用の2段ベッドも用意されている。部屋には床暖房が入っており、子どもが床に座っても寒くないようになっている。また、部屋にはキッチンもあり、冷蔵庫や電子レンジも備え付けられるなど、コンドミニアムのようなスタイルになっていて、長期滞在にも向いている。一家で滞在しても狭さを感じることがなく、自宅にいるような便利さ、暖かさがある。また、崇礼県の各スキー場はどこもみなキッズゲレンデを設置している。子ども専用のスライディングシート、チュービング、スノーモビルなど多くの娯楽設備があり、専門のコーチがついて指導してくれるサービスもある。  

密苑雲頂楽園から26キロ離れた崇礼県の市街地では、至る所にスキー用品を扱うショップが見られる。市街地の東に位置する氷雪文化産業パークには、崇礼県氷雪博物館もある。館内には写真や文字資料、実物、マルチメディアなど多様な形式で来館者にウインタースポーツとオリンピックの知識を紹介している。そして、博物館1階にある郝世花スキースクールでレッスンを受けるアマチュア・スキーヤーは毎年1000人以上になる。全国各地のスキースクールのコーチから子ども、青少年、大学生、社会人まで幅広い層がやって来る。同校チーフ・オペレーションディレクターの馬馳さん(36)は、「私たちはオリンピックまでにより多くのコーチと一般スキーヤーを育成しなければなりません。もし2022年の冬季オリンピック招致が成功したら、数千人から1万人以上のボランティアやスタッフが働くことになると予想されるからです」と話している。

徐奥翔コーチ(27)は吉林省通化市の出身で、12歳でスキーを始め、2008年から崇礼県の万龍スキー場で指導にあたっているが、近年はスノーボードがますます流行し、若者にとても好まれている。徐コーチは「私は2012年に北海道のルスツリゾートで、スノーボードの技術と理論について研修を受けました。現地の人々は私たちにとても親切で友好的でした。スタッフは技術教授法や生活面でよくサポートしてくれました。日本での研修期間には日本人の友人もできました。今でも連絡を取り合っています」と話す。万龍スキー場では、毎年研修・学習のためコーチを日本やヨーロッパなどに派遣しているそうだ。  

崇礼県西湾子鎮紅花梁和平公園内にある万龍スキー場は、2005年に国際スキー連盟(FIS)の認定を受けた2本の上級者向けコースを有し、日本、韓国、ロシア、カザフスタンおよび台湾、香港などの地区の選手指定訓練基地となっている。  

冬の崇礼県を訪れたスキー客は、陽光に輝く白銀の上で存分にウインター・スポーツがもたらす興奮と躍動感を味わえる。同県のスキー場は大部分が山の斜面を利用しており、林が多いという自然条件を持っている。張家口市内に1500キロメートル弱ある長城の最も高い部分は標高約2100メートルだが、万龍、密苑雲頂楽園両スキー場のトップもほぼ同じで上級者も納得の十分な標高差を持つ。まさに長城から滑り降りるイメージで、ゲレンデを一気に滑り降りて来ることもでき、また白樺の林間コースを楽しむこともできる。この地の冬季平均気温は零下12度ほどで、平均風力は2と、気候は全体的にヨーロッパ・アルプスのスキー場と似ており、冬のアウトドア・スポーツに適している。もし招致が成功したら、崇礼県は2022年冬季オリンピック雪上種目のメーン会場になる。(文=李明慧)