両会の代表・委員 シェアリングエコノミー・電子商取引・新興技術に提言

 

発展の新常態(ニューノーマル)の下、経済のモデル転換・高度化は掛け算と引き算を併用する必要がある。両会(全国人民代表大会<全人代>・中国人民政治協商会議<全国政協>)の開催期間中、代表・委員の多くが経済の新モデルに視線を定めている。シェアリングエコノミー、国境を越えた電子商取引、新興技術などの分野をどのように推進し、普及拡大するかという提言だけでなく、新しい経済のスタート時には規範化された管理によって経済を援護することが必要との提言が行われた。「北京商報」が伝えた。

上記の3分野について次のような提言がなされた。

▽シェアリングエコノミー:巨大な市場の監督管理は保守的過ぎてはいけない

経済の「新たな原動力」として、シェアリングエコノミーはこれから10年間のビジネスモデルとみなされている。データによると、2015年には中国のシェアリングエコノミーの市場規模は1兆元(約17兆4365億円)を超えた。シェアリングエコノミーの発展を制約する問題について、全人代代表を務める清華大学政治経済学研究センターの蔡継明センター長は、「ネットで予約するタクシーサービスはシェアリングエコノミーの中でも最も成功したモデルの一つ。大量の個人の遊休資源を他人と分かち合い、『所有を求めず、利用を求める。人々は人々のために』というのが、シェアリングエコノミーの精神的な本質だ」とした上で、「革新的な業態は政府のガバナンスモデルの刷新を必要とする。『インターネット+移動』という新業態は伝統的なタクシー産業に巨大な打撃を与える可能性がある。政府の管理が追いつかず、これまでのような管理方法に基づくなら、絶好のチャンスを逃すことになる」と強調した。

▽電子商取引:複数の新モデルには細分化された政策の実施が急務

従来型ビジネスモデルの高度化を推進し、個人消費の促進に力を入れる過程で、電子商取引が重要な担い手になる。注目されるのは、一級都市、二級都市の所得水準の向上と三級都市、四級都市の都市化の加速にともない、海外商品の購入を代表とする高品質商品の消費、ブランド品の消費が高度成長を迎えることは確実だ。こうした背景の下、全国政協委員を務める蘇寧持株集団の張近東会長は、「国境を越えた電子商取引のO2O(オンラインツーオフライン)発展モデルを奨励し、迅速な実態消費の環境を創出することだ」と提起する。張会長が国境を越えた電子商取引の発展について提言を行うのは、2年連続だ。

張会長は、「国境を越えた電子商取引の発展モデルは、国内の消費者が海外に行かなくても海外製品と同等の商品やサービスを享受できるようにするとともに、国内製造業のモデル転換・高度化をもたらし、海外に流れた消費を国内に留め、国内企業の収入を増やし、新たな収入を生み出すことになる。続いて、『前店後倉』(企業と地方自治体からなる新たな地域レベル販売モデル)式のO2Oビジネス体を構築して、商品を見たり触ったりする体験から商品の受け取りまでをカバーするワンストップのショッピング機能を確立することになる」と述べた。

▽新興技術:従来型企業のスマートモデル転換を推進

産業のモデル転換・高度化は新興技術の誕生と切り離せない。政協委員を務める復星集団の郭広昌会長は、「これまでの通信、電子商取引、ソーシャルネットワーキング・サービスといった優位性のあるインターネット産業を土台に、中国は目下、各産業が現代型情報ツールを契機としてスマート化するという非常に大きなチャンスを迎えている。今後は、いわゆるオンラインとオフラインとの区別がなくなり、従来型産業とネット産業の区別もなくなり、現代型情報技術は水や電気と同じように社会の重要なインフラになる。オンラインからオフラインへ、オフラインからオンラインへの移動により、最終的に社会全体で『スマートエコノミー』を形成することになる」と述べた。

また郭会長は、「国レベルで企業の『スマートエコノミー』へのモデル転換を、特に従来型企業のモデル転換を支援することだ。とりわけ中国企業のイノベーション発展により柔軟なビジネス環境を提供することだ。たとえば引き続き行政のスリム化と権限移譲、財税改革のさらなる推進、税制度の簡素化などを進め、企業の研究開発、イノベーション、主体的なモデル転換の積極性をかき立てることが必要だ」と提言した。(編集KS)

 

「人民網日本語版」2016年3月4日

 

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