中日軍事対立は誰を喜ばせるか?

 

この他、中国の国防予算増額のうち、かなりの部分が回復的増額です。1980年代から90年代の15年近くの間、GDPの成長は急速で、インフレ要因の影響も加わり(ある年にはインフレ率が10%に達した)ましたが、国防予算は基本的に毎年同等水準でこれは実質的にはマイナス成長だったのです。この時期に、中国の軍隊建設は下降線をたどり、装備が補修されないという状況も深刻で、軍隊関係者の収入レベルも社会的に中の下という位置まで低下し、人材確保もできなかったのです。このような状況が長期間続きました。この数年に国防予算が回復的に増額するようになって、この状況にも好転するところがありました。 

国防予算は主に三つの部分に分けられます。第1部分は人件費で、将校、士官、兵士は不断の生活水準向上が必要です。皆さんの給与は不断に増えていますから、軍隊の給与も適切に増えてこそ、人材を確保できるのです。第2部分は維持費で、例えば現在、中国の軍隊の遠洋訓練はますます増えており、必要な経費もますます多くなっています。空軍、ロケット軍の共同訓練はいずれも遠洋で行われ、爆撃機が一度出動すれば飛行距離は2000キロ余りになります。海軍では原子力潜水艦や通常型潜水艦がインド洋で訓練を行えば、距離は1万キロ近くになります。空母は西太平洋や南海南部で訓練を行います。大型駆逐艦は世界を航行し、米国の招きを受けて環太平洋合同演習(RIMPAC)に参加しますが、これらは皆経費がかかります。第3部分は装備の修理費です。装備を良好な使用状態、戦備状態に保つために、メンテナンス費用も適切に増額する必要があります。また現代の最先端装備はいずれもますます複雑になり、それに伴ってメンテナンス費用もますます増えています。その他、装備の科学研究や調達面の費用も増えています。ですから、中国の国防費の適度な伸びは理にかなっているのです。 

一部西側国家は中国の国防予算が不透明だと言いますが、透明、不透明は相対的な概念で、絶対の透明さというものはありません。米国の国防予算には、核兵器の部分が含まれてません。核兵器の経費はエネルギー省です。米国は11隻の原子力空母を保有しており、原子力を維持する経費はエネルギー省が担当しています。さらに7000発余りある核弾頭、この経費も米国の国防予算には含まれず、やはりエネルギー省のものになっています。またさらに軍用衛星については、現在米国の軍用衛星の数は世界全体の3分の1を上回っていますが、これらの経費は米国航空宇宙局(NASA)が出しています。 

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