中日関係改善のための道を探る

 

 今年の「北京-東京フォーラム」の「二国間政治・外交」分科会において、中日両国のゲストは「世界および東アジアの平和秩序の調整・モデルチェンジと中日の役割」というテーマで、率直かつ活発な討論を行った。双方は現在の中日関係が直面している各種の問題を避けることなく、疑いを取り除き、理に基づいた討論を通じて、誠意を持って私心を挟まず、中日の問題解決と関係改善に前進の道を模索した。

 

 

両国の誤解の霧を晴らす

 

 中日間にある新旧の問題が交錯するにつれて、国民感情が引き続き低迷し、いかに正しく理性的に相手を見るかということが中日の政治・外交の現状を改善する基礎となっている。これについて、双方のゲストが異なる角度からそれぞれの考えを発表した。

 

 元国連事務次長で元中国駐日大使の陳健氏は、「中日関係は3つの段階に分けることができます。近代以前のほとんどの期間は、中国が強くて日本が弱かった。日本の明治維新以降は、徐々に日本が強くなり中国が弱くなった。現在は中日が共に強くて並立している。つまり、中日両国がいかに現段階で対抗を回避し、協力に向かうかというのは、中日関係史においてこれまで発生したことのない問題なのです」と指摘。衆議院議員の中谷元氏は、「いま中国は急速に発展しており、この28年間、国防予算は初期の215億元から現在の9540億元まで増加した。中国の国防政策は防衛から進攻へと転換してるようで、日本を不安にしている」と提起した。

 

 これに対し、中国人民大学新聞学院院長で元国務院新聞弁公室主任の趙啓正氏は次のようにはっきりと述べた。「中国の経済発展が軍事拡張につながるのではないか、覇権主義を生むのではないかという日本の心配は、必要のないものだと考えます。中国には植民地主義の歴史はなく、長期にわたって防衛を主とし、対外拡張の考えがなく、しかも世界平和の発展に貢献したいと願っているからです」

 

 集団的自衛権の解禁、憲法改正など、中国の人々を心配させる日本の右傾化について、参議院議員で元財務副大臣の藤田幸久氏は次のように説明した。「『満州事変』以後、日本は軍国主義を信奉し、中国に多大な損害を与えました。しかし、現在もこれからも、軍国主義が日本で重視される心配はありません。戦後の日本は対外戦争をしていません。平和を大切にするDNAはすでに日本人の心のなかに植えつけられています」

 

 両国間の誤解について、上海市日本学会会長の呉寄南氏は、「日本メディアによる『中国崩壊論』や『中国覇権論』といったマイナス報道が、日本の人々の中国認識に偏向を引き起こしています。日本の政界で、漢詩を作れる政治家はどんどん減っています。われわれが米国の基準で問題を捉えるなら、中日両国の相互認識の格差はさらに大きくなるでしょう」と指摘した。元日本駐米国大使の藤崎一郎氏は、「民族主義が高揚すると、人々は理性を失います。中日両国の政府がこのような状況に適切に対応することは、中日関係にとって大変重要です」と語った。

 

 双方のゲストによる討論においては、理性的に相手を見て、誤解の発生を減らすということが中日関係改善の基礎とされた。

 

広範な交流の道を切り開く

 

 中日関係改善の道を探るプロセスにおいて、中日のゲストは共に、広範で適切な交流を展開することが最も有効かつ信頼できる方法であると考えた。趙啓正氏は2つの感動的なエピソードを披露した。「2008年の四川汶川大地震の時、日本の救援隊は犠牲者を1人探し出しただけでしたが、彼らが遺体をきれいにして黙祷を捧げたことは、多くの中国人の涙を誘いました。また、北京オリンピックの時、日本の国旗と中国の国旗を持って入場した日本の選手団は、中国の観客から熱い拍手をもって迎えられました」。趙氏は、人々が顔を合わせて交流する「公共外交」においては、自然に現れた偽りのない気持ちが最も人を感動させ、このような交流は国民同士の感情を引き寄せるのに良い効果をもたらすと指摘した。

 

 衆議院議員の福田達夫氏は、自身の息子と若い議員たちが中国を訪れて身をもって体験し、中日交流の若い担い手になることを奨励すると、賛意を示した。これに関して、民進党幹事長代理の玉木雄一郎氏は、自身が設立に参加した超党派の若手議員交流会に対して3つの原則を定めたという。一つ目は、中日関係が苦境に陥っても交流を続けること。二つ目は、中国の国家指導者に会えなくても交流を続けること。三つ目は、中国のより多くの地方の若者と率直な交流を展開すること。玉木氏は両国の若者が良好な中日交流事業を継承・発展してほしいと希望を述べた。

 

 午後いっぱいの時間を使った分科会討論の後、ゲストと聴衆はまだ話し足りないとばかりに、引き続き集まって話し込んでいた。中国社会科学院日本研究所副所長の楊伯江氏は、今年のフォーラムは実務的で効率が高く、中日間の数多くの話題において意思の疎通を実現でき、このような顔を合わせた率直な交流は、双方の相互理解と信頼の増進にとって良い基礎固めになると感じたという。

 

 

 

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