「一帯一路」貿易を生かせ

 段非平=文

 福建省東南端に位置するアモイ市は中国東南沿岸部の対外貿易の重要な拠点であり、中国第1期の経済特区でもあり、中国の改革開放の「テストエリア」と「手本」だ。18大以降の「一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)」国家戦略の実施と福建自由貿易試験区アモイエリアの建設に伴い、戦略の要として役割もますますはっきりしてきたアモイは新たな発展のチャンスに巡り合った。そのチャンスがもたらす新しいチャレンジとニーズによりしっかりと応えるために、アモイは信念を固めながら前進し、革新し続けるという精神を受け継ぎ、先陣を切り、参考に値する「アモイモデル」を次々とつくった。

改革で作業のスリム化

「昔の通関手続きは体力勝負で、埠頭や税関や検疫などを往復しなければならず、通関書類は『束』で提出していました」。アモイ怡中通関申告有限会社の陳昌読総経理は当時を感慨深げに語る。「しかし今はプリント1枚記入すれば、5分程度で終わらせられるんです」

陳総経理が語る変化が生じたのは、2015年に新たに展開された国際貿易「単一窓口」が設立されてからだ。「単一窓口」とは税関、検査、検疫、税務など36部門が共同で建設し運営する港の管理共有プラットホームだ。企業はこの統一された情報プラットホームで監督・管理部門の要求を満たす標準化された証明書と電子データを一度に提出し、その結果もまた同じプラットホームから申請者に返信される。このシステムにより「一つの窓口、一つのプラットホーム、1回だけの申請、一括処理」が実現した。

「東方香港」の初進水式がアモイ遠海埠頭で行われた福建自由貿易試験区アモイエリアの全景図

「単一窓口」によって通関の効率が大幅にアップした。アモイ自由貿易試験区電子港有限会社の許軍総経理が見せてくれたデータによると、輸出入貨物の重複申告項目が30%減り、ペーパー版申請証明書が平均257㌻減り、輸出入船舶に関する申請時間が本来平均1時間だったものが5分に短縮され、申請業務の効率が全体で50%以上向上した。

「単一窓口」は効率の上昇の他、企業に対して最大の恩恵ともいえるコストの大幅カットにつながった。船舶代理企業で働く王方さんは語る。「『単一窓口』のオンラインサービスを利用すれば専門の申請ソフトのコストや税関検査費用などが免除されるので、企業にとっては年間数十万元の節約になります。コストカットによって効率化と競争力を高められました」

2年間の積極的な試行錯誤と絶え間ない実践によって、アモイ港は輸出入一般貨物や越境エレクトロニックコマース(EC)(3)の商品、国際郵便物などの検査や検疫業務を一律「単一窓口」プラットホームで申請することが可能になった。

「『単一窓口』は港の監督管理部門、埠頭、企業の相互の情報伝達の円滑化を実現し、『情報の孤島』状態にあった部門同士の問題を解決しました。アモイ国際貿易『単一窓口』は商務部(日本の省に相当)から2015年自由貿易試験区最優秀モデルと評価され、この『アモイの経験』はすでに全国へ普及し始めています」。アモイ市出入境検疫局の馬元林局長は誇らしげに語った。

エコで安全な輸送の要

アモイ海滄港湾エリアの第14番から第17番バースにあるアモイ遠海全自動埠頭では、コンテナが定められたルート通りに規則正しく運ばれている。従来の埠頭と異なり作業エリアには汗水たらして働く労働者がどこにも見当たらず、あらゆる工程が中央の制御室のコンピュータによってコントロールされている。

17年5月29日、標準的なコンテナ2万1000個搭載可能な世界初のコンテナ船

アモイ遠海全自動埠頭の第1期工事は16年3月に完成し運営された。敷地面積は約16万6600平方㍍になる。この全自動埠頭は中国初の自主開発となる全工程をスマート化した全自動コンテナ埠頭であり、世界で初めてディーゼルエンジン駆動を使わずに作業をする埠頭だ。全業務には電力が使われており、従来の埠頭より25%以上のエネルギー節約になり、二酸化炭素(CO2)排出量も16%以上減り、汚染ゼロ、CO2排出量ゼロ、エコロジーを実現した。完全閉鎖による立ち入り禁止、全自動、遠隔コントロールで人と機械の接触を最小限にすることで、従来あった安全管理の問題を解決し、通常運営をして以来埠頭では事故「0」件の安全体制を確立している。

遠海埠頭はまた世界初の「平行方式」(岸壁法線に対し平行にコンテナを蔵置する方式)が採用された全自動埠頭だ。現在、世界の全自動埠頭はみな「垂直方式」(岸壁法線に対し垂直にコンテナを蔵置する)で造られている。しかし、中国のその他の港やアジアの多くの国では「平行方式」を採用しており、もし国外の埠頭を参考にして「垂直方式」の全自動埠頭を造るとすれば建設にかかるコストと運営費用が大幅に高くなる。遠海埠頭の「平行方式」の全自動埠頭が国内外の港に貴重な経験を提供することは疑う余地がなく、モデルとしての重要な意味合いを持っている。

今年7月、上海振華重工と中遠海運が総額1億7000万㌦にもなるアブダビのハリーファ港の第2期全自動埠頭プロジェクトの契約を締結した。このプロジェクトは遠海全自動埠頭を「平行方式」で運営させる経験を国外に生かす初めての試みであり、「中国式プラン」がすでに「一帯一路」の足跡をたどり、国外へ進出した現れでもある。

改革があるからこそ達成があり、革新があるからこそ未来がある。「単一窓口」と「無人化全自動埠頭」はアモイが対外貿易モデルを革新する取り組みの縮図にすぎない。革新を続けるアモイは今まさに新しい時代へと突入しており、続々と現れる「アモイの経験」や「アモイモデル」はその経済発展にさらなる大きな成果をつくり、企業はさらに多くの改革の利益を得ることになるだろう。

 

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