国際的経験から見る増値税一本化改革

 

5月1日の増値税一本化改革(営改増)の全面実施まで2週間を切った。既定の改革ロードマップに基づけば、この日から営業税は、歴史の舞台から降りることになる。

「20世紀の半ば、多くの国家が増値税を導入し、工業化の進展とサービス業の発展を推進させ、多くの雇用を生み出してきた」と李克強総理は述べる。

李総理の言う「増値税制度」はフランスが最も早く、1954年に施行された。売上税と重複する伝統的な税制問題を有効的に解決したことで、世界中の様々な地域、様々な経済発展段階の国や地域で採用されることになった。現在、全世界の160を超える国と地域で増値税が適応され、国際税収の20%、GDPの4.5%を占めている。

増値税が国際的に広く歓迎されている主な理由は、付加価値額を税の基礎をすることで、課税重複をうまく避けられることにある。また、納税者は自分の利益を確保するためにできる限り領収書を集めるようになり、そこから納税者の相互制約が生じることで、納税逃れを防ぐ効果もある。さらに、徴税が極めて便利になり、強固な財政収入能力を持つことになる。それによって政府は大きな税収を確保することができる。

中国式「増値税一本化改革」 経済のモデルチェンジを促進

1994年の税制改革以降、流通税は常に主要な税カテゴリーだった。しかし生産型増値税を実行したため、企業が機械設備を購入した際に増値税を納税したあとで、企業の製品販売による増値税から控除することはできなかった。このような重複課税は企業負担を重くするだけでなく、企業の技術的進歩や設備の更新の奨励と矛盾するものである。

経済構造の最適化を促進するため、2012年に中国は「増値税一本化改革」の試行を試みた。まず上海で、交通運輸業と一部の現代サービス業に対し試行を試みた。その後、試行地域と業界の範囲は徐々に拡大し、2015年までに全国の改革試行地域の納税者は592万戸、累計実施減税は6412億元となった。

「増値税一本化改革」の実施により、第一に貨物労務税制が統一され、税制構造が最適化された。第二に重複課税がなくなり、企業の税負担が軽くなった。第三にサービス業の発展と製造業のモデルチェンジが促進され、産業構造が最適化された。第四にサービス分野の輸出競争力が高まり、輸出貿易構造の最適化を進めることができた。第五に企業の発展余地が広がり、創業やイノベーションが促進された。統計によると、2015年、「増値税一本化改革」試行地域の範囲が変わらない状況下において、同地域の納税戸数は前年比で40%近く増加した。全国の税務登記戸数の13%増をはるかに上回る数値である。

今年5月1日より、「増値税一本化改革」試行地域は全国に広がる。これが改革の最後の山場である。建築業や不動産業、金融業、生活サービス業が試行対象に加わることで、現行の営業税の納税者は、全て増値税を納税することになる。営業税は全面的に増値税に取って代わるわけだ。

財政部副部長の史耀斌氏は、「増値税一本化改革は、統一税制を通じたサービス業内部と第二次・第三次産業の間にあった控除の鎖を1つにし、制度的に課税の重複をなくすものである。これは税収の中立的作用を十分に発揮するものだ。そして公平な競争ができる市場環境にとって有利なものであり、中国の財政体制を完備するという大きな目標にとって意義のあるものである。現状を見る限り、これは多くの企業にとって税負担を軽くするものとなる」と述べる。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年4月25日

 

 

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