経済協力に巨大な余地

中国国際経済交流センター副理事長、元商務部副部長 魏建国 

中日両国はそれぞれ世界で第2、第3の経済大国で、経済貿易の相互補完性が高く、化学工業や機械製造などの分野で広く協力している。しかしこの数年、中日貿易額は減少傾向にあり、昨年は3124億4000万㌦(約37兆4100億円)だった。今年1~7月の中日貿易額は前年同期比11%減の1592億2000万㌦(約19兆700億円)だ。日本はかつて中国の最大の貿易相手国だったが、現在では中国の外国貿易総額の7・2%を占めるにすぎない。両国の経済界は中日経済協力の将来を悲観しており、私たちもこれを非常に憂慮している。

中日の経済貿易が低調になった原因は幾つかある。

まず、中日の経済界は協力を始めるべき新しいポイントをこれまで見つけられないでいる。日本にとって中国はかつての工場建設地・輸出拠点から次第に市場へと変化したが、いまだに新しい協力ポイントを見つけていない。

次に、両国は協力の理念と方式でイノベーションを欠いている。日本は中国企業により多くの技術移転とトレーニングを進める必要がある。

第三に、中日は第三者市場での協力が非常に少ない。日本の技術と設備、中国の施工能力は協力の余地が極めて大きいが、これまでのところ協力が欠けている。

第四に、京津冀(北京・天津・河北省)一体化や長江経済ベルト、「一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)」などの中国の発展戦略に対し、日本には研究や探究が少なく、実践はさらに少ない。

最後に、歴史問題における日本の指導者の誤った認識も協力に影響する要因だ。

現状を変えるため、日本は中国の発展戦略を深く研究し、焦点を合わせた措置を取るとともに、中日韓自由貿易区の協議と構築を加速する必要がある。実践の過程で日本企業は対中投資への自信を高めるだろう。両国政府にとっては、経済貿易協力の困難な状況において観光や留学生交換、文化・スポーツ分野の協力の程度を深めようとするのは、経済協力に適した外部環境をつくり出すことにつながる。

将来の中日両国には多くの分野で巨大な協力の余地がある。金融業では、中国企業は日本で越境融資と債券発行、人民元決算業務を大々的に展開できると私たちは判断している。日本の金融改革の経験は中国にとって学ぶ価値のあるものだ。日本がアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加していないのは大きな間違いだと私は考えているし、速やかな参加を望んでいる。

製造業ではこの5年、大量の中国企業が日本との協力を通じ、製品の質と技術の面で飛躍的な進歩を勝ち取った。日本の製造業のメカニズム、体制、イノベーション能力は中国にとって非常に大きな助けになった。

IT産業の分野では長年にわたって日本は中国ITサービスのアウトソーシングで最大の市場だ。両国の文化の差は小さく論理思考は似ており、中国のソフトウェアは日本企業の海外調達に非常に適している。双方はこの分野でより大きな潜在力を持っている。

再生エネルギー分野では現在、中国の太陽光発電製品は日本で良好な市場を持っている。上海電力は福島県で1万ムー(1ムーは約667平方㍍)近い太陽光発電所を整備している。日本の再生可能エネルギーの比率は現在の10%程度から2030年には24%に達する見込みだ。中国では将来の5年間、再生可能エネルギー分野で1000億~1500億㌦(約11兆9800億〜17兆9800億円)の成長が見込まれている。

つまり中日経済貿易協力はやはり希望に満ちあふれている。現在の経済貿易の減少は世界経済の不振の表れだ。中日両国は将来、アジアで手を取り合い、中日韓自由貿易区の基礎を踏まえてアジアひいては世界の自由貿易区をつくり出すことができる。中国では「良い家を買うよりも良い隣人を持つことの方が大切だ」と言われる。中日双方の協力はアジアだけでなく全世界にとっても深遠な影響を及ぼす。

中日民衆の互いの信頼が低下し、貿易が減少している厳しい環境の下で今回の「北京―東京フォーラム」は開かれる。フォーラム開催は絶好の機会であり、双方は平等と互恵、ウインウインの原則に基づき、いっそう意思疎通を深めて非難を控え、より対話して対立を減らすべきだ。フォーラムが必ず成功を勝ち取ると私は信じている。

 

 

 

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