世界第二の経済体にどうしてできたか?(下)

 

中国共産党中央党校党史研究室教授 謝春濤 氏

 

世界に向け窓を開放

謝春濤(しゃしゅんとう)
Profile1963年2月生まれ。山東省臨沭県出身。1988年から中国共産党中央党校で党史と理論の教育、研究に従事している。現在、同校党史研究部副主任、教授、博士課程指導教官。浙江省金華市副市長を兼任。主な編著に『中国の特色ある社会主義史』『転換する中国-1976-1982』『歴史的軌跡 中国共産党はなぜできるのか?』など。

1970年代末、中国は何年も閉鎖された状態を打開し、世界各国との交流を始めた。その結果、中国の指導者たちは先進国との間に存在する巨大な格差を認識し始めた。

鄧小平氏は「『四つ(工業、農業、国防、科学技術)の現代化』を実現するには、よく勉強し、国際的な支援も必要だ。世界から先進的な技術や装備の導入をわれわれの発展のスタートとすべきだ」と、語った。

これに応じて、中国の各級政府は外資を導入するさまざまな特恵政策を打ち出した。1990年、香港地区と台湾地区の大陸への投資は120億ドルに達した。香港や台湾の華商投資とその途切れない収益増を見て、日本、米国、欧州連合(EU)の資本も大規模に大陸に進出し始めた。1980年代、外国の直接投資は200億ドルだったが、2000年時点で10倍も増加した。2005年、中国が利用した累計外資は6180億ドルに達し、経済の発展を大いに促進した。これによって、現代化建設における資金不足の問題はある程度解決された。

中国は外国からの投資に興味を示しただけでなく、外国の先進技術をさらに重視した。海外企業が対中投資をする際には、必ずある程度の技術移転が求められた。中国は巨大な市場をもって先進的な技術と交換した。この過程で、広州自動車公司は日本のホンダ、トヨタ両社とそれぞれ協力協定に調印した。これによって、中国の自動車工業は「高速道路」を走り始めた。1992年、中国の自動車生産は初めて百万台を突破し、2009年10月には1000万台を突破し、一躍世界一になった。

1979年、中央政府は南方の省に四つの経済特区の設立を決定し、深圳市はその中の一つだ。それからわずか30年で、深圳は小さな漁村から世界的に有名な大都会に発展し、一人当たりの平均収入は8000ドルに達している。対外開放を拡大するために、中国は1984年にさらに大連、青島、上海など14の沿海港湾都市を開放した。その後、長江デルタ、珠江デルタ、福建省南部、遼寧省東部などの地域も相次いで経済開発区として開設し、対外開放は内陸地区へと歩みを進めている。

中国政府は、経済特区、開放都市、経済開放区で特別政策と経済管理モデルを実行し、それらの地区を資金や技術、管理ノウハウを導入する窓口とし、中国と世界との交流を大いに推進し、中国経済の発展を促してきた。中国は労働密集型企業が集中する珠江デルタ、ハイテク主体の資本密集型企業の基地としての長江デルタ、北京の中関村「シリコンバレー」という三大経済地帯を形成した。現在、中国の対外開放水準の向上と環境保護の重視にともなって、技術レベルが高く、環境汚染が少ない国際的企業が中国でより歓迎されている。

科学技術と教育が支え

内外の多くの専門家は、中国共産党が中国人民を率いて経済発展を達成できたのは、この30年余一貫して科学技術と教育を重視してきたことと深くかかわっていると、考えている。

1977年、11年間中止していた大学入試制度を再開し、成績優秀な人材は改めて大学教育を受ける機会を得た。それとともに、さらに政府は基礎教育への支援に力を入れ、全国で9年制義務教育を推進した結果、中国の基礎教育の就学率は90%以上に達した。1990年代、中国共産党中央委員会が科学・教育立国戦略を制定し、その指導下で、今では在籍大学生が2500万人以上に達し、各種職業高校と中等専門学校の学生も数百万人になっている。2010年6月、中国政府はまた今後10年の中国教育の発展について手配した。中国共産党の指導の下、国民は平均で八年以上の教育を受けられ、人数も数億人に達している。そのうち、大学卒業生は1億人近くになっている。多数の知識のある国民を養成することによって、中国の経済発展に、絶えず質の高い人材が提供されつつある。

留学生も中国の経済発展を推進する上で欠かせない力となっている。1978年以来、中国大陸から毎年平均して2万人が留学し、1997年までに、留学生数は累計で40万人に達している。中国政府は、留学生が帰国して貢献できるように、さまざまな奨励措置を打ち出している。一方、すでに国外で就職している科学者や企業の上級管理職なども、国内の急速な経済成長がもたらしているチャンスに引き付けられ帰国している。2009年、帰国した留学生はすでに10万人を超えている。国内の人材養成を促すため、中国共産党中央組織部は「1千人プロジェクト」を立案し、優遇条件を提示して、国際的にハイエンドの人材の勧誘に努めている。

2001年11月11日、15年間にわたる交渉を経て、中国はカタールの首都ドーハで世界貿易機関(WTO)に加入した。これは改革開放がもたらした成果であるとともに、中国の社会主義市場経済体制が経済グローバル化のプロセスに融け込んだ証でもある(新華社)
教育の強化と同時に、中国共産党は科学技術事業の発展も非常に重視している。2005年末、中国の科学技術者の人的資源は全体で4246万人に達した。鄧小平時代に、多数の国家的な科学技術重点研究プロジェクトが続々と打ち出された。その結果、長征シリーズの打ち上げロケット、ハイブリッド米、高性能コンピューターなどのハイテクが成果を収め、大量のハイテク産業の急速な勃興を促進した。

しかし、国際的な先進レベルと比べ、中国の科学技術の発展は相対的に立ち遅れている。統計によると、現在、全世界の研究開発投資の86%、発明特許の90%以上が、先進国の手中に握られ、中国科学技術の進歩が経済成長に寄与した貢献率は39%にとどまっている。中国はエアバスA380一機と交換するために、8億枚のワイシャツを販売しなければならないのが実情だ。

こうした状況に直面し、2006年、胡錦濤中国共産党中央委員会総書記はイノベーション型国家建設の任務を明確に提起し、計画では2020年までに、中国の自主的なイノベーション能力を目に見える形で増強する。また同計画によると、近年中国政府は科学技術投資を増やし続け、2008年には歴史的最高点に達し、社会全体の投資総額は3710億元になり、国内総生産(GDP)の1.49%を占めるようになった。疑問の余地なく、科学技術と教育の重視は、中国経済発展の奇跡を生み出した重要な要因になっている。

 

人民中国インターネット版 2012年6月5日

 

 

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