「脱グローバル化」風潮の背景を考える 2017年ボアオ・アジアフォーラム

 

2017年ボアオ・アジアフォーラム年次総会が23日から26日に中国の海南省博鰲市で開かれる。テーマは「グローバル化と自由貿易の未来に向かって」。2カ月ほど前にスイスの小都市ダボスで開かれた世界経済フォーラム年次総会でも、グローバル化に関する議論が目立った。

最も影響力のある2つの国際経済フォーラムが同じテーマに着目しており、その熱意は言うまでもなく高い。ここ1年の間にポピュリズムと保護主義のかたちで表れた「脱グローバル化」の風潮が広く注目を集めている。グローバル化のプロセスは逆転するのか?今後はどのような展開となるのか?騒がしくなるなか、表面的に捉えるのではなく、冷静に考えてみたい。

現在の「脱グローバル化」風潮は、英国のEU離脱や米国大統領選挙、それにより起こった米英の政策の変化に表れている。ただ、こうした風潮の出現は世界的なグローバル化が逆転したことを意味するものではない。

中国人民大学重陽金融研究院の執行院長を務める王文氏は、いわゆる「脱グローバル化」が欧米で起こり、地域的、周期的、段階的な特徴を持つ現象との見方を示した。欧米には世界に及ぼす十分な影響力があるものの、新興経済国と発展途上国のグローバル化に対する見方は異なるため、グローバル化のトレンドも逆転していないと説明した。

英『フィナンシャル・タイムズ』は、今のグローバル化は保護主義思想の打撃に耐えられると分析した。グローバル化の行方を決めるのは西側諸国ではなく、貿易は発展途上国の10億人超を貧困からの脱却に導く可能性があると指摘。新興国がグローバル化の進展による巨大な恩恵を維持し、それを守るかつてないほどの力と決意を持っていると伝えた。

世界最大の発展途上国として中国は、グローバル化と自由貿易推進の立場を鮮明にしている。年初以降、ダボスフォーラムでは「経済グローバル化に適応し、主導する必要がある」と表明し、今年の両会(全国人民代表大会と中国政治協商会議)では「中国の開放という大きな門は閉じられることは無い」、「貿易と投資の自由化と利便化を引き続き進める」と強調。中国は世界に向けて、グローバル化を受け入れる開放的な態度をはっきりと示した。

1つの国にとって成長推進エネルギーの転換は、経済成長の一時的な鈍化につながる。グローバル化も同様だ。古い推進エネルギーが衰退し、新たな原動力がそれほど大きくならない時期は、グローバル化の進展はしばらく滞る。

エコノミストの邵宇氏は書籍『グローバル化4.0』のなかで、グローバル化のプロセスにおける制度と規則にもとづき、グローバル化の発展段階を分類した。大航海時代の「グローバル化1.0」から英国主導の「グローバル化2.0」、さらに米国主導の「グローバル化3.0」まで、グローバル化の規則はそれ自体が世界各国の相対的な総合力を反映し、グローバル化システムの後退は大国の力量比較の変化を映し出すとの見方を示している。

新興経済国と発展途上国の経済成長に伴って国際的な経済力のバランスは大きく変わり、グローバル化は新興経済国と発展途上国が推進・主導する「4.0時代」に入った。

「現在のグローバル化は停滞して前進しておらず、先進国のグローバル化に対する推進力はすでになくなった。今後のグローバル化は発展途上国、なかでも中国やインドなどのアジア諸国が主要な原動力となる」。英『フィナンシャル・タイムズ』の副編集長でチーフ経済評論家のマーティン・ウォルフ氏はこのように話した。

世界第2の経済国、最大の貿易国、第2の対外投資国、世界経済成長の最大の貢献者として中国は、新たなサイクルのグローバル化に寄与することを期待されている。

グローバル化の推進エネルギー転換やシステム高度化のプロセスは複雑だが、そのトレンドを逆転するのは難しい。中国を含む新興経済国と発展途上国が推進する新たなグローバル化サイクルという物語がゆっくりと繰り広げられている。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年3月24日

 

 

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850