日本は現実と歴史を切り離してはいけない

 

中国はこれまで、抗日戦争を記念するのは恨みを継続するためではないこと、記念式典は特定の国を対象にしていないこと、今の日本を対象にしていないこと、また一般の日本国民を対象にしていないこと、現在の中日関係と直接の関連はないことを繰り返し述べてきた。中国が今、抗日戦争勝利70周年をめぐり行っている一連の活動、発表した一連の講演や文章は、どれも平和を強く訴えることを基調としている。(文:賈秀東・本紙特約論説員、中国国際問題研究院特別招聘研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

5大陸49カ国の指導者や政府の上級代表、各国の在中国外交官、国際機関の在中国代表が、「9・3抗日戦勝70周年記念式典」に参加する予定だ。ここからわかることは、国際社会と中国は歴史を胸に刻み、平和を大切にするという点で高度な共通認識を有しているということだ。

その一方、かつての加害国である日本は、中国の抗日戦争勝利記念活動に対する態度で明らかに国際社会と足並みをそろえていない。本来、日本が戦後処理を適切に行っていれば、戦後70周年の節目は日本と被害国とが和解を実現させる歴史的なチャンスになるはずだった。だが安倍晋三首相率いる日本政府はこの好機を無視する選択をした。

安倍首相も戦後70周年という歴史的な節目の重要性をわかっていないわけではないが、安倍氏の理解と対応は日本の右翼の色彩に濃厚に彩られている。

子細に検討して練り上げた「安倍談話」の行間から、安倍首相が歴史の重荷を急いで下ろそうとしている態度がうかがえる。安倍首相は歴史問題の重要性をよく知っており、かねてより戦後の国際秩序と日本の平和憲法による日本の安全保障政策への束縛に不満を抱き、日本を「普通の国」に変えようと志していた。

安倍首相は(談話の中で)歴史問題をはっきりとは語らなかった。その背後にある論理はこうだ。日本が侵略と植民地の歴史を漂白し、歴史の重荷を下ろせば、日本の国民とその子孫は誇りをもつことができ、正々堂々と政治大国、軍事大国の道を歩むことができ、日本は強い国に戻り、最終的に「普通の国」になることができる、ということだ。

安倍首相がこのように考えるのは、とどのつまり、現実と歴史を切り離そうと考えるからだ。

安倍首相はこのほどメディアに対し、「歴史は歴史家に任せる」といういつもの調子を繰り返した。

問題は、事実が再三証明するように、日本の歴史問題における誤った言動が、いつもこの地域にトラブルをもたらしているということ、歴史問題に対して深い反省と心からの後悔をすることのできない日本が、この地域や世界に対する潜在的な憂慮の種になっていることだ。「前事を忘れざるは後事の師なり」という言葉がある。歴史への深い認識を欠けば、現実と未来は砂上の楼閣になり、根っこのない木になる。歴史をあいまいにすれば、現実を混乱させ、未来の目をふさぐことになる。

歴史問題は中日関係の政治的基礎と中国国民の感情に関わる問題だ。中国が歴史問題で日本に対する圧力を保持するのは、歴史問題を決して手放さず、日本と軋轢を起こそうと考えているからではない。

第一に、日本は歴史に誠実に向き合うにはほど遠い。日本が侵略の歴史問題で示す態度はふらふらとして一定しない。安倍首相の態度は直近の最悪のケースで、誤った発言を繰り返し発表し、靖国神社にも参拝し、歴史への後悔の念がまったくない。

第二に、歴史に正しく向き合わなければ、相互信頼と互恵の中日関係を構築することはできない。中国は一貫して「歴史を鏡とし、未来に向かう」ことを主張してきた。歴史を直視しなければ、未来を切り開くことはできず、中日間の戦略的互恵関係を現実のものにすることもできない。歴史を振り返れば、歴史を正確に認識することのできる日本の政府要人は、一般的に中日関係の改善と発展を積極的に支持してきた。

第三に、中国の揺るぎない態度は中日関係の長期的発展にとってプラスになる。もしも中国が誤った歴史観に基づく日本の言動を見て見ぬ振りをすれば、日本の右翼の鼻息を荒くさせ、日本を安全保障政策の面で平和の道から遠ざけ、最終的な結末は地域の衝突と争いしかなくなる。

安倍首相が「9・3」記念式典を欠席することは、70年前の歴史が今日の現実にいまだに影響を与えていることを示している。「安倍談話」はあれこれ知恵を絞って作成されたものだが、隣国との関係を改善する好機を見失い、結局のところ失敗した作品になった。安倍首相が現実と歴史を切り離そうとしても、無駄に終わるだけだ。(編集KS)

 

「人民網日本語版」2015年8月30日

 

 

 
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