瓊海
万泉河と「紅色革命」の聖地

 玉帯灘を訪れた観光客。後ろに広がるのは南海

海口市から車に乗り、島を一周する環状高速道路を約1時間走ると瓊海市に着く。瓊海は海南島東部に位置し、東は南海に臨み、北は文昌に接している。五指山を源として勢いよく流れる万泉河は、小さな河川をいくつも集め、最後は瓊海で大海に注ぐ。川の流れは下流で沖積平野をつくると同時に、そこに肥沃な土壌をもたらし、栄養を与えて、同地の人々を育んだ。瓊海の「紅色娘子軍」の物語は、中国人に広く知られている。そして、博鰲が海浜の小さな街からアジア・フォーラムの永久開催地に一躍変身を遂げたことは、世界の注目を集め、現代の都市変遷の伝奇を記すことにもなった。このほか、瓊海は華僑のふるさととしても有名で、精巧で美しい造りの蔡家宅が南洋を駆け回った海南人の悠久の歴史を留めている…。

万泉河の流れと玉帯灘

「我愛五指山,我愛万泉河(私は五指山を愛し、万泉河を愛する)」。この人口に膾炙した歌詞は大多数の中国人に知られている。五指山は海南の象徴であり、万泉河は海南人の母なる川と見なされている。

五指山に源を発し、全長163キロある万泉河は、海南島における第3の大河だ。勢いよく流れる水はくねくねと曲がり、常に下へ向かい、高山や峡谷を抜け、激しく海へ流れ込む。地勢の影響を受け、万泉河沿岸の地形は特色がはっきりしている。上流の流れは急で、両岸に広がるのは全て熱帯原生林だ。この辺りの植生が完全に保存されているため、万泉河は「中国のアマゾン川」と称される。両岸の典型的な多雨林の景観と巧みな地形のため、万泉河は今どきの屋外スポーツ種目であるアウトドア探検や秘境探索、ラフティングの絶好の場所となり、毎年、大勢の観光客が奥地へ行き、同地の神秘を体験している。

川の流れは中下流を経て、落差が減り、勢いも徐々に穏やかになる。万泉河は瓊海市博鰲鎮で南海に注ぐ。河口では、ほかの2本の川(龍滾河、九曲江)の河口と一つになっており、3本の川が寄り集まって、玉帯灘といわれる有名な自然景観を生み出している。

船で玉帯灘に渡ると、足元は柔らかくて白い砂浜だった。遠くに視線を移せば、砂浜は1本の細長い絹織物のように海岸線に沿って遠くまで延びていた。砂浜の外側では、南海の広い水面が煙るように波立っていて、内側では、3本の川が集まってできた内海の水面がきらきらと波打っていた。砂と水、広い海と青い空が美しい自然の景観を作り上げている。玉帯灘は全長8.5キロあり、99年6月、ギネスワールドレコーズによって、「海と川に挟まれた最も狭い砂浜半島」としてギネス記録に認定された。

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