万寧 
多彩な植物と敬老の気風

万寧は多彩だ。色彩が豊富というだけではない。「長寿の里」「温泉の里」「ビンロウの里」「サーフィンの里」といったさまざまな肩書きに目がくらむようだ。万寧では、海南島の他の地域と異なる雰囲気を感じられる。ここからは、われわれと共に万寧を訪れよう。

熱帯植物の王国

万寧は海南島東南部に位置し、北は瓊海に接している。面積は4400平方キロ余り、海南の他の町と比べて、ここは山地の耕地が広く、土地が肥沃で、農作物の栽培に非常に適している。加えて、熱帯の気候により、万寧は中国におけるゴムやコーヒー、コショウなど熱帯の商品作物の生産地の一つにもなった。このほか、万寧には多様な種類の熱帯植物が生育している。万寧に来ると、熱帯植物の科学知識普及の世界に入り込んだ気分になる。

 カカオの木にたくさんの実がなっている

熱帯植物について知りたいなら、まずは興隆熱帯植物園がお薦めだ。ここは別名、中国熱帯農業科学院香料研究所ともいう。

植物園に足を踏み入れた途端、濃厚な緑に取り囲まれた感じがした。ここには2300種類余りの熱帯植物がある。遊覧車が森林を通り抜けるとき、自然の雄大さと人間のちっぽけさを感じた。ここはまさに熱帯植物の王国だ。大きなダイオウヤシが列になってそびえている。林の中に散在するオウギバショウは、まるでクジャクが尾羽を広げているようだ。生い茂ったカカオの木には果実がたわわに実っている。カカオの実は木から直接生えているようで、熱帯植物特有の不思議さを見せていた。このほか、植物園には数多くの珍しい樹木があった。リュウケツジュは自然の状態で6千年生きることができる。コンゴ原産の赤い果実のミラクルフルーツは、人の味覚を変えられる。これを食べた後に酸っぱいものを食べると甘く感じられるという。ウパスはこの世で最も強い毒性を持つ木だ。樹皮を傷つけると乳白色の液体が流れるが、もし体に外傷があり、うっかりこの液体に傷口を触れさせてしまったら、毒素が瞬く間に心臓をまひさせ、死に至る。それから、木になるスイカもある。「鉄西瓜」(和名はフクベノキ)といって、ウリのような形だが食べられず、しかも異常に硬く、地元の人々はこれをひしゃくにして水をくんでいる。

興隆熱帯植物園では至る所で珍しい熱帯植物を見ることができ、まるで熱帯植物学の教科書を開いたかのように、たくさんの知識が詰まっていてどこから見たらいいのか分からないほどだ。このほか植物園では、カカオ豆の焙煎過程を学ぶこともでき、子どもたちが自分でチョコレートを作る楽しみを体験できる。

植物と言えば、ビンロウを挙げないわけにはいかない。万寧は古来、ビンロウの里という美称を持つ。中国のビンロウの主な産地は海南で、海南のビンロウは主に万寧で作られている。「来客があればビンロウを差し出す」というのが、昔から万寧特有のおもてなしだ。  

ビンロウでもてなすという万寧人の風習は古来続いているものだ。宋代の『嶺外代答』という書物には、「客至りて茶を設けず、ただビンロウをもって礼となす」と書かれている。現代でも、万寧人は依然としてビンロウの実を接客に欠かせないものとしている。新年や節句のたびにビンロウを買って、プレゼントとして親戚や友人に贈る。聞くところによると万寧では、ビンロウは若い男女の愛情の象徴でもあるらしい。男性が女性を見初めたら、彼はまず彼女の実家にビンロウの実を贈り(俗に「ビンロウを置く」という)、求婚の気持ちを伝える。もし女性側が受け取ったら、婚約したことになる。結婚式のときにも、ビンロウは欠かせない縁起物だ。新郎新婦はお祝いに駆け付けた親戚や友人にビンロウの実を贈り、敬意を表す。

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