李総理のボアオフォーラムでの講演 そのポイントは?

 

ボアオ・アジアフォーラム2016年年次総会が海南省のボアオ(博鰲)で24日に開幕。国務院の李克強総理が開幕式において「活力に満ちたアジアの新しいビジョンを共に描く」と題する基調講演を行った。この基調講演では4つのポイントが挙げられれる。京華時報が伝えた。

1.アジア金融協力協会設立の提唱

李総理:世界各国とマクロ政策協力を進め、各種貿易保護主義に共同で反対しなければならない。とりわけ発展途上国はより多くの成長友好型政策を採り、一部の国の政策調整が外部に影響することを避けなければならない。中国側はアジア金融協力協会の設立を積極的に提唱し、各国と連携してより充実したアジア金融市場を構築し、再び大規模な金融変動が発生することを共同で防いでいきたい。

――解説

清華大学経済外交研究センター長、国家政策研究センター上級研究員の何茂春氏は、アジアは活力に満ちた大陸であり、基金の実力も富の蓄積も非常に大きい。アジアのインフラ施設、工業の高度化、公共サービスの設立、および民生の改善といった面でいずれも基金が必要である。現有の生産能力と基金を回転させ、信念を樹立するためには、新しい金融機関と体制を構築し、生産と民生を支える必要がある。中国側が提唱するアジア金融協力協会の構築は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)やシルクロード基金といった金融機関の構築において建設的役割を果たすことは紛れもなく、現行の国際金融体制の不足を補うものである。しかし、この面での取り組みはまだまだ少なく、より大きな範囲で、より精確な投資サービスを行っていく必要がある。この提唱は実現可能性が大きく、また実現すべき提唱である。以前も中国は同様の提唱を提示したことがあるが、今年のボアオフォーラムではより明確に打ち出された。

2.年内にRCEP交渉妥結へ

李総理:アジアの新興に遅れをとるメンバーがいてはならない。中国は地域と国の実際のニーズを鑑みた上で、インフラ施設、工業設備といった分野で生産能力建設を展開していきたい。東アジア地域の包括的経済連携(RCEP)はアジアの加盟国が最も多く、規模の最大の地域貿易の枠組みであり、2016年年内の妥結に向けて取り組んでいくべきである。

――解説

何氏:RCEPはアセアン10+6のグレードアップ版で、東南アジア共同体と、中韓日、オーストラリア、インドといった国々を含む6つのエコノミーは、西太平洋沿岸のグレードアップ版汎アジア協力であり、この協力はWTOやアセアンのレベルよりも高い。RCEP協力のカバー範囲は、貨物貿易、サービス貿易、投資、知的財産権協力など非常に広く、各国の発展水準に基づき、二国間貿易のルールを制定することができ、これはアジア諸国の実情にも合致するものである。この地域の協力の推進に当たっては、よいハイグレード・ハイレベル、そしてより自由な地域協力計画を構築することで、世界経済の大きな推進力となるだろう。

3.アジア文明対話大会開催の提唱

李総理:開放と包容はアジア文化の根底である。中国側はアジア文明対話大会の開催を呼びかけ、各国と地域組織の積極的参加を歓迎する。地域発展の困難なときこそ、各国は友好の伝統から教訓を汲み取り、共同で知恵を一つに集め、アジアの共通認識を継承・発展していかなければならない。

――解説

何氏:アジア地域は悠久の歴史を有し、異なる民族と異なる文化がこの地で長きにわたり共存し、同時に世界各国の文明もアジアで広く広まってきた。文化の衝突を如何にして文明の融合に変えるか、如何に互いに尊重し合い、学び合って紛争を平和に解決するかは、対話、平等な交流を通じ、人々の心を通わせなければならず、それは長期的に経済発展を保障する前提でもある。

文明交流を効果的に進めていかなければ、領土紛争のように局部的な衝突を招きかねず、ひいては戦争を起こしかねない。アジア社会の制度は非常に多元的で、文明対話を展開することは非常に必要なことである。この点を解決できなければ世界の安定に影響を与え、世界経済の発展を後退させてしまうことになる。

4.機会を見て「深港通」を推進

李総理:一昨年ここで「滬港通(上海と香港の株式取引 の相互乗り入れ)」を宣言したが、今年は「深港通(深センと香港の株式取引の相互乗り入れ)」を機会を見て推進していくことをここに宣言する。こうした発表は中国の資本市場の弛まぬ対外開放の表れである。

――解説

何氏:「深港通」はこれまですでに論証が重ねられ、長く期待されてきた構想で、今年機会を見て条件が揃えば実現される。「深港通」の実現は人民元の中国大陸部外の清算、決算に大きな利便性をもたらし、中国の海外融資と国外投資にさらに円滑なサービスをもたらす。資本市場の運営の利便性をより高めると同時に、海外投資開放を拡大し、人民元の国際化をサポートする。(編集MI)

 

「人民網日本語版」2016年3月28日

 

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