24時間万全体制 全天候安全走行

 

高原=文 馮進=写真

 

 土曜の朝6時過ぎ、馬修強さんは電話の音で起こされた。彼の担当する区間で自動車の接触事故が発生し、レッカー車による障害物の撤去が必要ということだ。北京首発公路養護工程有限公司の5環路白鹿区間の責任者の馬さんとそのチームは主に京哈(北京―ハルビン)高速道路五方橋から白鹿料金所に至る25㌔の路面の清掃、維持、点検、応急補修などの業務を責任担当し、土日祭日も随時、突発事故処理に備えている。  

障害物撤去の指令を受けると、馬さんは人員と機械を事故現場に派遣する。午前中いっぱいを使って、やっと交通を回復させ帰宅すると、間もなく大雨に備える第2級待機指令があった。全ての各区間責任者は、大雨の警報が解除されるまで職場待機し、随時、路面のたまり水問題の処理に当たらなければならない。このような勤務状態が10時間から、時には20~40時間継続することもあり、馬さんの話では、最長48時間待機し続けたことがあるという。

 

辛く危険な仕事 

 

34歳の馬さんは河南省商丘の出身で、中国地質大学で土木工学を専攻し、卒業後も北京にとどまった。友人の紹介で北京首発公路養護工程有限公司に入社し、仕事を始めて10数年。第一線の道路機能維持作業員に始まり、作業チームのチーム長、作業区間の責任者と、この道を歩んできた彼は自信を持って言う。「北京の高速道路の区域は基本的に全て熟知しています。道路の維持管理や修繕と大学の専攻とはあまり関係ありませんが、今ではすっかり熟練し、路上でどんな状況が発生しても全て対応することができます」  

馬さんの日々の仕事は朝7時から始まる。朝の路面清掃車両がちょうど帰ってくる頃だ。彼は皆を集めてミーティングを開き、車両の状況を検査し、数日中の仕事内容を手配する。馬さんとそのチームが担当する区間は、北京市の都市部と農村部が接続する場所で、この道路はナンバーの制限がなく大型トラックが通行できるため、毎日市内より渋滞する。渋滞のため公安交通管理局は、この区間の大型清掃車に、朝8時前には高速道路を離れることを求めている。また、緊急の状況を除いては、昼間に道路を占領して作業することは許されない。そこで、清掃作業員は早朝5時前には道路清掃に出る。メンテナンスの作業員はさらに大変で、毎月の3分の2の時間が夜勤で、多くの補修工事は夜12時から明け方の5時の間に集中して行われる。  

夜間は車両が少ないが危険度は昼間より高い。馬さんは「ここで作業を担当するスタッフの多くは38歳以下で、それはこの仕事での対応能力の速さが求められるからです。路上作業では、作業車から降車して1個目のコーンを置く時と、作業を終えた後、、最後の1つを回収し車中に戻る時が最も危険です」と言う。  

区間責任者になった馬さんが第一線の作業に参加することは少ない。多くの時間は電気巡視車で路面の清掃、機能維持の状況を検査し、問題点を発見する。北京市の高速道路の清掃基準では1平方㍍毎の粉塵、土、砂は15㌘を超えてはならない。これは空気が乾燥し、比較的粉塵が多い中国北方の都市にとって非常に高い基準だ。馬さんが担当する区間ではトラックと落下物の飛来が多いので、清掃作業員の多くの努力が必要となっている。

 

緊急業務に備える 

 

道路メンテナンスの企業では、路面の障害物撤去、路面の凹凸補修、ガードレール修繕などを担っているが、この他にも、雨や雪の日のスムーズな交通の流れや救急処置も保障しなければならない。この日、馬修強さんは午前の巡視を終えるとちょうど雷を伴うにわか雨になり、比較的降水量が高かったので、急いで作業員を伴って数カ所の水がたまりやすい路面を見に行った。  

2012年、北京市が7·21豪雨災害に遭遇し、道路の至る所で発生したたまり水が市内の交通マヒを引き起こした。この後、会社では雨天の緊急処理作業を特に重視するようになった。大雨が降り始めるたび、メンテナンスの作業員たちは主なたまり水地点に注意して、随時水流をスムーズにし、ポンプで水を吸い上げ、橋下のたまり水が27㌢を超える際には即、道路を閉鎖する。  

今年7月24日、北京に暴雨警報が発せられた夜、高速道路のすり鉢型に低くなっている区間の各所に道路維持作業車を待機させ、1000余人の作業員を各重点区間に配置した。徹夜で作業にあたり、一部の人は道端に横になって休息をとった。彼らの写真が新聞に載り、多くの反響を呼んだ。馬さんは写真を指し「これが私たちのチームだ」と誇らしげに言う。  

「この仕事には出勤時間があって、退社時間はありません。天気によって決められます。雨や雪があれば帰宅できません。祝祭日は皆さんが車で遊びに行きますから、私たちは職場で皆さんの安全を守ります」と馬さんは話す。彼の同僚が続いて、「ですから、私たちの妻は特に立派です。私たちは、通知を受ければ、すぐに出勤ですから……」と言う。  

馬さんは、恥ずかしそうに笑いながら話す。「特殊な仕事ですから、基本的に年次有給休暇も休めませんし、いつもは妻が2人の子どもを連れて遊びに出かけます。約束したことは多いですが、実現できたのは少ないですね。この数日、幼稚園を卒業したばかりの息子が商丘の実家で夏休みを過ごしています。息子の電話では、楽しくやっているようです。商丘の小学校に入りたい。家に帰っても遊ぶ相手がいないから、つまらないと、言っていました」。そうであっても、馬さんは、また言葉を続ける。「この仕事はとても大変です。風が冷たい日も炎天下も毎日外で、同年代の人より10歳は年をとって見えます。でも、ここまで長く仕事を続けましたから、職業は変えたくないです。やはり、この仕事が好きですし、他のこともできませんから」

 
人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850