中国の計画出産政策は「総量の抑制」から「構造の調整」へ

文=楊舸(中国社会科学院人口・労働経済研究所副研究員)

 2017年初め、国務院は『国家人口発展計画(201630)』を、国家衛生計画生育委員会は『135(第135カ年計画:201620年)全国計画生育事業発展計画』を公布した。この二つの人口発展計画は、中国の計画出産政策が「総量の抑制」から「構造の調整」への転換を終えたことを表している。

 計画出産政策を実施して30年が過ぎ、中国の人口事情にはターニングポイントとなる変化が起きた。人口の「構造の問題」が「総量の問題」に取って代わり、人口と社会経済の協調発展における突出した矛盾になり、計画出産政策の調整に対するニーズが日増しに際立ち、差し迫ってきている。

 これにより、中国政府は『国家人口発展計画(201630)』において、一連の解決に向けた方針を打ち出し、それは大きく三つに分けられる。まずは、家庭の出産や子育ての障害を取り除くため、将来、出産制限をさらに緩和することは実行の可能性が高い対策だ。次に、人的資源の備蓄を増強し、技術の進歩と社会の革新を推進するために人材を蓄える。中国は2020年までに高級中学(日本の高等学校に相当)段階の教育を普及させ、高等教育(大学)の総就学率を50%に到達させ、労働年齢人口の平均教育レベルを引き上げる予定だ。このほか、より公平で持続可能な社会保障制度を打ち立て、人口老齢化に対応する。中国は漸進型定年退職年齢引き上げ政策を実施し、法定退職年齢を60歳から徐々に65歳へと移行し、従業員の定年退職年齢政策をさらに融通の利くものにする。同時に、都市と農村の人々をカバーする社会保障システムを確立し、基本年金と基本医療保険の統一レベルを徐々に高め、在宅介護をベースとし、コミュニティーをよりどころとし、機関を補充とし、医療と介護が結び合った高齢者介護サービスシステムを築き、高齢者介護サービスと商品の供給を増やす。

人民中国インターネット版2017-03-05

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