多様な交流こそが相互理解への道

中国社会科学院日本研究所所長 李薇 

 最近の中日関係では二つの重要な問題に注目する必要がある。一つは9月3日、中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争の勝利70周年記念式典での習近平国家主席の演説だ。中国は永遠に覇を唱えないと再び誓うとともに、軍を30万人削減すると発表し、中国が平和的な発展の道を歩むことを実際の行動で示した。もう一つは8月14日に安倍晋三首相が発表した「安倍談話」だ。「侵略」と「植民地支配」に対して「反省」と「おわび」を表明し、外交的に積極的なシグナルを発信したが、歴史認識問題では多くのあいまいさを残した。

戦後70年、中国と日本は共に平和的な発展の道を歩んできたが、互いに相手国が平和的な発展を続けられるのか信じられなくなっている。次第に成長する中国に向かい合い、日本の不安と恐怖はにわかに増した。右傾化した言動の絶えない日本に対し、中国の警戒感は高まっている。そして歴史認識や領土の係争のほか、安全保障へのお互いの疑念という新しい問題も二国間関係に加わった。

中国は成長を続ける大国として、日本よりも自信とバランス感覚を備えているため、相対的に見て素早く心理状態を整えられる。同時に中国はしっかりした哲学文化の伝統を持ち、国民は客観的、理性的に日本を観察できる。このため、中国人は一方では歴史認識と領土の争いについて引き続きはっきりと立場を堅持し、国家の利益を守ると同時に、おうように構えて日本で買い物ができる。中国人から見ると、立場を堅持することと民間交流を保つことはまったく矛盾しないのだ。逆に日本は大いに異なっており、ナショナリズムの感情をぶちまけて中国を醜く描いた出版物が書店に氾濫し、社会には非理性的な伝統があり、対等ではない現象が中日の民間交流に現れている。両国の国民は触れ合うことによって初めて自分自身で相手を体験的に知り、理解できる。交流を拒否し自らを閉ざすことは開かれた心理状態ではなく、取るべき態度ではない。

両国の指導者と有識者のリードが非常に重要だということは戦後の中日関係の発展において証明されている。習主席は一貫して中日関係を重視し、多くの場面で中日関係について重要演説を発表している。これらの演説にはしっかりと心に刻む価値のあるポイントが二つある。まず歴史問題は中日関係の政治的な基礎の重大原則だということだ。次に、中日の長期にわたる交流の歴史は、互恵互助が双方の根本的な利益と合致すると証明しているということだ。習主席の観点は中国が原則堅持の前提の下で対日民間交流を急速に拡大することに対する指導であり、推進力だ。

現在、中日両国は地方や産業、青少年、シンクタンクの交流を強めるべきだ。中日間ではすでに姉妹都市などの友好提携が250組以上結ばれており、各地方の市政管理や地方産業の特色に基づき、実質的な内容を持つ交流を展開できる。また日本のサービス業と工業の発展は中国より先行しているため、業種間の交流拡大により日本は多くの機会で優位性を示すことができ、業界内で交流チャンネルを確立できる。青少年交流は未来の二国間関係の基礎を固めることができ、将来性がある。シンクタンクの交流は双方の知識面・戦略面のエリートの最も直接的な相互作用で、互いの信頼を高めて二国間関係を改善するのに先導的な役割を持つ。

民間の交流プラットホームの一つである「北京―東京フォーラム」はこれまでの10年間、中日二国間関係の推進にたゆまず努力し、両国関係の最も困難な時期にあっても停滞したことはなかった。「北京―東京フォーラム」の経験と勇気は学び称賛する価値のあるものだ。まもなく開かれる次回のフォーラムは私たちにより多くの内容とより大きな期待を与えてくれる。ほかの民間交流も早く始めるべきではないか。

 

 

 

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