「新経済」を両国関係発展のパワーに

零点研究諮詢集団(ホライゾン・リサーチ・コンサルタンシー・グループ)董事長 袁岳

 

「北京─東京フォーラム」には大きな特色がある。それは「最高指導者は関与しないが、最高指導レベルの問題を討論する」ということだ。過去何回かのフォーラムではこの点についての理解が深まっておらず、双方の対話は比較的に理論面からの検討となっており、見落とされる点も存在した。従来型の発想を用いて中日関係の新たな問題を討論していては、ある種の問題については解答が出ないかもしれない。

なぜこう述べるのか? われわれのフォーラムの位置付けはトップレベルだが、「ミドルアウト・パワー」に欠けている。社会学では、社会構造の「トップダウン設計」に変革のパワーがない状況下で、もし「ミドルアウト」も欠ければ、この社会は空転してしまうとされる。外交関係の発展と社会発展の循環は似た規律がある――つまり中日の政治相互不信は根深く、両国政府のハイレベルでの交わりを形成し、コンセンサスを得る確率は低くなる。そうした中で経済・貿易関係は、中日関係の中で最も進んだ分野になっている。

この意味から言って、経済・貿易面での討論は「北京─東京フォーラム」において重要な役柄を演じるべきものだ。

まず、サービス業は市場化度合いが最も高い経済部門であり、その市場化度合いは製造業、エネルギー産業などの従来型産業をはるかにしのぐ。日本はサービス業の発展において独特のアドバンテージを持っている。短期的に見て、日本企業にとって中国市場参入の最もよいチャンスはサービス業にある。しかし、中国の対外開放政策の枠組みの中で、サービス業取引は目立たない。

次に、地方協力はこれまで各回のフォーラムのハイライトであり、双方の話が最も合うものだった。日本側はこの話題を一貫して非常に重視してきた。しかし、フォーラムのハイレベルな色彩のため、中国側の地方協力に対する重視度合いはまだ不十分である。事実上、中日両国の貿易、投資、観光などの分野における協力について、地方政府の積極性は最も高い。

一方、地方レベルでの協力は敏感度が低く、最も実際的であり最も効果が表れやすい。もし今回の地方分科会において、いくつかの中日都市間で具体的な協力合意がなされたなら、フォーラムに少なからぬ彩りを添えることになるだろう。

第三に、青年交流は中日関係の発展を促進する重要な手段である。日本の青年の粘り強さやきめ細かさと、中国の青年の積極性や向上心は相互に補うもので、両国青年の起業分野における交流は最もスパークしやすいものだ。

経験から言って、国と国の間での青年交流には、見本となる人物が必要だ。中国と米国の青年が起業交流を行う時には、Facebookのマーク・ザッカーバーグやアリババの馬雲などの企業家を模範にできるが、中日の青年起業交流でも同じような模範の力が必要だ。われわれは1970年代生まれ、80年代生まれを「北京─東京フォーラム」に参加させ、青年起業交流の主役にさせるべきだ。われわれもその場を借りて外交における後継者を育成でき、フォーラムを将来のパブリック・ディプロマシーの担い手を訓練する場にできる。

中日関係の黄金時代はすでに過去のものとなり、シルバー時代も過ぎ去った。もしわれわれが従来型の議題設定と言語体系を放棄しなければ、中国ネットユーザーはフォーラムの成果を受け入れないだろうし、日本の民衆はさらに言うまでもない。トレンドから言って、サービス経済、地域経済、起業経済が新三大経済を形成し、着手後すぐに影響力や、アピール性を有し、中日対話の優先議題になり得る。われわれには積極的な転換が必要で、新しいジェネレーション、新しい発想、新しい経済によって中日関係の発展を促進し、「北京─東京フォーラム」を提言、対策、実効を有する対日政策形成のプラットホームにしていくことが必要だ。

 

 

 

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