程永華全国政協委員、駐日本大使 中日関係について見解発表

 

3月4日午前、中国人民政治協商会議(全国政協)第12期全国委員会グループ討論修了後、程永華全国政協委員、中国駐日本大使が2016年の中日関係の全体的流れについて自らの見解を述べた。

両国関係改善の勢いは依然ぜい弱

程委員は、まず昨年までの両国関係の情勢について振り返った。「2014年11月は中日関係にとって一つの正念場だった。これ以前、中日関係はいわゆる『最も深刻な局面、最も困難な時期』にあった」

「1972年から、中日両国にはもともと締結された『中日共同声明』など四つの政治文書があったが、一部の人たちがこれらの文書を遵守せず、歴史問題と領土問題でもめ事を引き起こした。このため、両国は改めてルールを確立せねばならず、双方の政府は何度も協議を重ね、四つの原則的共通認識に合意した。この後、われわれと日本側の関係は改善のプロセスに入った。双方の指導者は国際会議の場で会談を持ち、双方の政治、政党、政府レベルでは、政府のそれぞれの部門で、秩序を持って、段階的に対話と協議を回復していった。それに地方政府や友好団体との間の交流も段階的に回復している」

2015年5月23日、習近平国家主席は北京の人民大会堂で行われた中日友好交流大会に出席し重要演説を行った

しかし、程委員は、このプロセスが順調というわけではなかったと考えている。2015年には歴史問題をめぐり、日本側にいささか中日関係に不利なマイナスの言動が出現した。日本の国会で『新安保法案』が可決され中日関係の改善に影響した。程委員は「日本で『新安保法』の議論が行われた際、しばしば中国が持ち出された。これはもっぱら『中国がどうだから、われわれはこうしなければならない』というものだった。『新安保法案』可決の口実にいわゆる『中国脅威論』を持ち出したのだ」

このため、程委員は中国大使として、日本側と何度も交渉を行った。しかし、最近では南海問題で、日本側は依然としていささかマイナスの、中日関係に不利な言動をしている。程委員は「これは非常に危険な冷戦思考で、中日関係は改善の中にあるものの、勢いはまだぜい弱であることを物語っている。われわれは日本側に四つの政治文書と四つの原則的共通認識を厳格に遵守するよう呼びかけている。共同の努力で、両国関係改善のプロセスを守り、両国関係を健全で安定した発展の軌道に向かって推し進めるべきである」

さらに「2017年は中日国交正常化45周年だ。われわれは今年努力を重ね、来年のために早くから企画を進め、両国関係をより良いステップに推し進めるよう希望している。われわれ中国側はこうして日本側と共に努力していくことを望んでいる」と付け加えた。

民間交流には依然大きな発展の余地

昨年5月23日、習近平国家主席が北京の人民大会堂で3000人の日本からの訪中団と会見した際に、中国は日本政府が四つの政治文書と四つの原則的共通認識に照らして両国関係改善のプロセスを維持していくとする一方で、同時に日本の人民に対して多くの友好交流と協力を行いたいと述べた。程委員はこれについて「中日両国は引っ越すことのできない近隣である。新中国成立後、両国の国交正常化以前から、両国には人民の友好交流の伝統があった。『民間が先行し、民が官を促す』であり、周恩来、廖承志ら上の世代の外交家はこのために多くの心血を注ぎ、われわれもまた現在、この方向に向かって全力を上げて推進している」と述べている。

昨年は抗日戦争勝利70周年だった。程委員は「一方でわれわれは日本のトップが日本で行われた各種活動に招待した。「七・七事変(盧溝橋事件)」の記念集会、過去の日本政府による強制連行徴用労働者の座談会などだ。その目的はすなわち歴史を銘記し、命を捧げた烈士をしのび、平和を大切にし、未来を切り開くことに基づいて、中日関係が健全な方向への発展を推進するためだ。もう一方で、われわれはさまざまな民間交流の方式を用いて抗日戦争勝利70周年を記念した」

程委員によれば、中国駐日本大使館は昨年700人の日本人大学生を数回に分けて中国訪問に招待した。このうち5月には、日本の大学生を南京での城壁修復活動に招いた。こうした活動に参加することで、日本の大学生たちはどのように教訓をくみ取るべきか、両国の平和を守ることを考えるようになった。

昨年の中国の民間人による日本旅行での「爆買い」現象について、程委員はこれも一種の民間による自発的交流であると考えている。彼は「(昨年の中国から日本への旅行者数は)われわれの統計に基づけば469万人で、日本側の統計では499万人となっており、いずれにせよ急速な伸びを示している。現在、中国の一般庶民の生活水準は高まっており、みな外の世界がどのようか見てみたいと思っている。客観的には円安という要素もあり、爆買い現象を後押ししている」

しかし、程委員は現在の双方の民間交流規模には依然としてまだ大きな発展の余地があると考えている。彼は「目下の統計では(昨年)双方の人的交流は700万人余りだが、中国と日本の人口規模および両国の海外訪問者数、旅行者数に占める割合に照らせば、依然大きな開拓すべき余地があり、まだまだ不足だ」と考えている。彼は、今年中日民間交流がさらに新たなステップに上ることを期待している。

パンダ杯で変わった若者の対中印象

中日両国の民間交流を推し進めるには、特に若者の人的交流を強めるべきだ。程委員は、中日民間青年交流推進の一環として、昨年、中国駐日本大使館と人民中国雑誌社が主催したパンダ杯全日本青年作文コンクールが行われ、優秀賞・入選の青年が中国訪問に招待されたことを紹介している。

パンダ杯受賞者の露木春那さんは曲阜師範大学の学生と共同で「以書合友」の書を書き上げた

程委員は「応募者は本当にみな日本の普通の庶民、特に若者で、会社員あるいは大学生だった。中国訪問の後で、多くの参加者が大使館に礼状を送ってくれたが、そのうち多くの人が特に次の一点を強調していた。彼らが、これ以前に日本のメディアを通じて理解していた中国のイメージはあまりよくなかった。中国人はあまりマナーを守らないなどというものだ。しかし、彼らは実際に中国人と触れ合った後で、中国人がとても礼儀正しいことに気づいたという。ある青年は、中国の上海でよく道に迷ったが、地図を手に右往左往していると、すぐに地元のおじいさんが来て道を教えてくれたそうだ。彼らは身をもって中国を体験することで、中国に対する認識をまったく別のものに変えた。中国は日本のメディアで宣伝されているよう通りではないと考え方はすぐに変わった。この効果はとてもいいものだ」

日本のメディアによる中国関連報道について、程委員は「日本のメディアの中国に対する報道量はますます増えていると言うべきだろう。中国の国家政策に関する面ではマイナスの解説がかなり多いが、中日両国の人と人との交流に関するニュースは比較的ポジティブだ」と話している。

目下、大使館の推進の下、両国のメディア間、とりわけ第一線の記者の間での交流が大々的に展開されている。程委員によれば「昨年、われわれは中国西部地域を含む多く地域で、日本の記者の訪問交流を何度も実施しました」という。

 

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