瓊海
万泉河と「紅色革命」の聖地

 

アジアが注目する小さな街

万泉河の河口は博鰲鎮にある。「鰲」はもともと大きな魚という意味で、伝説では、龍の頭と亀の体、麒麟の尾を持つ、龍の9匹の子どもの1匹ともいわれている。中国には、「トップ」や「1位」を占めることを指す「独占鰲頭」という成語がある。資料によれば、皇宮の宮殿前の階段には「鰲魚」の浮き彫りがあり、科挙の進士の合格者発表後、皇帝が宮殿前で合格者と対面するとき、一番前に立つ状元(首席合格者)の位置がちょうどその浮き彫りの場所に当たることから、「独占鰲頭」という成語が生まれたという。「博鰲」は、「魚が多く、肥えている」という意味になる。

 

博鰲鎮は瓊海市が管轄する12の鎮の一つ。面積は広くなく、80平方キロ余りしかないが、今ここは世界的に有名な場所となっている。毎年3月から4月にかけて、ボアオ・アジア・フォーラムがここで開催されるからだ。フォーラム開催期間中、アジアの20以上の国の元首と政府首脳、外交や経済分野の政府高官がここに集まり、アジアの発展に関する遠大な計画を議論する。博鰲はこのフォーラムによって世界に知られるようになった。

ボアオ・アジア・フォーラムは98年9月、オーストラリアのボブ・ホーク元首相や日本の細川護煕元首相、フィリピンのフィデル・ラモス元大統領によって提唱され成立した、アジア地域における各国のハイレベルの対話プラットホームだ。2001年に博鰲で第1回が開催され、現在は28カ国(フォーラム発起26カ国および後に参加したニュージーランドとイスラエル)が参加している。非営利かつ定期開催の国際会議組織として、ボアオ・アジア・フォーラムはアジア各国の発展と協力に多大な英知を提供し、プラスの効果を発揮してきた。03年、フォーラムの事務局はフォーラム開催地を博鰲に固定すると発表。現在、ボアオ・アジア・フォーラムはアジア諸国にとって1年に1度の盛大なイベントとなっている。 博鰲はかつて小さな漁村にすぎなかった。アジア・フォーラムの開催に伴い、博鰲は徐々に世界の注目を集め、昔の面影はすでになくなり、それに取って代わったのは、ホテルやコンベンションセンター、高層ビルといった現代施設だ。ヤシの木が並ぶ街の通りや海岸をそぞろ歩くと、海風が吹きつけてくる。たまにバーに立ち寄って、酒を少し飲む。そうして海南人の気楽さを感じると、言葉にできない心地よさが湧いてくる。

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