中日メディアが育む両国民の好感情

 

第12回「北京-東京フォーラム」のメディア分科会において、両国のベテランメディア従事者、メディア研究者や文化著名人が、「問われる国民感情の改善と中日のメディア協力」という議題をめぐり、メディアが国民の好感情を増加させることにおいて発揮する作用について、そして、いかに着実に効果的に協力を推進させるかについての討論を行った。

 

客観・公正への回帰 

 

メディアは中日両国民が相手を理解する最も主要なルートである。零点有数科技公司が実施した最新の「中日世論調査」によれば、中国メディアの日本に関係する報道のトピック選択はよりバランスがとれ、また、プラス面の報道がマイナス面の報道よりも多かった。しかし、日本のメディアの中国に関する報道は、ほとんどが時事政治・経済分野に関するもので、文化・スポーツ・娯楽などの分野のニュース報道全体に占める割合は10%にも満たず、それもマイナス面の報道が主となっている。

 

この現状に対し、フェニックステレビ(鳳凰衛視)の日本駐在首席記者である李淼氏は、プラス面の報道であろうとマイナス面の報道であろうと、客観的な真実性が最も重要であるが、一部の日本メディアは中国に対し、ある種の敵対意識をもち、特有の古い観念を抱いており、中国を誤読・曲解していると考えている。人民中国雑誌社の王衆一編集長も、PM2.5問題や食品安全問題に対して、一部の日本メディアの報道は度を越しており、日本の観光客の中国観光へ不利な影響を及ぼしていると考えている。 

 

この現状をいかに改善し、両国民の好感情を増やすことができるか、中日両国のゲストはそれぞれ提案を行った。NHKの加藤青延解説委員は、マイナス面の報道でも実は中日関係に貢献できると考えている。マイナス面のニュースを報道する時、同時に改善提案を行えば、マイナスなニュースにもプラスエネルギーを注ぐことができるからだ。共同通信社の杉田弘毅論説委員長は、メディアは外交の場ではなく、両国はゼロサムゲームをしているわけでもなく、メディアは総合的に各方面の観点を報道する必要があり、本国の立場だけに立ってはならないことを強調した。中国網(チャイナネット)の王暁輝総編集長は、双方はより普通の人々の生活に注目し、心が通じる小さな物語などを通して、感情を近づけるようにしたらよいと提案した。彼はまた、両国メディアは単に不平不満を言うだけでなく、視線をさらに遠くに向けるべきだと指摘した。中国広播の日本語プログラム製作者で日中友好会館の青樹明子理事は、中日民衆の間の多くの誤解は両国の習慣や考え方の違いに端を発するもので、互いの習慣を理解すればこれらの誤解を解くことができる。そして、メディアはまさに両国の相互理解を促進するための懸け橋になることができると指摘した。

 

メディア協力の新たな道の模索 

 

メディアの国民感情の好転における役割を検討する以外にも、ゲストは両国メディアがいかに着実で効果的な協力を行うことができるかについての提案も行った。

 

中国社会科学院日本研究所の金瑩研究員は、両国メディアの協力は体制・機構による協力まで広げるべきで、1年に1回のフォーラムでの討論という段階だけにとどまらず、長期的な事務組織或いは編集委員会をつくり、日常的な交流を行うことを提案した。

 

零点有数科学技術の袁岳理事長は、新メディアが盛んに発展し、すでに中国で最も活発なメディア形式となっているが、両国の協力は従来のメディアのみにとどまることなく、さらに多くの新メディアの力を注ぎこむべきだと指摘した。経済日報の蘇海河東京支局長も同様の視点を提起している。彼は、中国の若者の情報取得源は主にスマートフォンであり、次がコンピューターネットワークであるため、ミニブログやSNS、モバイルクライアントなどの分野において、双方はさらに多くの角度から、多元的に協力を推進できることを指摘した。 

 

早稲田大学大学院アジア太平洋研究科の天児慧教授は、以前あるテレビ局が行った歴史・領土問題など敏感な問題についての討論会に参加したことがあるが、みなの観点はするどく対立し、火花が散ることも多かったが、とても有意義だったと語った。彼はメディアがもっとこのような両国の学者が重大な問題について各自の意見を述べ合うような活動を行ってほしいと希望した。 

 

人民中国雑誌社の王編集長は、もっと多くのメディアの経営陣がフォーラムの討論に参加し、相互交流のチャンスを増やし、現地の若者に接触して、彼らの本当の考え方に耳を傾けたりするとよいのではないかと提案した。

 

人民中国インターネット版 2016年9月28日

 

 

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