今年度の政府活動報告の注目点は? 起草グループ責任者が解説

 

第12期全国人民代表大会(全人代)第4回会議が5日、北京の人民大会堂で開幕した。中国国務院の李克強総理は国務院を代表し、政府活動報告を行った。十三五(第13次五カ年計画:2016〜2020年)の初年度である今年の政府活動報告の注目ポイントとは?国務院研究室副室長で、政府活動報告起草グループ責任者の黄守宏氏および国務院研究室総合二司司長の向東氏に解説してもらった。

▽新たな発展理念が報告全体を貫く

向東氏は次のように述べた。

中国の党と政府は今年の政府活動報告の起草を高く重視している。習近平総書記は自ら会議を主宰し、国務院の李克強総理は経済関係者、専門家・学者、党外人士を招いた座談会を幾度も開催し、報告の指導思想、表現形式、全体的な枠組みに対する意見を幅広く集めてきた。

報告の起草においては、小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的建設が特に重視されている。また、報告の中で特別に「十三五」計画についての説明が設けられ、国民の注目する問題に答えている。新たな発展理念が全体に貫かれ、イノベーション、協調、グリーン、開放、共有という五大理念が政府活動の全局面を貫いている。

▽昨年の経済データは「見栄え良し、性質も良し」

向東氏は「中国の昨年のGDP成長率は6.9%、GDP総量は2年連続で10兆ドルを超えた。この規模に達しているのは現時点では中米両国のみだ。昨年、中国の都市部では新たに1312万人が就職した。現在、東部沿海地域の多くの工場では従業員が見つからない状態だ。36の大中都市の失業率(出稼ぎ労働者を含む)は5%前後で安定している。経済危機が発生するような兆しが一体どこにあるのだろう?」と語る。

黄守宏氏は、「過去1年の中国経済データは『見栄え良し、性質も良し』だった。見栄え良しとは、中国経済成長の各指標が比較的良好だったということ。性質も良しとは、中国経済発展の構造が改善され、新たな発展の原動力が形成されつつあるということ。サービス業の対GDP比は昨年初めて50%を上回った。中国政府には、経済の下ぶれ圧力に対応する十分な革新的政策と手段がある。必要があれば、これらの手段や武器をすぐに繰り出すことができる」と語った。

▽「十三五」期間はインターネットをうまく活用

向東氏は次のように述べた。

中国には、世界一の生産量を誇る商品が287種類あるが、中国人は海外でのショッピングに詰めかけ、外国の粉ミルクを買いあさっている。これは供給側の改革の重要性を物語っている。供給側の構造改革は「十三五」期の重要任務であり、さらなる従業員が見つからないと権限委譲、減税・費用引き下げを行い、市場に活力を注入しなければならない。

現在、もしインターネットと無関係と言い切れる産業があれば、それは淘汰される産業に違いない。インターネットは中国のモデルチェンジ・アップグレードの跳び板であり、インターネットを代表とする新たな原動力が発展すれば、古い原動力のアップグレードをけん引できるだろう。

▽赤字率は低い 引き続き金融政策に注力

向東氏はまた、「今年は引き続き財政と税務、金融政策に力を入れる必要がある。中国の現在の赤字率は低く、たとえ3%を突破しても世界的には低い水準であり、まだ大きな余地がある」としたほか、「今年はさらに民生改善に力を入れる。社会保障面では、医療保険から1人あたり10元を拠出して商業保険を購入し、数百万人のがん患者をカバーし、家庭の負担を軽減する計画だ。また、都市部従業員の基本医療保険の清算限度額を30万元から40万元に引き上げる」と語った。(編集SN)

 

「人民網日本語版」2016年3月6日

 

 

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