「新型グローバル化」で「脱グローバル化」阻止を

 

中国の海南省博鰲(ボアオ)で23日から4日間の日程で開催されているボアオ・アジアフォーラム。アジアと新興国の重要対話の場として、「グローバル化と自由貿易の未来に向かって」が今回のフォーラムのテーマとなっている。

世界で広がる「脱グローバル化」と保護貿易主義の動きに対抗するため、今回のフォーラムでは「グローバル化」と「自由貿易」の2つのキーワードが焦点となっている。

トランプ米大統領は今や脱グローバル化と保護貿易主義の象徴的な存在となっているが、米国が今日のような世界一の経済大国と貿易大国という地位を築けたのは、ほかならぬグローバル化と自由貿易のお蔭であることを考えると、実に皮肉なことだ。

米国は過去7年にわたって世界を経済危機に陥れた元凶であり、身勝手な金融政策によって自国だけを救い、危機を世界に転嫁してきた張本人だ。今や、「金融政策の正常化」に向けた歩みは米国の経済回復を象徴しているが、トランプ大統領が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱を宣言したように、米国は二度とグローバル化に対する責任を負いたくはなく、保護貿易主義によって自国の利益だけを確保したいのだ。

英国のEU離脱(ブレグジット)も現実化、今月29日にはEU側へ離脱を正式に通知し、交渉プロセスを開始する。ポピュリズムが台頭する欧州は、今年は「選挙年」に当たり、EU離脱の動きが広がり、EU全体に動揺が及ぶことが懸念される。昨年の英国のEU離脱の是非を問う国民投票が 「ブラックスワン」だったとすれば、今年の欧州選挙年は「ブラックスワンが一斉に飛び立つ」ような混乱を招く恐れがある。

西側諸国は脱グローバル化の台頭という苦境に陥り、欧米の既存の制度はポピュリズムのもとで大きく揺らいでいる。

旧秩序内のパワーがグローバル化のマイナス要因であれば、米国の経済回復は世界の新たな景気循環の原動力にはならず、却ってより一層、保護貿易主義の混乱を引き起こしかねない。世界貿易機関(WTO)の統計によると、2015年10月中旬~2016年5月中旬、主要20カ国・地域(G20)諸国が導入した新たな貿易制限措置はひと月あたり21項目に上った。

世界には新たな秩序づくりが求められており、時流に適したグローバル化が必要だが、その使命を担うものこそ中国ではなかろうか。アジアインフラ投資銀行(AIIB)から「一帯一路」戦略、さらに人民元の国際化に至るまで、中国は世界一の貿易大国および世界第2位の経済大国として、世界経済成長へ30%の寄与を果たしている。

年初にスイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、中国の習近平国家主席は「経済のグローバル化に適応し、これを上手くリードする」として「新型グローバル化」について提言した。今年の「両会」(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)期間中も「中国の開放の扉が閉じられることはない」、「引き続き貿易と投資の自由化と円滑化に取り組んでいく」と重ねて表明。さらに、世界的な経済危機はグローバル化に原因があるのではないとした上で、「自ら暗い部屋に閉じこもるような脱グローバル化に活路はない」と指摘した。

ダボス会議からボアオ・フォーラムに至るまで、中国が「新型グローバル化」を主導するという流れは世界的コンセンサスとなっている。TPPからの離脱表明などグローバル経済のリーダーシップを放棄した米国に代わって、中国がイニシアチブを握ることを世界は望んでいる。グローバル化の受益者として、中国は「グローバル化のリーダー」という虚名を得るためではなく、グローバル化に対する責任に向き合い、世界市場に自由貿易という未来をもたらすことに着実に取り組んでいく。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年3月24日

 

 

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