中日軍事対立は誰を喜ばせるか?

――軍事問題専門家・尹卓委員に聞く

 

『人民中国』記者 王焱 王朝陽=文 王朝陽=写真

  34日、第12期全国人民代表大会第5回会議(全人代)の記者会見で、中国の今年の国防予算が明らかにされると、伸び率が昨年を下回ったにもかかわらず、日本の多くのメディアが「中国国防予算が1億元を突破」との見出しで、中国脅威論をかき立てた。この問題に加え日米軍事同盟、朝鮮半島問題などについて、中国人民政治協商会議第12期全国委員会(全国政協)委員、軍事問題専門家の尹卓氏に話を聞いた。

 【プロフイール】

  尹卓 Yin Zhuo

  全国政協委員、軍事問題専門家、人民解放軍海軍戦略研究所所長などを歴任、現在は海軍情報化専門家委員会主任、海軍少将。

 

――今日(34日)に行われた全人代記者会見で報道官が中国の今年の国防予算を発表しましたが、日本の多くのメディアは次々に「中国の国防予算が1億元を突破」の見出しで、中国脅威論をかき立て、日本の民衆の不安を引き起こそうとしています。日本の本誌読者のために、中国の国防予算増額状況について詳しく説明していただけますか。

尹卓 私は、現在の中国の国防予算は合理的な伸びだと考えています。中国の国内総生産(GDP)は成長しており、それに伴って中国の安全保障ニーズも高まっています。ですから、国防力は適度な増強が必要です。もしメディアが単純に国防予算がある数字を突破したことを報じて、分析や比較を行わないなら、それは他に企むところのある大げさな宣伝です。 

全体的に言って、中国は毎年編成される国防予算の基本方針は、総合的国力に比例して国防力も増強していくというものです。昨年、中国のGDP6.7%の成長で、今年の国防予算の伸びは7%前後と、基本的にGDPの成長に合致しています。 

国際的に横断して比較してみれば、国連安全保障理事会の五つの常任理事国の中で、中国の国防予算がGDPに占める割合は最も低いのです。米国の国防予算は大部分の時期でGDP4%以上を占めており、アフガンやイラクで戦争を行った時には4.5%を超えました。オバマ政権の後期に低下しましたが、それでも依然として4%近くです。ロシア、英国も3%から4%前後で、フランスは2%余り。これに対して中国は1.5%に満たず、昨年は1.49%、今年はさらに1.3%まで低下しました。ですから、中国は安保理の中でも著しく低いのです。私は、中国の国防予算は2%から2.5%に増額するのがふさわしいと考えています。しかし、中国はまだ途上国であり、貧困脱却問題など多くのところに予算が必要です。ですから軍隊はやはり少し我慢しなければならないのです。

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