民間交流と中日関係

李華傑(大連民族大学)

 

未来さん、こんばんは。まず自己紹介をいたします。私は李華傑と申します。中国の大学二年生です。今、寮で未来さんに手紙を書いております。君はきっと未来で私たちを待っているでしょう。

「未来さんはどんな外見ですか? 性格は?」。質問はたくさんありますが、誰も答えてくれませんでした。でもそれは当然ですよね。誰も未来さんに会うことができませんから。

けれど、一つの事実は分かっています。それは未来さんが今後どうなるかは、私たちが何をするかの結果だということです。実はみんな知っています。けど、未来さんのためにずっと頑張れる人は少ないです。本当に残念です。

私は大学に入る前に、日本と日本語に触れる機会は本当に少なかったです。宮崎駿監督の映画を除いて、何もないです。しかし日本語科の学生になりました。不思議ですが、これは運命かもしれません。ならば、私は日中両方の立場で考えなければならないと思います。日中関係がよくなるには、政府も民間も努力しないといけないと思います。でも状況はそんなによくないです。

1972年に日中国交正常化が実現しましたが、終わったばかりの戦争を忘れることはできませんでした。それから、靖国神社を参拝した首相がいました。尖閣諸島についての所有権とか、戦争法案とか、これらは中国人にとって困った問題です。政府間の交流は、だから多くないのです。日中関係が良くなるようには思えないです。

一方、民間でも問題があります。私の祖母は、今も私の専門が日本語ということを理解できません。祖母を訪問すると「なぜ日本語を専門に選んだか。卒業すると仕事を探しやすいからか」と、不満げな質問がどんどん来ます。理由は知っています。祖母は昔、日本軍に殺されかけました。私が「例えば隣近所と剣かして、大人たちはお互いに憎んでいるとしても、子供たちは一緒に楽しく遊ぶべきではありませんか」といくら説明しても、祖母は頑固な態度を崩しません。本当に仕方がありませんね。

未来さんはこうした状況を見ると、きっと悲しいでしょう。前途多難ですね。2つの国の政府は意見が一致しないし、民間では祖母みたいな人間が少なくないです。どうしたらいいでしょうか。私はいい面を探してみたいです。

まず、日中間の貿易額は増えるばかりです。つまり日中はもう経済共同体で、お互いに離れられませんから、戦争の可能性も低くなりました。そして経済の発展によってお互いの文化も知るようになりました。特に日本のアニメは中国でとても人気があります。お互いの理解が深まりました。もっとも重要なのは人間です。私のように平和な未来を願う人がだんだん多くなって、祖母のような頑固な人は少なくなっています。隣近所なんだから、ちゃんと付き合わないといけないでしょう。

未来さん、私はまだ日本に行ったことがありませんから、これはただ、中国人として、中国人の立場からの意見です。日本からの立場はまだ分かりません。ごめんなさい。

でも私は頑張ります。日中友好は私にとって、両国の政府と国民にとって、全世界にとっていいことです。ですから、両国の平和な未来を担う青年として、必死に日本語を勉強して、私は必ず頑張ります。

もうこんな遅い時間になってしまいました。今日はこれで終わりましょう。眠すぎますなあ。夢を見るときに、未来さんに会えればいいですね。ではおやすみなさい。

 

【創作のインスピレーションと】

 中国のことわざに、「無心になって柳を植えれば柳は茂って蔭を作ってくれます」というものがあります。入賞できるのは考えもしませんでした。

 ある日、寮に帰ったら、友達が「浦上先生は、この作文は君が書けると言っている」と言いました。実は当時多かれ少なかれ嫌だと感じました、自分の実力に疑いを抱いていましたから。しかし、「とにかく、やってみよう」と思って、書き始めました。

 夜11時半から次の日2時まで書いて、頭が冴え渡ると感じました。これまで考えていた日中関係についての感想を、すっかり書きました。

 未来を擬人化するのは幼いかもしれませんが、相手に自分の気持ちを洗いざらい打ち明けたいと思いました。日本語科に入る前に、日中関係のことを考えることはほとんどありませんでした。ですから、今頃日中関係の大切さを気に着くのは、どうも恥ずかしいように思います。そして、日本語を学ぶ中国人として、日本をもっと詳しく知りつつ、ナショナリストになるのはいけないと強く感じます。

 未来さんに何か言いたい一言があったら、それは架け橋というと大袈裟ですが、私はできるだけ力を尽くして日中関係が良くなるために、毎日頑張ります。

 

人民中国インターネット版 2015年12月

 

 

 
人民中国インターネット版

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850