政治的な原則守り真の交流回復を

中国国際戦略研究基金会学術委員会主任、北京大学国際戦略研究院理事 張沱生 

昨年9月に「第10回東京―北京フォーラム」が日本で開かれた際、中日関係は依然として釣魚島危機勃発以来の低迷期にあり、両国関係の前途はとても憂慮すべきものだった。しかし1年後の今、「第11回北京―東京フォーラム」開催直前に当たって中日関係の様相には重要な変化が起きている。

昨年11月上旬、困難に満ちた折衝を経て、中日双方は「四つの原則的共通認識」をまとめ、アジア太平洋経済協力会議(APEC)開催期間中に北京で首脳会談を実現させた。この重要な進展は中日関係の安定と改善に向けて希望の窓を開いた。

その時以来、双方の危機管理は絶えず強まり、東中国海での激しい摩擦も次第に減り、東中国海情勢に一定の緩和が見られるようになった。第2次安倍政権の成立後にあらためて浮かび上がった歴史摩擦もある程度の抑制を得た。中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年記念活動が発しているのは歴史を銘記し、平和を重視するというシグナルだ。これと同時に、両国の主要な対話も徐々に回復し、今年4月には習近平国家主席と安倍晋三首相がインドネシアで2回目の会談を実現させた。両国の人々の交流もいっそう速やかに回復してきた。今年5月、3000人から成る日本の「日中観光文化交流団」が訪中を成功させ、人々の交流に春の息吹をもたらした。

しかし、中日関係はいまだ完全には回復したとはいえず、依然として非常に多くの困難に直面している。双方が効果的な危機管理メカニズムを正式に打ち立てるまで、中日の海上の争いには比較的大きな危険が終始存在しており、これらの問題を解決する方法についてのコンセンサスに達するのは容易ではない。また日本の指導者が徹底的には歴史修正主義の観点を捨て去っていない状況の下では、両国間の摩擦は再び強まる可能性があり、最高指導者の正式な対話の回復もより多くの困難に直面する可能性がある。このほか、釣魚島危機以来の中日の軍事的な対峙状態と戦略の相互不信の激化は両国関係改善の難易度を大幅に高めている。

この1年、中日関係は最も危険な時期を抜け出し、次第に緩和と改善へと向かっている。これは重要かつ積極的な変化だ。しかしもう一方では、両国関係が徹底的に危機を脱し、釣魚島危機以前の状態に戻るには、さらに遠い道のりを歩まなければならない。将来の中日関係は改善を続けて前向きに発展するのか、それとも停滞して前進せず、極端な場合には再び後退してしまうのか? 両国関係はすでに非常に重要な時期に差し掛かっている。

この情勢の下、両国関係の継続的で前向きな発展を推進するため、中日双方は必ず「四つの原則的共通認識」の実行を中心として、 「四つの政治文書」の原則と精神を堅持し、危機管理メカニズム構築の強化や、歴史問題のさらなる適切な処理について新たな一歩を踏み出さなければならない。これと同時に双方は政治と外交、安全保障に関する対話を回復、堅持し続け、協力可能な全ての分野で実務的な協力を回復させ、推進しなければならない。

両国間で最高レベルの公共外交プラットホームとなる「北京―東京フォーラム」は、中日関係の改善と長期的な友好協力関係の発展に力を尽くそうと決意した有識者と専門家、研究者、元政府高官によって2005年に設立された。このフォーラムは長年にわたり中日協力の強化と両国の不一致の抑制、相互理解の増進にたゆまず努力してきた。

私はこのフォーラムに何度も参加してきた学者として、「第11回北京―東京フォーラム」が両国関係の重要な時期に中日関係の改善と発展、有利な世論環境の形成を促進するため、あらためて努力し積極的な貢献を果たすよう心から願っている。

 

 

 

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